心優しき闇の王
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#1 [リナ]
心優しき闇の王
-僕達は気付くべきだった-
闇の女王さまはなぜ僕達をお創りになったのですか?
ねぇ、女王さま
僕は生まれてきたくなかったんだよ――…。
:08/02/02 18:00
:N905i
:yyYYINn.
#2 [リナ]
この世界はすべてが赤黒い。川も地面も空もすべて。
木は青々と生い茂ることもなく、乾いた地面にひっそりと突き立つ。
ここに住む者たちはハッキリとした姿をとれない。
すべてが曖昧だから……。
:08/02/02 18:03
:N905i
:yyYYINn.
#3 [リナ]
「魔王さま、また仲間が殺されたよ。
なぜ人間は僕達を傷つけるの?
なぜ僕達を殺すの?
僕達が人ではないから?
姿形が違うから?
醜いから?僕達が……
化け物だから?」
魔物の子は声を震わせ一言一言絞りだすように言うとそれきり黙り込んだ。
小さく身をすくめ、頬をつたうモノはとても綺麗でとても悲しい。
:08/02/02 18:06
:N905i
:yyYYINn.
#4 [リナ]
「私たちは人間の負の感情を糧(カテ)とする。
人が言うところの食事と同じだ。
魔物の子よ、闇の女王さまにも考えがあるんだよ?」
グズッ――…。
「そぅ泣くな。
私は幸せだ。君は綺麗な心を持っている、自分に負けてはいけない。
心を闇に染めてしまえば私たちは忘れてしまう何もかも……」
:08/02/02 18:09
:N905i
:yyYYINn.
#5 [リナ]
「僕は戦いたくない。
死にたくない、殺したくないんだ」
「私も同じだ。
死ぬのは怖い。殺してしまうのはもっと恐ろしい」
「魔王さまも怖いの?」
泣いていた顔を上げ私を真っすぐ見つめる。
「あぁ……怖いな。
魔族の王である私がなさけないと笑うか?」
:08/02/02 18:10
:N905i
:yyYYINn.
#6 [リナ]
「笑わないよ。僕も同じだもの。
それなのになぜ人間は平気で僕達を傷つけるの?
僕らも生きてる……生きてるんだよ……」
私はそれに答えることが出来なかった。
なぜ人が我々を殺すのか。
なぜ我々が存在するのか。
私はあの子に教えることが出来なかったのだ。
:08/02/02 18:11
:N905i
:yyYYINn.
#7 [リナ]
人間だけが悪い。
一概にそうは言えない。
密度の濃いエネルギーを求め我らの仲間が人間を襲い、追い詰め、殺しているのもまた事実。
闇の女王よ、私はどうしたらいい――…。
争いのない世界。
それはこんなにも遠いものなのか?
私たちが望んだ世界はこんなにも……こんなにも醜いものなのか?
:08/02/02 18:17
:N905i
:yyYYINn.
#8 [リナ]
:08/02/02 18:21
:N905i
:yyYYINn.
#9 [リナ]
「ねぇ魔王さま」
最後に魔物の子と話をしたのはどれくらい前だったか。
私たちに時間と言う概念はない。
それ故に彼の変化に気付いてやることが出来なかった。
:08/02/02 18:33
:N905i
:yyYYINn.
#10 [リナ]
「僕、変なんだ。
心がもやもやして僕が僕じゃなくなるような感覚。
僕どーなるの?怖いよ」
「大丈夫。
心を強く持ちなさい、しっかりと自分を取り戻して」
「自分を?」
「そぅ、自分を。
闇に捕われてはいけない。
死にたくないのだろ?
殺したくないのだろ?
君は争いが嫌いだと言っていたじゃないか……」
:08/02/02 19:52
:N905i
:yyYYINn.
#11 [リナ]
「魔王さま泣いてるの?
僕、頑張るから!
闇になんか負けないから!だから泣かないで?」
そう言ってニッコリ笑ってみせてくれた。
私はなんと無力なんだ。
この世界を統べる王ではないのか?
