月の裏側
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#201 [我輩は匿名である]
「ふーん。ロクな友達いないんだな」

「え?」

「ダルさだって幸せになんだよ、本気で好きになった恋人っつーのは」

「…」

女は驚いた顔をしていた

「あんた何歳?」

「15」

「高1?」

「ううん、中3」

⏰:08/08/18 14:39 📱:PC 🆔:F35161xY


#202 [我輩は匿名である]
最近のガキはマセてんなー。

デレデレになってる野郎達と、このチビ女の友達が楽しそうに会話してるのを見ながら、俺は腰を降ろしてタバコを吸った

チビ女も俺の隣にチョコンと座る

「俺もあんたぐらいの時は女なんてヤルだけの生き物だと思ってたよー」

「…」

女は黙って俺に耳を傾ける

⏰:08/08/18 14:40 📱:PC 🆔:F35161xY


#203 [我輩は匿名である]
「付き合うって何?って感じで…毎日違う女と寝た」

俺は続けた

「高校入って3年なるまで女にダラしなかったけど、半年前に美人なクラスメイトと付き合ったの」

「今の彼女?」

「そ。最近はヤリモクだったけど…あ、ヤリ目的って事ね?」

「わかってるよ」

女は笑った

まだまだ幼い笑顔だ

⏰:08/08/18 14:41 📱:PC 🆔:F35161xY


#204 [我輩は匿名である]
「うん、ヤリモクだったのよ。でもねー彼女が当時好きだった男と破局して、衝撃受けたの」

「どんな?」

「興味ある?」

「ある」

なんだ。

口では偉そうなこと言っといて、本当は迷い子なんじゃん。

こんな真剣に食いつくなんてさ、こいつも過去に色々あったんだろうな。

⏰:08/08/18 14:41 📱:PC 🆔:F35161xY


#205 [我輩は匿名である]
「失恋で落ち込んでたから慰めたかったけど、恋愛したことない俺に心配されたくない!とか図星つかれてさ。まぁ軽くショックだよな」

「で?」

「恋愛って人をこんなに変わらせるんだなーって衝撃受けちゃって。普段すっげー強気の彼女が泣いてるからさ」

「へー」

⏰:08/08/18 14:42 📱:PC 🆔:F35161xY


#206 [我輩は匿名である]
「その時から他の女には感じないもん感じ始めて、何日か後にキスしちゃったんだよ。元カレでうじうじしてる彼女見てるとヤリモクなんかじゃなくて、救ってやりてーなって…」

短くなったタバコを地面で消した。

⏰:08/08/18 14:43 📱:PC 🆔:F35161xY


#207 [我輩は匿名である]
「彼女は、これ以上優しくするな、とか言うし…でも優しくせずにいられないっつーか。恋なんてした事ないから、どうすればいいかわかんなくてテンパってさぁ」

