月の裏側
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#391 [我輩は匿名である]
美優は、車の中で遊ぶ人形を取ってくると言い、子供部屋に走っていった。
その間、俺は懐かしい人に電話をかけた。
「…はーい」
「ごめん、寝てた?」
「夜勤明けで今から寝るとこー。どしたの、こんな時間に」
「ごめんな。あのさ…百合行ってない?」
:08/09/22 18:36
:PC
:NBujLwf2
#392 [我輩は匿名である]
夜勤明けだと言ってるのに、百合がいるわけない。
だけど、百合が家事や育児でわからないことがあると1番に駆け寄っていたのがこいつ、真子だった。
「来てないけど…何かあったの?」
真子の声色が変わった。
「いなくなったんだ。百合から何か相談とかされてなかった?」
「うそ…何も聞いてないけど。喧嘩でもした?」
:08/09/22 18:43
:PC
:NBujLwf2
#393 [我輩は匿名である]
「いや、喧嘩じゃなくて。百合、ヨースケのことで悩んでたみたいだから」
「ヨースケって…なんでそんな懐かしい名前出てくるわけ?」
「知るか!俺だって知りてーよ!どこ行ったんだよ、百合…」
苛立ちから真子を責めてしまった
真子に怒鳴ったって百合が見つかるってわけじゃねーのに。
:08/09/22 18:44
:PC
:NBujLwf2
#394 [我輩は匿名である]
「とにかく落ち着きな。美優は?」
「家にいる。一人で出てったんだ」
「もしかしたらフラっと買い物から帰ってく‥」
「んなわけねーだろ!こんな時間に。メールだって来たんだよ。心配するな、ごめん…って。何だよコレ!意味わかんねーし」
溜め息が零れる
:08/09/22 18:45
:PC
:NBujLwf2
#395 [我輩は匿名である]
俺とは違い、真子は冷静だった
「実家に連絡は?」
「…まだ」
「じゃあ実家かもしんない。実家じゃなかったら…ヨースケのとこ」
真子の遠慮しがちな最後の言葉を聞いて、頭が痛くなった。
「とりあえず探してみる。悪かったな、寝てるのに」
「ううん…ミナト、大丈夫?」
「もう崩壊寸前」
:08/09/22 18:46
:PC
:NBujLwf2
#396 [我輩は匿名である]
「がんばりな。ミナトには美優がいるんだから。逃げ出しちゃだめだよ」
「あぁ…」
「なんかあったらすぐ電話して。私も行くから」
「わかった。じゃあ」
電話を切って、後ろを振り向くと、怯えた顔の美優がいた。
:08/09/22 18:46
:PC
:NBujLwf2
#397 [我輩は匿名である]
「美優、支度できた?」
「ぱぱ、こわいよ」
「え?」
「なにおこってんの?」
「別に何も」
真子に怒鳴ってしまった時、きっと美優は聞いていたんだ。
普段の俺は、美優に怒鳴ったこともなければ大声を出すこともない。
:08/09/22 18:47
:PC
:NBujLwf2
#398 [我輩は匿名である]
だからさっきの俺が別人のように怖かったのだろう。
「美優、ごめん。びっくりしちゃったな」
しゃがんで美優に目線の高さに合わせた
「みゆにも、おっきなこえ、だすの?」
「出さないよ。美優にもママにも出さない。ごめんね」
「ほんと?」
「ほんと。もう支度できた?行ける?」
「うん」
「じゃあ行こっか」
:08/09/22 18:47
:PC
:NBujLwf2
#399 [我輩は匿名である]
美優にも許してもらい、俺らは家を出た。
コンビニでパンとジュースを買い、簡単な朝ご飯を済ませた。
車内は陽気な子供のうた。
美優は楽しそうに歌っている。
向かうはヨースケの家。
何も連絡を入れなかった。
:08/09/22 18:48
:PC
:NBujLwf2
#400 [我輩は匿名である]
もし百合がいて、俺らが迎えに来ることを知ったら…きっと逃げられる。
何も責めてないんだから、帰って来て欲しい。
30分後にはヨースケの家に着いた。
駐車場に車を止め、俺はヨースケの携帯に電話をかけた。
:08/09/22 19:20
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:NBujLwf2
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