僕⇒俺
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#561 [氷雨]
「けど…彼氏彼女じゃないってわかってたのに、あのラブッぷりには驚いた」
雅さんは乾いた笑いをしてから俺の顔を見、ニッと笑った。
俺は雅さんの笑顔を見た瞬間、顔が火照っている事に気付いた。
『ラブッぷり』とはどんなものかもわからないけど、恥ずかしくて、
「どこがそんなに……?」
:08/04/27 06:20 :D704i :☆☆☆
#562 [氷雨]
俺はつい、質問してしまった。
質問してしまったイコールたぶんだが、
もっと照れる事を言われるに等しいのに。
雅さんは俺の質問を聞いて、考える事もなく、それをあっけなく言った。
「雰囲気!!」
しかも、力強く…。
:08/04/27 06:23 :D704i :☆☆☆
#563 [氷雨]
「へ…?雰囲気……?」
俺はピンとこなくて雅さんの言葉を繰り返した。
その言葉に雅さんは元気よく返事していた。
笑顔で雅さんは続ける。
「それにー…美咲は陽に本気で惚れてたから、そりゃ嬉しそうで嬉しそうで」
可愛い妹へ向けるような遠い目をしていた。
:08/04/27 06:28 :D704i :☆☆☆
#564 [氷雨]
「葉山さんが…?」
やっぱりこれにもピンとこない。
『葉山さんが俺を好き』
だってあの時、葉山さんは普通だった。
演じる時に近づくだけで、その他の時は少し距離があった。
次の日には手を繋いでいたけど……
:08/04/27 06:31 :D704i :☆☆☆
#565 [氷雨]
けど、告白は真剣だった。
葉山さんは俺のせいでたくさん泣いてる。
「陽……?」
俺は目を開けたまま寝ているような状況で、雅さんの心配している声が響いた。
「あ……、考え事……」
とっさに出たのはそのままの言葉だった。
:08/04/27 06:36 :D704i :☆☆☆
#566 [氷雨]
「陽は目、開けたまま寝れるんだなー」
雅さんは俺をからかうように言った。
顔を見上げると、いつもの意地悪っぽい笑顔。
俺はこの笑顔に何度、助けられたんだろう。
そう思うと、俺も自然と笑顔になっていた。
:08/04/27 06:39 :D704i :☆☆☆
#567 [氷雨]
久しぶりに自然と出た笑顔。
久しぶり……
俺は笑えていなかったんだ。
やっと気付いた。
北原さんといても俺は笑っていなかった?
笑っていたよな?
楽しかったよな?
自分に質問した。
:08/04/27 06:42 :D704i :☆☆☆
#568 [氷雨]
「陽?また考え事?」
雅さんは少しつまらなさそうに呟いた。
いつの間にか下がっていた顔を上げると拗ねている雅さんがいた。
少し可愛い。
そう思ってしまった。
「何かあるなら、俺にも相談しろよ?」
:08/04/27 06:45 :D704i :☆☆☆
#569 [氷雨]
次には大人の顔。
雅さんって幼かったり、大人だったりする。
思わずプッと笑いが込み上げた。
これに雅さんは素早く反応。
「なっ…何、笑ってんだー…よっ!!」
それと同時にチョップも俺の頭に直撃した。
:08/04/27 06:49 :D704i :☆☆☆
#570 [氷雨]
「ぃったぁあー………」
それは思いもよらない程、痛くて俺は半べそになっていた。
それを見て、雅さんは笑った。
そして、俺はだいぶ遅れて、ある矛盾に気が付いた。
あれ……?
葉山さんと雅さんの話し、少し違う。
:08/04/27 09:40 :D704i :☆☆☆
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