「結局どうなったの?」

「ヤリチンだったから信用されないかもだけど、俺は彼女が好きだって事頑張って伝えたの。あれ?んー…今考えると、ちゃんと伝わってたのかな?あれ」

⏰:08/08/18 14:45 📱:PC 🆔:F35161xY


#208 [我輩は匿名である]
「彼女になったんだから伝わったんじゃない?」

「だよな」

「あんたの話聞いたけど、やっぱよくわかんない。恋人必要?」

「必要。恋愛してよかったって思うもん」

「どうすれば恋愛できる?」

「んー、自分に素直になることじゃねぇの?俺もよくわかんねーわ。恋愛なんて、よし!するぞ!って思ってするようなもんじゃないから。自然と好きになるもんだよ」

⏰:08/08/18 14:46 📱:PC 🆔:F35161xY


#209 [我輩は匿名である]
「自然とねぇ…。好きってどんな感じ?胸苦しい?」

「苦しいよー。雷に打たれたみたいにビリビリドキドキ〜みたいな」

俺が笑うと女も笑った

「雷かぁ」

あぁ、こいつ好きな奴いるのかも。って思った

「好きなら強がってないで素直になれよ。こんな風に逆ナンとかしてねーで、更正しろ」

⏰:08/08/18 14:47 📱:PC 🆔:F35161xY


#210 [我輩は匿名である]
「そう…だね」

「恋愛や恋人なんてウザくてダルい方が楽しめる。山あり谷ありでないと人生もつまんねーだろ」

「…うん」

⏰:08/08/18 14:47 📱:PC 🆔:F35161xY


#211 [我輩は匿名である]
「好きな人がいるから逆ナンとかしない!っつって離れていくような友達なら、必要ないよ」

俺は女の友達たちをアゴでさした

女はコクッと頷いた。

⏰:08/08/18 14:47 📱:PC 🆔:F35161xY


#212 [我輩は匿名である]
「お前なら変われる。恋愛できる。だから頑張れよ、な?」

「うん。あんたの話、聞けてよかった」

「そ?」

「こんな話聞かせてくれる人、今までいなかったもん」

「俺もいなかったけど今の彼女に学んだのー」

「ありがとね。あんたに会えてよかった」

「授業料10万円なりー」

「バーカ」

⏰:08/08/18 14:48 📱:PC 🆔:F35161xY


#213 [我輩は匿名である]
まさか俺が、他人にこんな話を聞かせる事ができるなんて思ってなかった。

やっぱすげーわ。

恋も、愛も、百合も。

女は笑って帰ってった。

名前も知らないチビな中3。

周りに合わせて大人ぶって、恋愛感情に嘘ついて…なんでこういう子が増えてくんだろ。

⏰:08/08/18 14:49 📱:PC 🆔:F35161xY


#214 [我輩は匿名である]
俺は…きっと寂しがりだから、人一倍。

いつも家には誰もいなくて、両親にも兄弟にも…あまり甘えた記憶がない。

そんな寂しさをSEXで埋める事しか知らなかった俺は無知で愚かだ。

百合に出会えて本当によかった。

SEXの意味もわかったんだ。

恋ってすげーな、まじで。

⏰:08/08/18 14:50 📱:PC 🆔:F35161xY


#215 [みんみ]
共感というか、胸が苦しくなりました。
好きな人に好きって伝える勇気はどうやって学ぶんでしょうね…(笑)

23歳大学生です、今すごく悩んでいます…。

⏰:08/08/18 22:19 📱:SH904i 🆔:mhpNGmzU


#216 [我輩は匿名である]
悩んでんなら恋愛板で相談すれば?イタチでしょw

⏰:08/08/19 07:44 📱:N903i 🆔:D.ourndw


#217 [我輩は匿名である]
〜〜〜〜〜〜〜
みんみさん

勇気ですかぁ…?
私はどんどん伝えていくタイプなので
どんなアドバイスをすればいいのか答えかねますが…

周りの友達の実体験話や恋愛ソングなどで勇気付けられたって人も少なくないはずです。

でも、恋愛方法は十人十色なので自分のペースでしてもらいたいですけどね。

素敵な恋愛してください。

〜〜〜〜〜〜〜

⏰:08/08/19 15:08 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#218 [我輩は匿名である]
・・・

「おめでとっ」

「ありがとー。お祝いのチューして」

「それは嫌だけど、でもおめでとう」

俺も大学が決まった。

百合と同じところには行けないけど地元から通える場所。

近いっちゃあ、近いかな。

でも会えなくなる時間が増えるだろう。

けど、俺らはきっと大丈夫。

⏰:08/08/19 15:11 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#219 [我輩は匿名である]
「なんで?百合最近チューしてくんねぇよな」

「そうかな?」

「まさか…浮気!?」

「あんたみたいな手がかかる彼氏がいるのに浮気する暇なんかないっつーの」

「じゃあ何でさー」

「車の中なんかでできるわけないでしょ!前見て運転してよ、若葉野郎!」

⏰:08/08/19 15:11 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#220 [我輩は匿名である]
免許を取った俺。

ドライブデートしほうだい。

車内キスって憧れなのに…百合は全く同意してくれない。

やっぱ野外だから?

でも一応二人っきりだし。

⏰:08/08/19 15:12 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#221 [我輩は匿名である]
百合は外に出ると強気な女になる。

でも家では甘えん坊。

見事なツンデレ。

まじ可愛いんだよ、これが。

⏰:08/08/19 15:12 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#222 [我輩は匿名である]
服買ったり映画見に行ったり。

手は繋ぐけど絶対イチャついてくれないとこが、またイイんだよ。

家に帰る楽しみができんじゃん?

早く家につきたくて俺はアクセルを強く踏んだ。

⏰:08/08/19 15:13 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#223 [我輩は匿名である]
夕日を眩しそうな目で睨む百合。

あーぁ、なんでこんな美人な訳?

