月の裏側

免許を取った俺。

ドライブデートしほうだい。

車内キスって憧れなのに…百合は全く同意してくれない。

やっぱ野外だから？

でも一応二人っきりだし。

百合は外に出ると強気な女になる。

でも家では甘えん坊。

見事なツンデレ。

まじ可愛いんだよ、これが。

服買ったり映画見に行ったり。

手は繋ぐけど絶対イチャついてくれないとこが、またイイんだよ。

家に帰る楽しみができんじゃん？

早く家につきたくて俺はアクセルを強く踏んだ。

夕日を眩しそうな目で睨む百合。

あーぁ、なんでこんな美人な訳？

我慢できなくなりそ。

ラブホ入ろっかなー

「今日はミナトん家にしよっか」

小さく笑ってタイミングよく百合が言った。

「了解」

俺の心読んでたみたいにナイスタイミング。

ラブホの誘惑を我慢して自分の家に急いだ

「…ッ」

「…百合」

部屋に入ると同時に、むせ返るようなキスをした。

百合を壁に押さえ付け、俺の右手は柔らかく細々しいお腹を撫でる。

百合の左手がそれを止めてくる。

俺は構わず服の裾から手を侵入させた。

「…ﾝｯ…ちょっとミナト」

百合から離れた唇。

「何？」

俺の右手は百合の両手で制御された。

左手があるけど…嫌がる姿も可愛いから、今日は意地悪しない。

「焦りすぎだよ」

照れてる百合の手に、指を絡めた。

「したくない？」

「そうじゃないけど…」

あぁ、ムードが大事ってやつですか。

俺はムードよりも早く百合の可愛い姿が見たくて仕方ないですよ。

「ごめん、ビックリさせちゃったね～」

俺は百合の頭を撫でて、ベットにもたれた。

「私こそごめん」

謝るなよ、俺が抑制できなかったのが原因なのに。

百合が好きだから焦りすぎたけど、百合が好きだから我慢できる。

テレビをつけながら、ベットの上でひたすら話をした。

笑える話、驚く話、怖い話…他愛もない会話が心地いい。

ふと窓から空を見上げた。

「うぉっ！」

「どうしたの？」

窓の外を見て小さな叫びを発した俺に、百合の疑問の声が掛かる。

「百合も見てみ」

「空？」

チョコンと俺の隣に座り、窓の外を覗く彼女。