危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#792 [東脂ヤ転
「俺はお前を友達だと思ったことなんて一度も無かった。ずっとお前が好きだったんだ」

そこまで言うと北原は初めて辛そうに目を細めた。

北原が俺に見せるどの一面も、今までに見たことの無い部分ばかりで、俺は正直戸惑いを隠せずに居る。

「自分がおかしいんじゃないかって…すっげー悩んで、こんなにもお前のことだけを好きでいたのに…なのに…」

北原はそこで顔を上げると真っ直ぐ俺を見つめた。その瞳は一瞬身の毛もよだつ程怒りの込められた瞳だ。

ゆっくりと口を開く北原。

「お前は俺を裏切った」

⏰:08/09/22 21:37 📱:W52P 🆔:ww5c..s6


#793 [東脂ヤ転
けして大きな声では無いが北原はハッキリとそう言った。

「…裏切る…?」

その言葉の意味が判らず俺は北原の言葉をオウム返ししてしまう。
すると北原はそんな俺を見ながら呆れたように笑った。

「お前はずっと俺に"女が好きだ"と言ってたよな?今までも普通に林みたいな女と付き合って来ただろ?」

徐々に北原の声の強さが増していく。

「だから俺は諦めてたんだよ。"鳴は普通の男だなんだからしょうがない"ってな。
ずっと好きだって気持ちを押し殺してきた…!」


次々に明かされる北原の想いを、俺はただただ聞くことしか出来ない。

⏰:08/09/23 21:26 📱:W52P 🆔:rkWU9ISw


#794 [東脂ヤ転
「それなのにお前はある日突然、あっさり"普通"じゃなくなった…!!
突然現れた"静人"とかいう義兄にヤられてな!」
北原は吐き出すように声を上げた。
その言葉に俺は様々な意味で衝撃を受ける。

「…ッ!?…何で名前…」

何とか絞り出すように北原にそう訊くと、北原は鼻で笑って俺に言った。

「お前の義父がどれだけ有名人か知ってるだろ?その息子の名前なんか、簡単に調べられるよ。
ましてやあんな美形なら尚更な」

その言い方は全てを知り尽くしたかのような口振りで、俺は益々逃げ出したい程の焦燥感に襲われる。

⏰:08/09/23 21:38 📱:W52P 🆔:rkWU9ISw


#795 [東脂ヤ転
[静兄……ッ!!]

俺は思わず心の中で静兄の名を叫ぶ。
今の俺には北原に反論出来る程の余裕さえ無い。

これは今まで静兄の優しさに甘えて来た罰だろうか?
彩華を傷付け、自分が躊躇いも無く静兄の側に居る方法を選んだ報い?
考えれば考える程、俺には選択の余地がないことを思い知らされる。

「鳴…」

途方に暮れて足元から崩れ落ちそうになったその時、俺は名を呼ばれ突然抱き締められた。

静兄ではなく、俺が友達だと思っていた北原に。

⏰:08/09/23 21:48 📱:W52P 🆔:rkWU9ISw


#796 [東脂ヤ転
「もし俺と付き合うなら、この写真だって悪いようには使わねぇよ…?」

北原は耳元で小さくそう呟いた。
その言葉を聞き、初めて俺は北原に脅されているのだと解る。

俺は何も言えず立ち尽くし、北原はそんな俺を更に強く抱きしめ囁いた。

「よく考えてみろよ…この写真が公になった時、静人の仕事には支障が出るんじゃないか?」

そう大きくは無い北原の声が俺の胸には大音量で響き渡る。
"静兄の仕事に支障が出る"
今まで考えもしなかった話だ。

⏰:08/09/27 16:56 📱:W52P 🆔:XQyDmcc2


#797 [東脂ヤ転
こんな写真が、例えばインターネット上等に流出したりしたら…静兄の店はどうなる?
考えなくても答えは明らかだ。

写真のせいで自分が何か言われるのは仕方ない、自業自得なんだから。
でも、そのせいで静兄に迷惑をかけることは…絶対に出来ない。

俺に残された選択肢はたった一つ。

「俺が…俺がお前と付き合えば、静兄には迷惑かけないんだよな…?」

ゆっくりと身体を離しながら俺は確かめるように北原に訊く。

「当たり前だろ。俺はお前さえ手に入れば、それで十分なんだから」

そう言って北原は笑った。
こんな時でさえ北原は、いつもと変わらない笑顔を俺に向ける。

⏰:08/09/27 21:40 📱:W52P 🆔:XQyDmcc2


#798 [東脂ヤ転
――――――――

「…ただいま」

ようやくたどり着いた我が家に入ると俺は、消え入りそうな声でそう言った。
しかしいつもはすぐに返って来るはずの応えが、いくら待ってみても返って来ない。

[あ…そっか…]

玄関に並べられている靴の数を見て思い出した。
今は夜の7時前、静兄はとっくに仕事へ行っている時間だ。

平日の夜に静兄が居ないのはいつものことなのに何故か今日に限って、静兄に凄く早く会いたい自分が居る。

⏰:08/09/28 19:02 📱:W52P 🆔:O7XJlKTs


#799 [東脂ヤ転
「…プッ…子供じゃあるまいし」

そんな自分の子供じみた我が儘に嫌気がさして、俺は思わず苦笑する。

とりあえず玄関を上がり、渇いた喉を潤すためキッチンへと足を運ぶ。
するとテーブルの上にメモが置いてあることに気が付いた。

静兄からかも、と少し期待して俺はメモを取り上げる。

「…何だ、母さんかよ」

しかしそこに書かれていたのは母さんからの期待外れなメッセージだった。

《久々に帰って来たのにまたすれ違いだね〜
残念!お土産を冷蔵庫に入れておくので、晩にでも食べてね☆ 母より》

⏰:08/09/28 19:06 📱:W52P 🆔:O7XJlKTs


#800 [東脂ヤ転
「母さんは元気だなぁ」

相変わらず元気にしているのだと、手紙からその様子が伝わって来て自然と頬がゆるむ。

親父と離婚したのは俺がまだ小学生だった頃。
母さんはその頃からデザイナーとしてあちこちを飛び回っていて、忙しい中俺を女一人で育ててくれた。

そんな母さんだから、突然再婚を決めた時も反対はしなかったんだ。

今まで俺の為に生きてきた母さんだから、今度は母さんの人生を歩んで欲しくて。

⏰:08/10/05 10:05 📱:W52P 🆔:3IIvUxCU


#801 [東脂ヤ転
『よく考えてみろよ…この写真が公になった時、静人の仕事には支障が出るんじゃないか?』

その時ふ、と北原の言葉を思い出し俺の顔からは笑みが引いていく。
そしてその言葉が、母さんにも当てはまることに気付く。

[もしも…あの写真が母さんの目に入ったら…]

それだけじゃない。
母さんの会社に出回ったりしたら多大な迷惑をかけることになるだろう。

「やっぱ…北原と付き合うしか方法は無いんだよな…」

溜め息混じりにそう呟くと寂しさと不安で急に押し潰されそうになり、俺は足早に階段を駆け上がった。

⏰:08/10/05 20:03 📱:W52P 🆔:3IIvUxCU


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