月の裏側
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#1 [我輩は匿名である]
昔から結構めんどくさがりなんだ、俺。

勉強も掃除も食事も女も。

運動と煙草とSEXは好き。

あんな高校生、大人からすればだらしないって思うんだろうけど…同年代からは、なぜか人気があったんだ。

自意識過剰なのかな。

でも男も女もニコニコしながら俺に寄ってくるんだもん。

過剰にもなるっつーの。

そんな若かりし頃の俺と、今日でさよならすんだ。

さっきそう決めた。

こいつの涙見て、そう決めた。

⏰:08/07/28 12:37 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#2 [我輩は匿名である]
自分でもわかってたんだ。

そろそろケジメつけねーと、って。

そのタイミングが…今日。

別に大安でも誕生日でもねーし、11月11日みたいなゾロ目な日でもねぇ。

すっげー普通の日。

そんな普通の日に、俺は『俺』とバイバイする。

⏰:08/07/28 12:37 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#3 [我輩は匿名である]
今から12年前。

俺は高校3年生を楽しんでいた。

毎日学校行って、4時間爆睡して、昼飯食って、また2時間寝て…そんな感じ。

たまにサボったりもしたっけ。

親には随分迷惑かけた。

ま、当時の俺はそんな罪悪感これっぽっちも思ってなかったけどな

⏰:08/07/28 12:39 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#4 [我輩は匿名である]
「みっちゃぁ〜ん」

来た。

放課後の暇つぶしロボット。

「さきえ!久しぶりだなー」

「みっちゃんが全然遊んでくれないんだもぉん」

「悪い悪い。今日遊ぶ?」

「うんっ!」

⏰:08/07/28 12:39 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#5 [我輩は匿名である]
口角をつり上げて、目尻を少し下げれば、俺の偽スマイルのできあがり。

でもマクドナルドみたいに、俺の偽スマイルはタダじゃねーよ?

スマイル1つSEX1回。

高いか安いかは、女の価値観の違いじゃね?

まぁ俺の周りにいるやつは、みんな安いと思ってるらしく、よく注文してくるけどな。

⏰:08/07/28 12:40 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#6 [我輩は匿名である]
「さきえん家行っていい?」

「みっちゃん家がいい〜」

「だめ。遠いもん。さきえん家しか近いじゃん」

「えー、掃除してないしなぁ」

放課後の教室の入り口近くでの俺とさきえの会話。

風景的には放課後らしい絵。

内容的には不健全な会話。

そんな俺の体に、あいつが鞄をぶつけてきた

⏰:08/07/28 12:40 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#7 [我輩は匿名である]
「いてっ!」

「ミナト、サボってないで掃除しろ」

この口調の悪い女は同じクラスの百合ちゃん。

すっげーいい女だから1回ヤラせてって頼んだけど、顔面パンチされたから諦めた。

唯一のまともな女友達…かな?

でもいつか絶対食ってやんだ。

それが今の俺の目標

⏰:08/07/28 12:41 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#8 [我輩は匿名である]
「やだー、めんどい」

「なんでこんな最低なヤリチンがモテんだろ…世の中おかしいんじゃない?」

百合ちゃんは嫌味ったらしく、俺とさきえに言葉を投げた。

⏰:08/07/28 12:41 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#9 [我輩は匿名である]
さきえは“私のみっちゃんにひどいこと言わないで”みたいな顔で、百合ちゃんを睨んでいる。

「相変わらずひでーな、百合ちゃんは」

「あんたみたいなグータラがモテて、なんで井上みたいな奴がモテないのか不思議だよ、バカ!」

そう吐き捨てて百合ちゃんはホウキを軽く振り回しながら教室掃除を再開した

⏰:08/07/28 12:42 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#10 [我輩は匿名である]
「なんなのー。松本さんって性格悪すぎ〜」

「百合ちゃんの悪口言うな。行くぞ」

頭を撫でてやると、さきえの笑顔は返り咲き

教室掃除を頑張っている
no study no life
なマジメでガリ勉の井上が窓ふきしてるのを横目で確認して、
俺は教室を出た。

“待ってよぉ〜”と言わんばかりにさきえが追いかけてくる

あーぁ、俺って罪な男だな。

⏰:08/07/28 12:43 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#11 [我輩は匿名である]
「アッ…ンンゥ…みっちゃ…あっ」

なんで女ってこんな簡単に甘ったるい声が出せんだろ。

人間って不思議だな〜、なんて小学生みたいな事を考えながら、さきえの中に俺は何度も欲を打ち付けた。

⏰:08/07/28 12:43 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#12 [我輩は匿名である]
気持ちいい。

ただ、それだけ。

幸せとか迷いとか全然ない。

彼女はいらないけど、SEXはしたい。

だからタダでヤラせてくれる女をたくさん作った。

いつかバチが当たるんじゃないかって思ってるけど…この快楽に勝るような何かが見つからないウチは、SEXが俺の趣味

⏰:08/07/28 12:44 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#13 [我輩は匿名である]
さきえを3回もイカせた俺はというと
1回しかイケなかった。

損した気分。

さきえの家を出て、俺は違う女に電話した。

会いたいと言えば、会おっか、と言われる。

断られる事は滅多にない。

俺ってそんなにいい男か?

