僕⇒俺
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#420 [氷雨]
少し緊張して震える手でメールを打つ。
――― To 北原 愛美 ―――
いいよ
――――――――――――――
打ったのは一言だけ……
緊張して何を送ればいいのかったわからなかったからなんだけど…
俺は携帯を握りしめて電話を待つ。
そして、ふと思った。
:08/03/25 22:56 :D704i :☆☆☆
#421 [氷雨]
こういうのって男がかけた方がいいんじゃ……!
そう思ったが、携帯が音と共に震えた。
画面には《北原 愛美》と出ていた。
「でないと………」
俺は震える手を抑えて電話にでた。
「はい」
:08/03/25 23:26 :D704i :☆☆☆
#422 [氷雨]
声は少し震えていた。
『あ……陽君…?』
北原さんはメールと違い大人しく返事した。
「うん、そうだよ…どうしたの?」
俺はさも慣れているかのように返事した。
どうして俺…意地張ってるんだろう?
:08/03/25 23:29 :D704i :☆☆☆
#423 [氷雨]
『あの陽君?また聞くけど…あの人とは何もないんだよね?』
北原さんが葉山さんの事を言っているのがすぐにわかった。
好きだと自覚したからかな?
俺は苦笑いした。
「うん、何もないよ?」
俺はこの時、すごく何もかもがどうでもよくなってた。
:08/03/25 23:36 :D704i :☆☆☆
#424 [氷雨]
葉山さんに直接聞いたわけでもなかったのに……
北原さんは少し黙った後、言った。
『私と付き合ってください』
「え?」
俺はすぐに聞き返してしまった。
そして、すぐに言う。
:08/03/25 23:39 :D704i :☆☆☆
#425 [氷雨]
「あ……俺、北原さんの事、知らないし…」
ありきたりな言葉を発していた。
北原さんはしばらく黙った後に言った。
「今から知ってほしいんだ。私も陽君の事、何も知らない…知りたいから付き合いたいの」
:08/03/29 20:23 :D704i :☆☆☆
#426 [氷雨]
俺は携帯の向こうで笑顔で微笑んで緊張しているであろう北原さんを想像した。
北原さんはすごいな……。
ただそう思った。
「俺さ…好きな人がいるんだ」
叶わない恋だけれど…
心で呟いた。
:08/03/29 20:25 :D704i :☆☆☆
#427 [氷雨]
葉山さんが頭に浮かぶ。
そして、小宮が笑う。
胸がズキリと傷んだ。
「北原さん………?」
何も喋らなくなった北原さんにはなしかける。
『あ……ごめんね。陽はその人と付き合うの…?』
北原さんは真剣な声で俺に言う。
:08/03/29 20:35 :D704i :☆☆☆
#428 [氷雨]
「付き合えない。たぶん無理なんだ」
俺は、はっきりと言葉にして返した。
『そっか…、陽君…試しでいいんだ。放課後に一緒に帰るだけで、それだけでいいから、付き合えないですか?』
北原さんの声はいつもより、今まで以上に真剣な声だった。
俺は黙ったまま考える。
:08/03/29 20:38 :D704i :☆☆☆
#429 [氷雨]
「けど……、俺…北原さんを利用してる…」
また違う痛みが陽を襲った。
利用なんてダメだ…
けれど、それ以上に心を傷んでいた。
『私は……陽君が隣にいるだけで幸せだと思うの…。側にいさせてください』
泣きそうに震える声で北原さんは言った。
:08/03/29 20:42 :D704i :☆☆☆
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