危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#801 [東脂ヤ転
『よく考えてみろよ…この写真が公になった時、静人の仕事には支障が出るんじゃないか?』
その時ふ、と北原の言葉を思い出し俺の顔からは笑みが引いていく。
そしてその言葉が、母さんにも当てはまることに気付く。
[もしも…あの写真が母さんの目に入ったら…]
それだけじゃない。
母さんの会社に出回ったりしたら多大な迷惑をかけることになるだろう。
「やっぱ…北原と付き合うしか方法は無いんだよな…」
溜め息混じりにそう呟くと寂しさと不安で急に押し潰されそうになり、俺は足早に階段を駆け上がった。
:08/10/05 20:03
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#802 [東脂ヤ転
ーガチャ…ッ
嫌な不安を取り払うように俺は一番近くの部屋のドアノブを回し、飛び込むように中へ入った。
「…あ」
すると、妙に気持ちが落ち着く香りがすると思ったら間違えて静兄の部屋に入ってしまったことに気が付く。
「ハッ…疲れてんのかな…俺」
そう自分自身に苦笑すると向きを変え、部屋を出ようと再びドアノブに手をかけた。
しかし不思議なことに、この部屋ではさっきまで自分の中にあった変な緊張感が少し和らいだように思えた。
[これって…静兄パワー!?]
なんてふざけたことを考えて小さく笑うと俺は静兄のベッドに飛び込んだ。
:08/10/06 08:48
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#803 [東脂ヤ転
俺のよりも遥かに広いベッドは、一番静兄の香りが強くて俺の心を落ち着かせてくれる。
「これってちょっと変態チックだよな…」
ベッドにうつ伏せたまま俺は一人呟いてはまた小さく笑い、そんなことをずっと続けていた。
その内静兄の香りの中に居るにつれ、目に見えない静兄に抱きしめられているような思いに駆られる。
心地良いまどろみの中、目を閉じていると突然睡魔が襲ってきた。
俺はそれに逆らうつもりも無く、ゆっくりと眠りに落ちていく。
:08/10/07 08:20
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#804 [東脂ヤ転
暫く目を閉じていると静兄の姿が浮かんできた。
少しくせのかかった黒髪に黒い瞳、スラッと長い手足に高そうなスーツ。
俺の中の静兄はいつも決まってそのスタイルだった。
カッコ良くて優しくていつも側に居てくれる静兄。
そんな静兄は今や俺にとって、男としても理想の人となっていた。
それなのに…
『当たり前だろ。俺はお前さえ手に入れば、それで十分なんだから』
北原の言葉が再び俺に襲いかかる。
俺はそんな優しい静兄を裏切ろうとしているんだ。
:08/10/12 00:28
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#805 [東脂ヤ転
俺が北原と付き合う、と言ったら静兄は何と言うだろう。
多分俺に理由を問いただして、北原を殴りに行くに違いない。
いや、それよりも先に失望されるかもしれないな。
静兄に何の相談もせず、勝手に決めてしまったことだ。
「本当に俺のことを好きなのか?」と疑われたっておかしくない。
でも…本当は分かって欲しい。
静兄のことが大切だからこそ、守りたいって思うんだ。邪魔をしちゃいけない、迷惑をかけちゃいけないって思うから…。
こんな不器用なやり方でしか静兄を好きな気持ちを表現出来ない俺は、何て情けないんだろう。
眠りと思いの狭間で俺はまた苦しくなって涙が溢れた。
:08/10/13 00:11
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#806 [東脂ヤ転
その時だった。
「……ッ!…んん…ッハァ…ッ!!」
俺は突然息苦しくなり身体を捩(よじ)らせた。
しかし上から何かの重みがかかり、思うように身体が動か無い。
寝ぼけまなこな俺も流石に変だと思い恐る恐る瞳を開けてみる。
するとそこには、俺が今会いたくてたまらなかった人が妖しい笑みを浮かべていた。
「……静…兄」
俺はゆっくりと口を開いた。
その名前を呼ぶだけで何故か胸が酷く締めつけられる。
:08/10/13 08:16
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#807 [東脂ヤ転
「クスッ…全然抵抗しないなんて、よっぽど疲れてたんだな」
そう言って笑った静兄はゆっくりと俺から身体を離す。
その言葉の意味も分からず俺がまだ茫然としていると、静兄は自分の唇を舌で舐めた。
「……あ!!」
何となく自分の唇に触れてみるとうっすら湿っているのが分かり、その時初めて静兄にキスされていたことに気付く。
同時にとてつもなく恥ずかしくなって顔が熱くなるのを感じる。
「顔、赤いぞ?」
静兄は締めていたネクタイを緩めながら目を細める。
俺はその余裕の態度に腹が立ち、近くにあった枕を静兄目掛けて投げつけた。
:08/10/13 12:43
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#808 [東脂ヤ転
「あれか…鳴は照れると枕を投げるんだな」
「うるさい!!
人の寝込みを襲うとか卑怯だぞ!!」
「卑怯って…クスクスッ」
「笑うなぁーーーッ!!!!」
俺はベッドの上にあるだけの枕を投げつけた。
でも効果は全く無くて、むしろ静兄は楽しそうに俺を見つめていた。
その後もありとあらゆる、静兄に対する不満を抗議したんだけれど、静兄はただ微笑みながら着々と着替えをしていた。
そんな静兄の様子から本当は目を離すことが出来ない俺は、照れ隠しにくだらない話を続ける。
:08/10/13 17:15
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#809 [東脂ヤ転
「大体、静兄はいつもさぁ…」
そこまで言うと俺は言葉を飲み込む。ちょうど静兄がシャツを脱ぎ、その肌が露わになった時だった。
男の俺が見ても思わず「綺麗だ」と言ってしまいそうになる程、静兄の身体は美しい。
同じ男なのに俺とは全く違う造りをしているようだ。
「いつも…さ…」
頭では話を続けようとしているのに目が静兄から離せない。
そんな俺の異変に気付いたのか、いつの間にか静兄は俺の方に向き直って居た。
「何?見とれてるの?」
静兄は俺の心を見透かすような笑みでそう言う。
:08/10/13 21:40
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#810 [東脂ヤ転
「バ…ッ…だから…!」
静兄のその言葉で一気に現実に戻った俺は、再び近くにあった物を投げようと手を振り上げる。
しかし今度はさっきと違って、その腕をしっかりと静兄に掴まれてしまった。
更に勢い余って俺は静兄に押し倒されたような体制になってしまう。
「…鳴」
さっきまでの余裕しゃくしゃくな静兄から一転して、静兄は真剣な表情で俺を見つめる。
突然の静兄の変化に俺は急に不安になる。
「鳴…お前何かあったのか?
さっきお前、泣いてただろ…?」
静兄は真剣な眼差しで俺に訊く。
いきなり率直な質問に俺は言葉が出ず応えられない。
頭では北原のことが浮かんでいるのに。
:08/10/13 21:50
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