権力なんかいらない。
他人を傷つける力なんて欲しくなかった。
なぜ助けられない?
私はなぜ見てることしか出来ないんだ……。
なぜ……
:08/02/02 19:53
:N905i
:yyYYINn.
#12 [リナ]
私は知っている。
闇に飲まれた心は戻らない。
抵抗しても徐々に蝕まれ、いずれ自我は崩壊する。
私はなぜこんなにも無力なんだ。
なぜ小さな命一つ守ることが出来ない……。
:08/02/02 19:56
:N905i
:yyYYINn.
#13 [リナ]
私は愛するものを自らの手で殺してしまった時から他人の侵入を拒んできた。
きっと弱いのだろう。
相手を心配することや思いやること、大切にすることが怖かった。
何百年も心を閉ざしたまま、何も考えず死んだように生きていたんだ。
この子と出会うまで。
:08/02/02 20:35
:N905i
:yyYYINn.
#14 [リナ]
人間がいる限り我々は死ぬことはない、ほうっておいても成長する。
ただなんとなく連れて帰った。
感情を捨てたつもりだったが今思えば孤独だったのだろう。
温もりが欲しかったのかもしれない。
私は心を取り戻したよアンラ。
感情とはこんなにも悲しみが深いものなのだな。
:08/02/02 21:08
:N905i
:yyYYINn.
#15 [リナ]
アンラ、君はなぜ私を魔王にした?
私たちは幸せになってはいけない生きものなのか?
姿は醜くともあんなに綺麗な心を持っているのに――…。
心より姿形がそんなに大切なのか?
:08/02/02 21:43
:N905i
:yyYYINn.
#16 [リナ]
アンラ、君は言ったな。
憎しみや偏見のない世界。
我々と人とが手を取り合って生きていける世界を創りたいと。
私もそれを夢見ていた。
でも私は君を――…
私は話さなければならないな。
あの子も犠牲者だ。
真実を知る権利がある。
:08/02/02 21:44
:N905i
:yyYYINn.
#17 [リナ]
あの子が私をたずねてくる事があっても私が出向くことは初めてだ。
「ど、したの……?」
「お前に話があってな」
「そー、なんっ……だ?
魔王さまがきてくれるの……初めてだね。
ぼ……く、嬉しいよ」
「ごめんな……ごめん。
私は良い王にはなれなかったな。
苦しいだろ?
私が自分を取り戻せなどと言わなければ……」
:08/02/02 22:05
:N905i
:yyYYINn.
#18 [リナ]
魔物の子は闇に抵抗したために体は倍以上に膨れあがり水死体のようにブヨブヨで、眼球は飛び出し、口からはだらしなく舌が垂れ下がってしまっている。
「なにもかも私のせいだ、すまない」
「なんで……謝、るの?
僕、魔王さま……好き、だよ?」
話すのも辛いだろう。
一言一言ゆっくり言葉を発する。
お願いだから笑わないでおくれ……。
私にはそんな資格はないのだ。
:08/02/02 22:06
:N905i
:yyYYINn.
#19 [リナ]
:08/02/02 22:07
:N905i
:yyYYINn.
#20 [リナ]
「もう闇に身を任せてもいいんだよ?」
「いや……だ。
僕は、僕の……まま、でいたい」
「……そうか。
……今日は私の話を聞いてくれないか?」
魔物の子は黙ってただ頷いたのだった。
:08/02/03 07:30
:N905i
:ya4wh6ls
#21 [リナ]
「私たちがなぜ存在するのか話そう。
光の世界には人間が住んでいるな?
