僕⇒俺
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#631 [氷雨]
「モデルの仕事は……」

雅さんが小さく小さく呟く。

それにお父さんはわかっていたかのように素早く答える。


「俺はモデルを辞めた。復帰するつもりもない」

そうキッパリと言い放つ。

それでも、やっぱり雅さんは気にくわないといった顔で不機嫌になる。

「はは、子供みたいな所は変わらないな、雅。陽が居るだろ?」

⏰:08/05/17 20:49 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#632 [氷雨]
「へ………?」


突然の自分の指名にマヌケな声が漏れる。


「陽なら俺以上のモデルになれる、小さな頃から陽はモデル向きのセンス持ってたからな」


お父さんに褒められる事は日常茶飯事だけど、こんな対等とした褒められ方は初めてだった。

「そうだったかな?」

身に覚えのない事にクエッションを表す。

⏰:08/05/17 20:53 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#633 [氷雨]
「おう!俺は陽に基礎から叩き込んだからな!子供の頃に覚えた事は忘れにくいんだぞ」

お父さんはニカッと笑って、俺の髪を撫でる。


「納得……」

雅さんが呟く。

「陽ってモデルになるために生まれたみたいにセンス良かった。まっ!服以外は…」

後で付け足された《服》。

俺は服のセンスがまるっきりない。

⏰:08/05/17 20:58 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#634 [氷雨]
「服かぁ……、俺、大学生だからそこまでは…」

お父さんも苦笑いする。

孝裕さんはただ黙って頷いていた。


俺は言いたい放題言う、お父さんと雅さんを睨みながらワナワナと拳を握り締めて耐えていた。





「彩史さん!また来ていいですか!?」

⏰:08/05/17 21:01 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#635 [氷雨]
元気に子犬のようにハシャぐ雅さん。

あの後、ご飯をなぜか家族プラス雅さん、孝裕さんと一緒に食べた。


食べた後も雑談をして、お父さんと雅さん達は仲直り。


丸く収まったんだけど……

「おう!いつでも来い!」

⏰:08/05/17 21:04 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#636 [氷雨]
「やった!!」

「俺も……来ていいですか?」

少し遠慮がちに孝裕さんも尋ねる。

「いいに決まってる!けど、来る時は電話しろよ!」


その言葉に孝裕さんはものすごく嬉しそうに笑って、「はい!」と叫んだ。


そして、最後に……

⏰:08/05/17 21:07 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#637 [氷雨]
「あ、陽?さっきの話、進めておく」


そう言って孝裕さんは乗って来た雅さんの車に乗り込み扉を閉めた。

クラクションを小さく鳴らして去って行く車を見送りながら、俺は瞳を瞑り、覚悟を決めた。




リビングには家族みんな集まっていて、楽しくテレビを見ている。

⏰:08/05/17 21:10 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#638 [氷雨]
「俺!!」

そんな楽しい雰囲気をぶち壊すように俺は大きく叫んだ。

家族3人は驚いて声の主、俺に視線を送る。

1番に口を開いたのはお母さんだった。


「どうしたの?急に……」

不意を付かれたからかいつもの元気よさは隠れていた。

⏰:08/05/17 21:14 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#639 [氷雨]
「あーー……俺さ、本格的にモデルする。だから迷惑とか掛けるかもだけど……よろしく」


そう少し照れながら言った。

顔を上げると家族全員が笑顔で、

「迷惑じゃないし、むしろ支えてやる!」

生意気な口を聞きながらも俺は三依に笑顔を送る。

「本当にお馬鹿さん、迷惑なんてかけまくって?迷惑じゃないんだから」

⏰:08/05/17 21:18 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#640 [氷雨]
お母さんの優しい矛盾にも笑顔で「ありがとう」と言った。


「俺はお前のお父さんで先輩で師匠!頼りまくりなさい!」


いつもの明るくおちゃらけた物言いにも安心感が湧き、自然と笑顔になる。


「俺、頑張るよ!」

俺の夢は《トップモデル》

お父さんみたいなモデルになる事だ。

⏰:08/05/17 21:22 📱:D704i 🆔:☆☆☆


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