我慢できなくなりそ。

ラブホ入ろっかなー

「今日はミナトん家にしよっか」

小さく笑ってタイミングよく百合が言った。

「了解」

俺の心読んでたみたいにナイスタイミング。

ラブホの誘惑を我慢して自分の家に急いだ

⏰:08/08/19 15:14 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#224 [我輩は匿名である]
「…ッ」

「…百合」

部屋に入ると同時に、むせ返るようなキスをした。

百合を壁に押さえ付け、俺の右手は柔らかく細々しいお腹を撫でる。

百合の左手がそれを止めてくる。

俺は構わず服の裾から手を侵入させた。

⏰:08/08/19 15:14 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#225 [我輩は匿名である]
「…ンッ…ちょっとミナト」

百合から離れた唇。

「何?」

俺の右手は百合の両手で制御された。

左手があるけど…嫌がる姿も可愛いから、今日は意地悪しない。

⏰:08/08/19 15:15 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#226 [我輩は匿名である]
「焦りすぎだよ」

照れてる百合の手に、指を絡めた。

「したくない?」

「そうじゃないけど…」

あぁ、ムードが大事ってやつですか。

俺はムードよりも早く百合の可愛い姿が見たくて仕方ないですよ。

⏰:08/08/19 15:15 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#227 [我輩は匿名である]
「ごめん、ビックリさせちゃったね〜」

俺は百合の頭を撫でて、ベットにもたれた。

「私こそごめん」

謝るなよ、俺が抑制できなかったのが原因なのに。

百合が好きだから焦りすぎたけど、百合が好きだから我慢できる。

⏰:08/08/19 15:16 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#228 [我輩は匿名である]
テレビをつけながら、ベットの上でひたすら話をした。

笑える話、驚く話、怖い話…他愛もない会話が心地いい。

ふと窓から空を見上げた。

⏰:08/08/19 15:16 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#229 [我輩は匿名である]
「うぉっ!」

「どうしたの?」

窓の外を見て小さな叫びを発した俺に、百合の疑問の声が掛かる。

「百合も見てみ」

「空?」

チョコンと俺の隣に座り、窓の外を覗く彼女。

⏰:08/08/19 15:17 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#230 [我輩は匿名である]
「綺麗…」

空一杯に神様がバラまいた星が輝く。

月は痩せていたが、とても美しい形だった。

「夜空なんて普段見ないから、たまに見ると感動するな」

⏰:08/08/19 15:17 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#231 [我輩は匿名である]
今日、こうやって綺麗な夜空を発見できたのは、ただの偶然。

百合の顔を見つめすぎた俺の目を休めるために、たまたま空を見上げたんだ。

百合、空。

どっちも綺麗。

やべ。

ノロけすぎかな?

⏰:08/08/19 15:18 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#232 [我輩は匿名である]
「ミナトぉ〜」

「はぁい〜」

百合のゆっくりとした口調を真似して返事をすると、“マネしないで”と笑った。

窓越しに空を見上げたまま百合は言った。

⏰:08/08/19 15:18 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#233 [我輩は匿名である]
「この星たち、今キラキラ輝いてんじゃん?」

「うん」

「綺麗に光ってるよね?」

「そうだね」

「でもこの光は今、現在の光じゃないんだって」

百合の言ってる意味がわからなかった。

⏰:08/08/19 15:19 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#234 [我輩は匿名である]
頭の上にハテナマークが浮かんでいたのだろうか。

百合は笑った。

「地球と星って、超離れてんだって。だから光が届くのに何年も時間がかかるの」

「…んん」

生ぬるい返事。

百合は続けた。

⏰:08/08/19 15:20 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#235 [我輩は匿名である]
「この世界で1番速いのは光なの。だけどその光でさえ地球に届くまでに何年もかかるって事は…言ってる意味わかる?」

「地球と星はすんげぇ遠いって事?」

「正解」

テストで100点取るより、百合に“正解”と言われる事のほうが俺には幸せ。

⏰:08/08/19 15:20 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#236 [我輩は匿名である]
「確か、この今ひかってる光は1億年前の光」

「マジで?」

「1億年前に光った光が、今こうして私たちが見てるって、なんか凄いよね」

「ロマンチックぅ〜」

俺は百合に少し近づいた。

⏰:08/08/19 15:21 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#237 [我輩は匿名である]
「星と星同士も、すごく離れてるんだよ。こうやって見る限りじゃ、すっごく近くに見えるのにね」