光あれば必ず闇が生まれる。闇は争いしか生まない。
憎しみだけの世界になってしまえば後は滅ぶだけ。
そうならないよう闇の女王が我らを創った」
:08/02/03 20:06
:N905i
:ya4wh6ls
#22 [リナ]
「我らは負の感情を体内で無害なものに変えられる。
だが、容量、キャパシティを越えると闇は我らを取り込み始める。
今の君みたいに……。
そして自我が崩壊すると人間を襲い始めるのだ」
:08/02/03 22:45
:N905i
:ya4wh6ls
#23 [リナ]
「人間は我らを忌み嫌い殺すが、我らの元は人の心が生み出したもの。
すなわち闇。
我らは人の闇から生まれた生きものだ。
人間がいる限り我らは滅びはしない。
好きで生まれてきたわけでは無いのにな……。
醜いのは我らではなく人の、心だ……」
:08/02/04 17:04
:N905i
:NDWed28E
#24 [リナ]
「また泣いて、るの……?
泣きむ、し……だね、魔王さ、まは。
魔王さまは醜く、ない、よ……とても、とても、綺麗だよ」
「魔物の子よ、お前も醜くはない。
私もお前が好きだ。
なのに助けてやれなくてすまない……」
:08/02/04 22:06
:N905i
:NDWed28E
#25 [リナ]
「僕、のために……泣いてく、れてありがとう。
魔王さ、まが、僕らの王さまで……僕、幸せだよ?」
「ありがとう。
私はこの世界が好きだ。
彼女が創った世界が、君たちが居る世界が」
……私は私に出来る事をしよう。
:08/02/05 15:37
:N905i
:lDvwDqd2
#26 [リナ]
「この世界を創ったのは闇の女王。
誰よりも優しく、誰よりも強く、誰よりも残酷な闇の女王アンラ=マンユ。
君はなぜ女王ではなく、私がこの世界を治めているか知ってるか?」
首を横に振った。
首と言うよりは体全体を揺すったと言うべきか。
話を聞いているだけでも辛いか。
それでも私は君に知っていて欲しい。
私の罪を――…。
:08/02/05 15:49
:N905i
:lDvwDqd2
#27 [リナ]
「私も昔、闇に捕われた事がある。
憎しみはすぐに心を蝕み自我は崩壊し、私は破壊の限りを尽くした。
人間を殺し世界を破滅に導いた……。
アンラが我らをそう創った。
人間を殺し我らも滅び、また神が世界を作り直す。
それが我らに与えられた使命。
だがアンラは優しすぎた」
:08/02/06 19:46
:N905i
:QrYgca1w
#28 [リナ]
「我らに残酷な使命を与えておきながらアンラは私を止めに来た。
少しでも自我が残っていれば私は自分を押さえられただろう。
少しでも自我が残っていれば私はアンラを認識できただろう。
アンラは自らの命と引き替えに私の中の闇を取りのぞいてくれたのだ。
アンラを殺した……私がそれを知ったのはずいぶん後になってからだったな」
:08/02/12 14:29
:N905i
:rOwfNOyc
#29 [リナ]
「愛するものを殺し生き残ってしまったのが私の罪。
それから私は淋しさや悲しさ、怒りや憎しみ、何も感じなくなった。
いや、感じなくなったのではないな、感じたくなかったのだ。
一人になりたかった……。
大切にすることや大切にされること、また殺してしまうのが怖くて私は心を閉ざした
:08/02/12 16:42
:N905i
:rOwfNOyc
#30 [リナ]
魔物の子よ。
お前は私の希望だ。
お前のおかげでまた幸せな時を過ごせた。
最後にしてやれる事はなんだろうな?
お前に、何か……」
「……ぼ、ぐ……な、名前が、欲じい……」
「名前か。
そうか、私は今まで名前も付けてやってなかったのだな……」
:08/02/12 16:44
:N905i
:rOwfNOyc
#31 [リナ]
「全てを受け流す。
全てを潤す。
全てを包みこむ。
時に激しく時に優しく降り注ぐ雨。
そんな王になるようにと、闇の女王が私に下さった名だ。
お前にあげよう、レイン」
私はこんなにも優しい声が、優しい顔が出来たのだな。
今まで知らなかった。
これもお前のおかげだ、レイン――…。
:08/02/12 16:45
:N905i
:rOwfNOyc
#32 [リナ]
「レ、イン……。
レイ……ン。
ぼぐの、名前レイ、ン……魔、王さまと、同じ……。
あ゙りがとう……あり、がどう……魔王さま……ありがどゔ……」
魔物の子レインは目から大粒の涙を流し、何度も何度も確認するように名を呼んでいた。
:08/02/12 16:48
:N905i
:rOwfNOyc
#33 [リナ]
私は君に何か残すことが出来たか?
