危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#620 [東脂ヤ転
「明が何やって?」

俺はよほど怪訝そうな表情をしたのだろう。
イッチーはちょっと呆れたように笑うと、俺のコーヒーカップに手をかけた。

「例えばコーヒー大好きな圭ちゃんが、ほんまに好きなコーヒーには高くて手が出せへんとするやん?」

「・・・は?」

突然の例え話に俺はポカンとしてしまう。

「せやからただ安くて手に入れ易い、そこら辺の缶コーヒーばっか飲んで、その欲を満たしていたとする」

しかしそんな俺をよそに、イッチーは意外にも真面目な顔で例え話を続ける。

⏰:08/06/11 08:51 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#621 [東脂ヤ転
「圭ちゃんは毎日毎日缶コーヒーを美味しそうに飲むけど、それはただの"穴埋め"だって事を気付いている人がいるとして・・・」

そこで突然言葉が切れた。俺は不審に思いイッチーの顔を覗き込むと、さっきよりも表情が曇っていた。

「イッチー?」

「・・・アカン・・・」

「・・・・・・何が?」

イッチーは不安げな眼で俺を見つめながらゆっくり口を開く。

「この話の・・・・・・オチが見つけられへん・・・」

⏰:08/06/11 11:08 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#622 [東脂ヤ転
「プッ・・・アハハハハ!!何やそれ!?
自分で始めた例え話やろ!!オチまで考えてから話しぃや!!アハハハハ!!」

さっきまで真剣な眼差しだっただけに、やけにツボに入って笑いが止まらなくなってしまった。

「話しだしたら言いたい事まとまらんようになってしまったんですもん!あんま責めんといて下さいよぉ!!」

店内には俺とイッチーの笑い声が響く。

⏰:08/06/11 11:29 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#623 [東脂ヤ転
「ハァ・・・せやから、僕が言いたかったのは・・・」

ひとしきり2人で笑った後一呼吸置いて、イッチーがまた口を開いた。

「圭ちゃんが男遊び激しいんは、静さんの"穴埋め"をするためやって、明さんは分かってますよ」

イッチーは何気なくさらっと、しかし結構重要なことを言ってのけた。
俺は思わず口に含んだコーヒーを吹き出しそうになる。

「おま・・・ッ!!いつからそんなこと知って・・・!!」

「圭ちゃんが静さんを好きやって話ですか?
見てたら分かりますわぁ〜そんなん♪」

イッチーの笑顔がいつもに増して輝いて見える。
[・・・読めへん奴や・・・]

⏰:08/06/12 08:49 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#624 [東脂ヤ転
「でもまぁ・・・俺が静を好きやったんは昔の話やで」

俺はイッチーが持ってきてくれたクッキーを頬張りながらそう言った。

「でも今でも、いつかは"手に入れたい"って思ってはりますよね?」

コーヒーの代わりに水を口にしたイッチーは、また何気なく鋭い事を訊いてくる。しかし、

「いや・・・もうそれは無いわ」

俺はその問いに対してハッキリとそう返した。
その声は自分でも驚く程酷く、冷たく聞こえた。

⏰:08/06/12 22:07 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#625 [東脂ヤ転
俺が静を好きになったのは高校の時。
もともと美形で有名だった静は、男子からも女子からも人気があって、孤独には無縁な奴のように見えた。

その事を今の静に言ったら「お前の目は節穴だ」って呆れられたけど。

とにかく一目惚れだった。あの黒髪も細みの身体も、一度聴いたら忘れられない、よく透るあの声も。
全てが羨ましくて愛おしくて、手に入れたくて仕方なかった。

でもそんな僅かな願いさえ、いつだって叶わない。
静の隣にはいつも誰かが居て、俺の入る隙間なんか少しも残っていないんだ。

寂しがり屋な俺には静が必要なのに。

⏰:08/06/13 09:04 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#626 [東脂ヤ転
「それは・・・もう諦めたってことですか?」

俺の応えを促すように、イッチーはゆっくりと尋ねる。
その表情は何とも複雑そうで、嘘のつけないイッチーらしい反応だ。

「諦めたっていうより・・・観念したって感じやなぁ。今の静の恋人にはかなう気せぇへんし、多分静の最後の子になると思うしな。」

俺はイッチーに言いながら、自分自身に確認しているようだった。

「"最後の子"?」

イッチーは不思議そうに俺の言葉を復唱する。

「・・・"最後の恋人"って、意味な」

俺はそう言うと思わず苦笑いした。
自分で言った台詞で傷付いてる自分が、妙に情けなくて。

⏰:08/06/13 09:23 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#627 [東脂ヤ転
[ほんま・・・こればっかはしゃあないやろ・・・]

俺の頭には鳴ちゃんの顔が浮かぶ。

初めて鳴ちゃんに会った時、その口から"静兄"って呼ぶのを聞いてショックだったのと同時に何故か安心した。

「あぁ、紫穂の"穴埋め"になる子が、静にも出来たんやな」
そんな風に思っていた。

でも実際に2人の様子を見てたらすぐ気付いた。鳴ちゃんは紫穂の代わりじゃなかった。

静は鳴ちゃんだから、好きになったんだ。

それに気付いた時俺は思った。
静から卒業する日が来ちゃったなぁ、って。

⏰:08/06/13 16:09 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#628 [東脂ヤ転
「・・・俺もなぁちょっとは抵抗してみたんよ?認めたくなくてなぁ」

コーヒーカップを眺めながら俺は小さく話す。
店内には眩し過ぎる程の日差しが入り込んで来ている。

「静とその子の間に入って、少〜し仲を引っ掻き回してみたワケ」

「え"ー!?圭ちゃん悪趣味やなぁ〜」

あまりにも正直なその言葉に俺はまた吹き出してしまう。
"悪趣味"か・・・。
確かにそうかもな。

静に対する嫌がらせのつもりで鳴ちゃんに近付いたのに、最後はほんまに鳴ちゃんの可愛さに惹かれて抱こうとしてたんやから・・・。

⏰:08/06/15 07:49 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#629 [東脂ヤ転
「で?圭ちゃん、静さんの彼氏・・・ってか恋人に手ぇ出したんですか?」

イッチーはいつになく目を光らせて俺に凄い勢いで尋ねる。

「手ぇ出したっつーか・・・ちょこ〜っとキスして・・・」

「キス!!??」

「あ!あと媚薬もほんまちょこ〜っとだけ・・・」

「媚薬!!??」

まるで漫才のようなやりとりが可笑しくて俺はイッチーを見ると、イッチーの方は結構真剣に不満気な顔をしていた。

2人の間に何となく気まずい空気が流れる。

⏰:08/06/16 08:48 📱:W52P 🆔:☆☆☆


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