危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#797 [東脂ヤ転
こんな写真が、例えばインターネット上等に流出したりしたら…静兄の店はどうなる?
考えなくても答えは明らかだ。

写真のせいで自分が何か言われるのは仕方ない、自業自得なんだから。
でも、そのせいで静兄に迷惑をかけることは…絶対に出来ない。

俺に残された選択肢はたった一つ。

「俺が…俺がお前と付き合えば、静兄には迷惑かけないんだよな…?」

ゆっくりと身体を離しながら俺は確かめるように北原に訊く。

「当たり前だろ。俺はお前さえ手に入れば、それで十分なんだから」

そう言って北原は笑った。
こんな時でさえ北原は、いつもと変わらない笑顔を俺に向ける。

⏰:08/09/27 21:40 📱:W52P 🆔:XQyDmcc2


#798 [東脂ヤ転
――――――――

「…ただいま」

ようやくたどり着いた我が家に入ると俺は、消え入りそうな声でそう言った。
しかしいつもはすぐに返って来るはずの応えが、いくら待ってみても返って来ない。

[あ…そっか…]

玄関に並べられている靴の数を見て思い出した。
今は夜の7時前、静兄はとっくに仕事へ行っている時間だ。

平日の夜に静兄が居ないのはいつものことなのに何故か今日に限って、静兄に凄く早く会いたい自分が居る。

⏰:08/09/28 19:02 📱:W52P 🆔:O7XJlKTs


#799 [東脂ヤ転
「…プッ…子供じゃあるまいし」

そんな自分の子供じみた我が儘に嫌気がさして、俺は思わず苦笑する。

とりあえず玄関を上がり、渇いた喉を潤すためキッチンへと足を運ぶ。
するとテーブルの上にメモが置いてあることに気が付いた。

静兄からかも、と少し期待して俺はメモを取り上げる。

「…何だ、母さんかよ」

しかしそこに書かれていたのは母さんからの期待外れなメッセージだった。

《久々に帰って来たのにまたすれ違いだね〜
残念!お土産を冷蔵庫に入れておくので、晩にでも食べてね☆ 母より》

⏰:08/09/28 19:06 📱:W52P 🆔:O7XJlKTs


#800 [東脂ヤ転
「母さんは元気だなぁ」

相変わらず元気にしているのだと、手紙からその様子が伝わって来て自然と頬がゆるむ。

親父と離婚したのは俺がまだ小学生だった頃。
母さんはその頃からデザイナーとしてあちこちを飛び回っていて、忙しい中俺を女一人で育ててくれた。

そんな母さんだから、突然再婚を決めた時も反対はしなかったんだ。

今まで俺の為に生きてきた母さんだから、今度は母さんの人生を歩んで欲しくて。

⏰:08/10/05 10:05 📱:W52P 🆔:3IIvUxCU


#801 [東脂ヤ転
『よく考えてみろよ…この写真が公になった時、静人の仕事には支障が出るんじゃないか?』

その時ふ、と北原の言葉を思い出し俺の顔からは笑みが引いていく。
そしてその言葉が、母さんにも当てはまることに気付く。

[もしも…あの写真が母さんの目に入ったら…]

それだけじゃない。
母さんの会社に出回ったりしたら多大な迷惑をかけることになるだろう。

「やっぱ…北原と付き合うしか方法は無いんだよな…」

溜め息混じりにそう呟くと寂しさと不安で急に押し潰されそうになり、俺は足早に階段を駆け上がった。

⏰:08/10/05 20:03 📱:W52P 🆔:3IIvUxCU


#802 [東脂ヤ転
ーガチャ…ッ

嫌な不安を取り払うように俺は一番近くの部屋のドアノブを回し、飛び込むように中へ入った。

「…あ」

すると、妙に気持ちが落ち着く香りがすると思ったら間違えて静兄の部屋に入ってしまったことに気が付く。

「ハッ…疲れてんのかな…俺」

そう自分自身に苦笑すると向きを変え、部屋を出ようと再びドアノブに手をかけた。

しかし不思議なことに、この部屋ではさっきまで自分の中にあった変な緊張感が少し和らいだように思えた。

[これって…静兄パワー!?]

なんてふざけたことを考えて小さく笑うと俺は静兄のベッドに飛び込んだ。

⏰:08/10/06 08:48 📱:W52P 🆔:7OV0eUGI


#803 [東脂ヤ転
俺のよりも遥かに広いベッドは、一番静兄の香りが強くて俺の心を落ち着かせてくれる。

「これってちょっと変態チックだよな…」

ベッドにうつ伏せたまま俺は一人呟いてはまた小さく笑い、そんなことをずっと続けていた。

その内静兄の香りの中に居るにつれ、目に見えない静兄に抱きしめられているような思いに駆られる。

心地良いまどろみの中、目を閉じていると突然睡魔が襲ってきた。

俺はそれに逆らうつもりも無く、ゆっくりと眠りに落ちていく。

⏰:08/10/07 08:20 📱:W52P 🆔:1nGIacXs


#804 [東脂ヤ転
暫く目を閉じていると静兄の姿が浮かんできた。
少しくせのかかった黒髪に黒い瞳、スラッと長い手足に高そうなスーツ。
俺の中の静兄はいつも決まってそのスタイルだった。

カッコ良くて優しくていつも側に居てくれる静兄。
そんな静兄は今や俺にとって、男としても理想の人となっていた。

それなのに…

『当たり前だろ。俺はお前さえ手に入れば、それで十分なんだから』

北原の言葉が再び俺に襲いかかる。
俺はそんな優しい静兄を裏切ろうとしているんだ。

⏰:08/10/12 00:28 📱:W52P 🆔:VW4YMCrU


#805 [東脂ヤ転
俺が北原と付き合う、と言ったら静兄は何と言うだろう。
多分俺に理由を問いただして、北原を殴りに行くに違いない。

いや、それよりも先に失望されるかもしれないな。
静兄に何の相談もせず、勝手に決めてしまったことだ。
「本当に俺のことを好きなのか?」と疑われたっておかしくない。

でも…本当は分かって欲しい。
静兄のことが大切だからこそ、守りたいって思うんだ。邪魔をしちゃいけない、迷惑をかけちゃいけないって思うから…。

こんな不器用なやり方でしか静兄を好きな気持ちを表現出来ない俺は、何て情けないんだろう。

眠りと思いの狭間で俺はまた苦しくなって涙が溢れた。

⏰:08/10/13 00:11 📱:W52P 🆔:WavzRs0Q


#806 [東脂ヤ転
その時だった。

「……ッ!…んん…ッハァ…ッ!!」

俺は突然息苦しくなり身体を捩(よじ)らせた。
しかし上から何かの重みがかかり、思うように身体が動か無い。

寝ぼけまなこな俺も流石に変だと思い恐る恐る瞳を開けてみる。
するとそこには、俺が今会いたくてたまらなかった人が妖しい笑みを浮かべていた。

「……静…兄」

俺はゆっくりと口を開いた。
その名前を呼ぶだけで何故か胸が酷く締めつけられる。

⏰:08/10/13 08:16 📱:W52P 🆔:WavzRs0Q


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