危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#616 [我輩は匿名である]
面白い

:08/06/09 12:01
:F703i
:BkKUwbvU
#617 [東脂ヤ転
「イッチーってさぁ、ほんまに静に似とるよねぇ」
俺は固くなった身体をほぐすように、大きく伸びをした。
その様子を見つめながらイッチーは微笑して手を止める。
「俺はちっとも静さんみたいな大人ちゃいますよ」
俺は笑ってイッチーの方を向く。
「静が大人ぁ〜!?アイツは今も昔も子供やで!」
そう言って空いたカップをカウンターまで持って行く。
[大体あんなワガママで、独占欲の強い大人見た事ないわ!!]
俺はイッチーが注いでくれるコーヒーを横目に、そんな事を思った。
:08/06/10 16:02
:W52P
:WOiJr.Uc
#618 [東脂ヤ転
「圭ちゃんみたいな人を未だに雇ってるだけで十分"大人"やと思いますわ」
「・・・みたいな人!!??それどういう意味やねん!?」
俺はイッチーからの意外な言葉に反応して、コーヒーをこぼしそうになる。
イッチーは楽しそうに笑うと俺の近くのイスに腰掛けた。
「圭ちゃん未だ男遊び激しいんでしょ?」
突然イッチーの声色が変わったのに驚いて顔を上げると、さっきとは違う真面目な眼をしていた。
:08/06/10 22:41
:W52P
:WOiJr.Uc
#619 [東脂ヤ転
俺はそんな眼を前にして思わず目を逸らした。
「また明さん怒らしたから、ウチの店に来たんでしょ?」
イッチーは相変わらず俺を見つめながら、尚的確な問いをぶつけてくる。その度に静によく似た黒髪が揺れるのを、俺は気にしていた。
「明さんはもどかしいやろなぁ・・・」
しかしイッチーが不意にそんな事を言い出したので、俺は思わず顔を上げた。
:08/06/11 00:51
:W52P
:vTGc.C5A
#620 [東脂ヤ転
「明が何やって?」
俺はよほど怪訝そうな表情をしたのだろう。
イッチーはちょっと呆れたように笑うと、俺のコーヒーカップに手をかけた。
「例えばコーヒー大好きな圭ちゃんが、ほんまに好きなコーヒーには高くて手が出せへんとするやん?」
「・・・は?」
突然の例え話に俺はポカンとしてしまう。
「せやからただ安くて手に入れ易い、そこら辺の缶コーヒーばっか飲んで、その欲を満たしていたとする」
しかしそんな俺をよそに、イッチーは意外にも真面目な顔で例え話を続ける。
:08/06/11 08:51
:W52P
:☆☆☆
#621 [東脂ヤ転
「圭ちゃんは毎日毎日缶コーヒーを美味しそうに飲むけど、それはただの"穴埋め"だって事を気付いている人がいるとして・・・」
そこで突然言葉が切れた。俺は不審に思いイッチーの顔を覗き込むと、さっきよりも表情が曇っていた。
「イッチー?」
「・・・アカン・・・」
「・・・・・・何が?」
イッチーは不安げな眼で俺を見つめながらゆっくり口を開く。
「この話の・・・・・・オチが見つけられへん・・・」
:08/06/11 11:08
:W52P
:☆☆☆
#622 [東脂ヤ転
「プッ・・・アハハハハ!!何やそれ!?
自分で始めた例え話やろ!!オチまで考えてから話しぃや!!アハハハハ!!」
さっきまで真剣な眼差しだっただけに、やけにツボに入って笑いが止まらなくなってしまった。
「話しだしたら言いたい事まとまらんようになってしまったんですもん!あんま責めんといて下さいよぉ!!」
店内には俺とイッチーの笑い声が響く。
:08/06/11 11:29
:W52P
:☆☆☆
#623 [東脂ヤ転
「ハァ・・・せやから、僕が言いたかったのは・・・」
ひとしきり2人で笑った後一呼吸置いて、イッチーがまた口を開いた。
「圭ちゃんが男遊び激しいんは、静さんの"穴埋め"をするためやって、明さんは分かってますよ」
イッチーは何気なくさらっと、しかし結構重要なことを言ってのけた。
俺は思わず口に含んだコーヒーを吹き出しそうになる。
「おま・・・ッ!!いつからそんなこと知って・・・!!」
「圭ちゃんが静さんを好きやって話ですか?
見てたら分かりますわぁ〜そんなん♪」
イッチーの笑顔がいつもに増して輝いて見える。
[・・・読めへん奴や・・・]
:08/06/12 08:49
:W52P
:☆☆☆
#624 [東脂ヤ転
「でもまぁ・・・俺が静を好きやったんは昔の話やで」
俺はイッチーが持ってきてくれたクッキーを頬張りながらそう言った。
「でも今でも、いつかは"手に入れたい"って思ってはりますよね?」
コーヒーの代わりに水を口にしたイッチーは、また何気なく鋭い事を訊いてくる。しかし、
「いや・・・もうそれは無いわ」
俺はその問いに対してハッキリとそう返した。
その声は自分でも驚く程酷く、冷たく聞こえた。
:08/06/12 22:07
:W52P
:☆☆☆
#625 [東脂ヤ転
俺が静を好きになったのは高校の時。
もともと美形で有名だった静は、男子からも女子からも人気があって、孤独には無縁な奴のように見えた。
その事を今の静に言ったら「お前の目は節穴だ」って呆れられたけど。
とにかく一目惚れだった。あの黒髪も細みの身体も、一度聴いたら忘れられない、よく透るあの声も。
全てが羨ましくて愛おしくて、手に入れたくて仕方なかった。
でもそんな僅かな願いさえ、いつだって叶わない。
静の隣にはいつも誰かが居て、俺の入る隙間なんか少しも残っていないんだ。
寂しがり屋な俺には静が必要なのに。
:08/06/13 09:04
:W52P
:☆☆☆
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