僕⇒俺
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#520 [氷雨]
葉山さんの顔が見えない。
俺は真っ直ぐ葉山さんを見ている。
顔が見えなくてすごく不安だった。
葉山さんの声が震えてるから……
:08/04/16 23:28 :D704i :☆☆☆
#521 [氷雨]
「ねえ…陽?」
突然、震えた声で俺に尋ねた。
「え…?なんですか?」
優しく答える、不安が詰まった声だったけれど…
「今…何月だと思う?」
葉山さんは不可思議な質問を俺にした。
:08/04/16 23:31 :D704i :☆☆☆
#522 [氷雨]
「へ………?」
思わず間抜けな声で答える。
葉山さんが少し笑ったような声を漏らした。
俺は意味もわからずに質問に答えた。
「12月」
:08/04/16 23:33 :D704i :☆☆☆
#523 [氷雨]
そう…、今は12月初め頃。
本格的に冬になった。
雪は降ってはいないけれど、肌に触れる風は突き刺すように痛い。
葉山さんはどうしてこんな質問を…?
考えていると葉山さんは振り向いて笑った。
涙を瞳にたくさん溜めて。
:08/04/16 23:37 :D704i :☆☆☆
#524 [氷雨]
「葉山さ…っ!!」
慌てて近寄ろうとすると、葉山さんは人差し指を立ててシーッと口パクした。
俺はそこで静止して葉山さんの言葉の続きを待った。
「【調教】」
葉山さんはそう言葉にした。
俺の心がズキッと痛んだ。
:08/04/16 23:42 :D704i :☆☆☆
#525 [氷雨]
「あんなの言い訳だった。口から出任せ…」
葉山さんは悲しそうに言う。
「言…い訳……?」
俺も葉山さんから出た言葉を繰り返した。
「うん、クラス換えがあって3日後から私と陽が初めて話した時まで…」
葉山さんは途切れ途切れに涙が流れないように言葉を絞り出す。
:08/04/16 23:47 :D704i :☆☆☆
#526 [氷雨]
葉山さんはにっこりと笑った。
そして、こう言った。
「話した事もない陽が好きだった」
:08/04/16 23:49 :D704i :☆☆☆
#527 [氷雨]
予想もしていない言葉だった。
ただ、頭は真っ白で、葉山さんのさっきの言葉がまわる。
言葉もでないくらいに思考は停止している。
「陽?本当…なんだよ?」
:08/04/17 23:55 :D704i :☆☆☆
#528 [氷雨]
悲しそうに呟く。
俺…………、
俺は……………、
そう思うけど、続きが言えない。
言葉にしようとしてもハッキリと口にできない。
『陽の気持ちを!!』
確か、孝裕さんが言っていた。
俺の気持ち。
:08/04/18 00:02 :D704i :☆☆☆
#529 [氷雨]
『葉山さんが好きだ…』
けど……、
『俺には北原さんが…』
北原さんを裏切れない。
:08/04/18 00:05 :D704i :☆☆☆
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