月の裏側

・・・

いままで来るモノ拒まずの俺が、偽スマイルも見せない。

ＳＥＸもしない。

そりゃー、騒がれるわな、普通。

「みっちゃん最近どうしたの？」

「何が？」

「誘ってくんないじゃん。病気とか？」

「ある意味病気～」

「何の？」

「恋の」

「アハハ。もぉ～、またまた～」

俺が恋をしてるのも、彼女がいるのも信じてもらえない。

やっぱそうだよなー

相変わらず、教室にも絶えず女の来客が現れてるし…

百合もいやだろうな。

どうすればいいもんか…

自業自得ながら、女っつーのはやっぱめんどくさい

あ、百合は別だから。

百合ならめんどくさい事でも俺にとっては嬉しい事。

って…やっぱ俺ってマゾかも

「彼女って誰～？」

「百合ちゃん」

「松本さん？ありえなーい」

「何でさ」

「松本さんがみっちゃんを相手にするわけないじゃーん。みっちゃん妄想癖ひどすぎー」

ほとんどの女がこうやって笑った

信じてくんねー。

どうすっかな～。

百合と教室で話していても、前からそうだったから、当たり前の風景と見なされるから効果なし。

一緒に帰っても、いちゃついても、キスしてても…まったく効果がないのはわかりきっている。

「百合ちゃんごめんねぇ」

「いいよ。想定内のことだから」

「強いね、百合ちゃんは」

「強くないよ。本当はすっごく弱いの。だからミナトみたいな彼氏がいないと私、死んじゃう～」

「百合ちゃん死んだら俺も死ぬ～」

笑いながら肩とか抱き合って下校。

幸せの時間

恋愛最高。

百合いないと俺やべーかも。

いつの間にか恋する男子真っ最中じゃん。

「今日、私んち来る？」

「行って欲しい？」

「別に。来たくないならいいもーん」

「じゃあ帰る」

付き合う前の俺なら絶対に“行く”だった。

だけど百合が彼女になってから、百合のこと少しずつわかってきて…可愛い百合を見たくなるんだ。

だから意地悪する、わざと。

「帰るの？」

「うん」

「やだ、ごめん。嘘だよ」

「何が？」

「…来てよ。私んち」

最高。

可愛すぎ。

俺が知ってる松本百合はこんな甘えん坊じゃねーぞ。

学校ではクールでキツくて…なのに二人っきりではコレだろ？

ギャップってやばい