月の裏側
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#415 [我輩は匿名である]
「で、久しぶりついでに今日の夜飲み行く?マコトも呼んで」

「悪い。また今度な。今、忙しくて」

「えー、数年ぶりに再会したのにー」

タツヤは昔とほとんど変わってない。

「ごめんな。また連絡して」

「はいはい。じゃあね。美優ちゃん、バイバイ」

「ばいばーい」

⏰:08/09/23 16:05 📱:PC 🆔:a.07ms/M


#416 [我輩は匿名である]
懐かしい友達の笑顔。

あの頃は、百合とこんな未来を築いているなんて想像もしなかった。

百合が綺麗で美人な女だと褒められるのが嬉しくて、いつも鼻が高かった。

やっぱり俺には勿体ないくらいの奥さんなんだな、百合って。

自分の不甲斐なさにどんどん腹が立ってくる。

美優をチャイルドシートに座らせて再び車を発車した。

⏰:08/09/23 16:06 📱:PC 🆔:a.07ms/M


#417 [我輩は匿名である]
30分かけて着いた場所は、美優の喜ぶところだった。

「おじーちゃんとおばーちゃんのおうち〜」

百合の実家だった。

「うん。ほら、美優おりて」

⏰:08/09/23 16:06 📱:PC 🆔:a.07ms/M


#418 [我輩は匿名である]
車から降りた美優の髪の毛がフワッと風で揺れた。

その動きや横顔が百合にそっくりで…俺に似てると言われてる美優だけど、やっぱり百合の子なんだ、って改めて実感させられた。

ピーンポーン

美優の手を繋ぎ、インターホンを押した

⏰:08/09/23 16:07 📱:PC 🆔:a.07ms/M


#419 [我輩は匿名である]
「はい」

「おはようございます」

インターホンのカメラに向かって頭を下げた

「ミナトくん…どうぞ」

お義母さんの声でわかった。

百合がここにいるんだ、って。

⏰:08/09/23 16:08 📱:PC 🆔:a.07ms/M


#420 [我輩は匿名である]
ガチャ…

「おばーちゃぁーん!」

美優が飛びつくとお義母さんは優しい笑顔を見せた。

「まぁ、美優ちゃんも来てくれたの?」

「うん、ぱぱのくるまできたー」

「そう!ありがとうね。中におじいちゃんいてるから入って」

⏰:08/09/23 16:08 📱:PC 🆔:a.07ms/M


#421 [我輩は匿名である]
美優は靴を脱いで、おじいちゃんと叫びながら中に入っていった。

美優の靴の隣に、百合の靴もあった。

「ミナトくん、来てくれてありがとね」

「あの、百合は…」

「ええ。部屋にいる。私たちが朝起きて来たらリビングにいて、泣きながらミナトと美優に会わせる顔がないって言い出して」

気にしなくていいって伝えたのに…伝わらなかったのか。

百合は自分を責めているんだ

⏰:08/09/23 16:10 📱:PC 🆔:a.07ms/M


#422 [我輩は匿名である]
「お父さんはミナトくんと喧嘩したんだと誤解してるみたいだけど…違うんでしょ?百合の様子、おかしかったから」

「喧嘩ではないですけど…僕の力不足です」

「私が悪いのってずっと言ってるし、ミナトくんには連絡しちゃダメって言うし…私どうすればいいのかわからなくて」

「迷惑かけてすみません」

⏰:08/09/23 16:11 📱:PC 🆔:a.07ms/M


#423 [我輩は匿名である]
「とにかく入って。美優ちゃんは私たちが見てるから百合のところに行ってあげて。お父さんには私から話しておくわ」

「はい、お願いします」

百合の部屋まで通されて、お義母さんは部屋をノックした。

「百合、入るわよ」

「…」

返事のない扉を開けた。

⏰:08/09/23 16:12 📱:PC 🆔:a.07ms/M


#424 [我輩は匿名である]
百合が嫁に出てからも、部屋はそのままにしてある松本家。

見覚えのある懐かしいベットの中に百合がいた。

「それじゃ」

お義母さんが扉を閉めて、俺と百合の二人っきりになった。

「…百合」

「…」

⏰:08/09/23 16:12 📱:PC 🆔:a.07ms/M


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