女が何考えてるかわかんねーし、俺も何考えてるのか自分でもよくわかんねーよ。

最近さ、俺の将来どうなんだろ、って思うんだよな。

親の金で一生楽して暮らせる俺だけど…心の奥底には、それじゃダメだっていう事がわかってるんだ

⏰:08/07/28 12:44 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#14 [我輩は匿名である]
次の女は俺を満足させてくれた。

合格。

こいつとは会う回数を増やしてあげねーと。

そんな毎日。

情けなくてダラしない男は、のらりくらりと毎日を生きてるんだ

⏰:08/07/28 12:45 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#15 [MI]
面白いです!!
更新頑張って下さい(^ω^)

⏰:08/07/28 14:47 📱:SH906i 🆔:xeBBDSaM


#16 [夜蝶]
頑張って

⏰:08/07/28 15:18 📱:911T 🆔:bsMV0YBI


#17 [我輩は匿名である]
ありがとうございます

少し更新

⏰:08/07/28 17:12 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#18 [我輩は匿名である]
・・・・

あの日は確か雨が降ってた。

女に会いに行くから、傘をさしながら歩いてたんだ。

そしたらさ、
近所のお年寄りが休憩するような小屋があるんだけど、そこに百合がいたんだ。


この日から益々、百合を食いたくなったんだ。

たまらなく百合をむちゃくちゃにしたいって思い始めた

性欲と好奇心と…それから…。

⏰:08/07/28 17:13 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#19 [我輩は匿名である]
「ゆーりちゃんっ」

百合にならスマイル0円。

偽スマイルを浮かべ、座ってる百合の隣に腰をおろした。

百合はいつもみたいに嫌そうな表情なんだと思ってた。

だけど違った。


百合は、泣いていた。

⏰:08/07/28 17:14 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#20 [我輩は匿名である]
俺を一瞬だけ見て、視線を落とした百合。

「え、どしたの?何かあった?」

女の涙はめんどうだ。

みっちゃんは私のこと遊びだったんだね、とか
いつになったら彼氏になってくれるの?とか
私だけ愛してよ!とか…。

泣きながら頼まれても仕方ないじゃんね。

俺は女が嫌いなんだよ。

めんどくさい。

でも百合の涙は無視できない

矛盾な野郎だろ?俺って…

⏰:08/07/28 17:14 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#21 [我輩は匿名である]
慰め方を知らない俺。

「何?傘忘れたの?」

んな訳ねーじゃんね。

何言ってんだ俺。

「腹でも痛ぇのか?あ、生理痛!」

デリカシーのない男。

そのうちまた顔面パンチが飛んできそうだわ

「イジメにあってるとか?」

だったら俺がイジメてるやつぶっ殺す。

⏰:08/07/28 17:15 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#22 [我輩は匿名である]
いくら聞いても何も言わない百合。

俺もテンパってしまい、意味のわからない事を言い続けた。

「なぁ、雨強くなってきたし帰ったら?」

百合はずっと俯いてるから、泣いてるのか泣きやんでるのかわかんねぇ。

⏰:08/07/28 17:15 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#23 [我輩は匿名である]
「家まで送っててやろっか?」

その質問に、百合は初めて声を出した。

「ミナト…」

「え?」

「ウザイ」

あ、俺ウザかったんだ。

一気に悲しくなった俺は、ごめんと謝り腰を上げた

⏰:08/07/28 17:16 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#24 [我輩は匿名である]
「俺、邪魔?」

「…今頃気付いたの?」

「すみません」

傘を広げて、休憩所から出た。

「じゃあ、ごめんね。また明日学校で」

そう言って立ち去ろうとしたとき百合は言った。

⏰:08/07/28 17:17 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#25 [我輩は匿名である]
「ミナトは恋愛したことある?」

「…えっ」

そんな質問されるなんて思っても見なかった

ましてや俺を嫌ってる百合から言われるなんて

その答え、俺が答えなくても百合はわかってたんだ。

⏰:08/07/28 17:17 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#26 [我輩は匿名である]
百合は言った

「私はあるよ。ミナトと違って本気で人を好きになったの」

その言葉は、正直ショックだった

プチ失恋というような感じだろうか

そもそも失恋なんかしたことないから、よくわかんねーけど。

くだらない幼稚園児の時の初恋だったアイちゃんは元気だろうか?

そんなこと、どーでもいいか。

⏰:08/07/28 17:18 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#27 [我輩は匿名である]
「好きだから、どうしていいかわかんない事ってあんの。ミナトにはわかんないよ…恋愛もしたことない奴に心配されたくない」

「ははっ…相変わらずキッツイねー、百合ちゃん」

俺の顔は偽スマイルどころか、それを作るのもいっぱいいっぱい。

つまり苦笑いっつー、情けない表情だった

⏰:08/07/28 17:19 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#28 [我輩は匿名である]
「百合ちゃん彼氏いるの?」

「いるけど、いない。どうだろ…今はわかんないよ」

「ふーん。彼氏って必要?」

「必要。誰だって恋人は必要だよ。ヤリチンのミナトにはまだわかんないよね」

そう言って赤い目を俺に向けた

「ヤリチンって…」

「また明日ね」

そう言って百合は立ち上がり、傘もささずに休憩所を飛び出した

気むずかしい奴。

昨日よりも食いたくなったぞ、松本百合

⏰:08/07/28 17:19 📱:PC 🆔:s5a5USoM


#29 [我輩は匿名である]
翌日。

また明日、ってクールに帰ってった百合の姿が教室にない

「真子ちゃーん」

「何?」

真子は百合と仲のいい奴

同じクラスな

⏰:08/07/29 16:04 📱:PC 🆔:3qp6zZPg


#30 [我輩は匿名である]
一回食っちゃったけど、真子は百合に叱られたらしく、そういう関係はもう嫌だって言われちった。

一時の気の迷いだとよ。

別にいいけどね

こいつも、まぁ普通の女友達。

「百合ちゃんはー?」

「風邪で休みだってさ」

「マジ?あぁ〜傘かせばよかった」

⏰:08/07/29 16:04 📱:PC 🆔:3qp6zZPg


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