僕⇒俺
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#532 [氷雨]
「いえ………」
そう言うしかできなかった。
俺は好きな人を傷つけた。
今日は木曜、雅さんに怒られるだろな。
俺は胸をグッと握りしめた。
:08/04/18 08:20 :D704i :☆☆☆
#533 [氷雨]
『陽か…?』
電話の声の主は俺にそう聞いた。
「…はい、どうしたんですか?」
分かってるけど、尋ねる。
電話の声は少し怒っているように、溜め息をついた。
その溜め息にも胸はツキンと痛む。
:08/04/18 13:39 :D704i :☆☆☆
#534 [氷雨]
『話がある、撮影時間の1時間前に集合な』
その声には心配の声も含まれていた。
【話】が何かなんて分かってるけど…
俺は言った。
「わかりました、じゃあすぐに行きますね」
:08/04/18 13:42 :D704i :☆☆☆
#535 [氷雨]
今は放課後。
撮影まで時間を潰そうと図書室に向かう途中だった。
電話を切るとメールが入っていた。
―――From 北原 愛美―――
撮影
頑張ってね
応援してるね
――――――――――――――
メールを見て、また胸に痛みが走る。
俺はどうしたらいいんだ?
:08/04/18 13:46 :D704i :☆☆☆
#536 [氷雨]
雅さんからの電話
心配してくれているんだろな。
そう思うと嬉しかった。
北原さんはどうして俺が好きなんだ?
俺は北原さんを利用してる。
そう色々な事を思うと胸は執拗に痛む。
:08/04/21 12:57 :D704i :☆☆☆
#537 [氷雨]
少し重い足取りでスタジオへと急いだ。
「陽!!」
スタジオの扉を開くと雅さんが俺に叫んだ。
眉を寄せて、俺に向かって走り寄る。
《怒られる!!》
:08/04/21 13:03 :D704i :☆☆☆
#538 [氷雨]
そう思い、瞳を閉じた。
…………………あれ?
雅さんの手は優しく俺の頭をいつものようにクシャクシャと撫でる。
「何かあったのか?」
誰もいない広いスタジオに優しく声が響いた。
俺はビックリして顔を上げる。
:08/04/21 13:11 :D704i :☆☆☆
#539 [氷雨]
雅さんは眉を寄せて、心配してくれていた。
切なくなるような優しく表情で。
俺はどうしてか、また胸が痛んだ。
「美咲と何かあった?昨日の女は本当に彼女なのか?」
雅さんは2つ質問した。
:08/04/21 13:14 :D704i :☆☆☆
#540 [氷雨]
「俺、利用してる……」
自然と言葉はでていた。
何かを吐き出すように言葉を繋ぐ。
「北原さんは放課後一緒に帰るだけの彼女でいいって言ったんです、俺…逃げたんです」
雅さんは俺の言葉を静かに聞いてくれていた。
何も言わずに。
:08/04/21 13:18 :D704i :☆☆☆
#541 [氷雨]
「帰るだけの彼女なんて、いけないのに…、俺は北原さんを利用して葉山さんを消そうとした」
涙が流れそうになるくらいに情けなくて、言いながら俺は最低だ。
そう自分に言っていた。
「葉山さんの心には何もない。俺への気持ちなんてない、そう思っていたから」
:08/04/21 13:21 :D704i :☆☆☆
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