名前などてはなく心に残る何か、生きた証を残すことができたか……?
私は自問自答をしその場を後にした。
:08/02/12 18:27
:N905i
:rOwfNOyc
#34 [リナ]
あの子は昔『勇者って何?』と聞いてきた事があったな。
勇者とはなんなのだろう。
人間にとって勇者は救世主なのだろう。
戦いを望まない我らを殺す者が救世主か――…。
我らから戦いを仕掛ける事はめったにない。
死ぬ瞬間の恐怖を味わう(食らう)為に人間を襲うのはほんの一握り。
:08/02/15 14:54
:N905i
:nf1dmBbA
#35 [リナ]
人間以上の力を持ち、人間より純粋な心を持つのが我ら魔族。
人間は我らを悪と決め付け、勇者は一方的に我らを殺して満足か。
我らにも人間と同じように心がある。
――涙を流す生きものだ。
:08/02/15 14:55
:N905i
:nf1dmBbA
#36 [リナ]
人間は我らが生きる事も許さないのか――…。
我らが幸せになる事も罪なのか――…。
ただ笑うことすら――…。
そんな世界なら要らない。
“人間との共存”夢は所詮夢なのだな。
――私は世界を壊すよ。
最後に私が闇をかぶろう。
:08/02/15 14:57
:N905i
:nf1dmBbA
#37 [リナ]
:08/02/15 14:59
:N905i
:nf1dmBbA
#38 [リナ]
漆黒の仮面は私の為に。
漆黒の翼は私の為に。
闇は全て我が力。
闇は全て我が糧となる。
この世界を壊すのは私。
悲しみと淋しさをともに
あふれる涙をその胸に
君に光を――…。
――さよならレイン――
:08/02/16 21:36
:N905i
:Fgcga5Mw
#39 [リナ]
グヴア゙ァァァァーーー
この世界を震わすほどの咆哮(ホウコウ)を上げ飛び立った。
これでやっと君の元へ行けるよアンラ――…。
:08/02/17 12:45
:N905i
:VUbHVxLg
#40 [リナ]
――――――――
―――――
―――
「レイーン!早く来いよ」
「あ、うん。……今行く」
魔王さま見てる?
僕人間の友達が出来たよ?
:08/02/18 20:00
:N905i
:b4cWV.YQ
#41 [リナ]
あの日、魔王さまが飛び立ったあの日。
魔王さまの声が聞こえたよ、みんなの心に届いたよ。
魔王さまは世界を壊したんじゃない、変えたんだ。
全ての人間の心から“欲”という感情を少し吸い取ったんでしょ?
闇の女王さまが魔王さまにしたみたいに――…。
:08/02/18 20:02
:N905i
:b4cWV.YQ
#42 [リナ]
僕の姿も醜く無くなったし、負の感情を取り込む必要も無くなったよ?
ねぇ魔王さま。
なんで魔王さまは居ないの?
僕、魔王さまに見てほしいんだよ?
一緒に笑ってほしいんだ。
僕いっぱい話したい事があるのに……。
もう一度逢いたいよ
魔王さま――…。
END
:08/02/22 10:01
:N905i
:qD4gjMuA
#43 [リナ]
:08/02/22 10:09
:N905i
:qD4gjMuA
#44 [リナ]
久々あげ
:08/06/20 20:41
:N905i
:4lLRSPCw
#45 [ん◇◇]
(´∀`∩)↑ag
:22/10/27 05:20
:Android
:DE5DdzBs
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