「じゃあ俺たちがこうやって近くにいるのは星からすると羨ましい事なんだな」

俺は百合の肩を抱いた。

⏰:08/08/19 15:21 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#238 [我輩は匿名である]
「こういう時だけ調子いいんだから。変態」

百合は笑いながら俺の肩にもたれてきた。

「他になんか知らないの?」

「んー…じゃあ月の話ね」

「ネタ豊富だね百合ちゃん。なんでそんな知ってんの?」

⏰:08/08/19 15:22 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#239 [我輩は匿名である]
百合は澄ました声で言った。

「頭いいから」

ごもっとも。

どうして俺みたいな馬鹿の彼女なんだろう、と時々申し訳なく思う事もある。

それくらい俺らの知識の差は激しい。

⏰:08/08/19 15:22 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#240 [我輩は匿名である]
「月はね絶対裏側を見せないの」

「裏側?」

「地球が自転するから…ってミナトにはこの説明難しすぎるか」

「ジテンって何?自転車ならわかるけど」

ボケではなく、本気。

理科は特に嫌い。

⏰:08/08/19 15:23 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#241 [我輩は匿名である]
「ばか。えっとね、地球と月の回転の関係で…って、私もこの話詳しく知らないかも」

自分が言い出した話を結局は“詳しく知らない”だって。

こういう天然バカなところがある百合。

かっわい。

「えー。そりゃないっすよ松本さ〜ん」

「ごめんごめん。とにかく月の裏側は絶対に見れないの」

⏰:08/08/19 15:24 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#242 [我輩は匿名である]
「月の裏側ねぇ…じゃあ見るにはどうすればいいの?」

「宇宙飛行士になって見に行くしかないんじゃないの?」

「もしくは宇宙戦艦ヤマトに頼むかだな」

「面白くない」

ちょっとボケただけで百合の完全な潰しが俺をへこます。

ボケとツッコミ。

なかなか相性いいんだよ、俺ら。

⏰:08/08/19 15:25 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#243 [我輩は匿名である]
「私、ミナトだけだよ」

百合は言った。

「何?」

「私の裏側見せてるの、ミナトだけ」

「あぁ〜、甘えん坊なところとか?」

「そうだよ。ミナトだけ。ミナトがいないと無理」

⏰:08/08/19 15:25 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#244 [我輩は匿名である]
急に甘えてきた百合を抱きしめる力が強くなった俺。

「こんなに自分らしく居られる相手、今までいなかったもん。ミナトが初めてだよ」

「あら、そんな嬉しい事言ってくれるの?なら俺も言うよ」

「なぁに」

⏰:08/08/19 15:26 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#245 [我輩は匿名である]
「俺も百合ちゃんだけ。百合ちゃんが初めて。恋愛がこんな楽しいなんて知らなかったよー」

「あら、嬉しい事言ってくれるのね」

二人は笑った。

「百合」

そのまま唇を交わしながらベットに寝転がった。

⏰:08/08/19 15:26 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#246 [我輩は匿名である]
手を伸ばし、電気とテレビを消す。

月と星が俺らを覗く。

一人ぼっちで寂しい星たちを嫉妬さすかのように、俺らは重なり合った。

「ミ…ナト…ンンッ…」

百合の声は俺を狂わす。

「百合…ッ…」

「アァッ…ン…」

俺の声も百合を狂わすようだ。

⏰:08/08/19 15:27 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#247 [我輩は匿名である]
頑張って

⏰:08/08/23 14:56 📱:SH704i 🆔:☆☆☆


#248 [我輩は匿名である]
ありがとうございます
更新遅れてすみません。
少しだけですが書きます

⏰:08/08/24 09:41 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#249 [我輩は匿名である]
・・・

大学生になった。

季節も変わった。

あれだけ寒かったのが嘘のように街中、熱気に包まれている。

「中畑」

「ん?」

「今日飲み行かない?」

タツヤの笑顔はもう居酒屋にいるような輝き。

⏰:08/08/24 09:42 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#250 [我輩は匿名である]
「ごめん、今日はパス」

「何、デート?」

マコトの顔が濁った。

「羨ましいか、負け犬め」

俺は勝ち誇った顔で笑ってやった。

⏰:08/08/24 09:42 📱:PC 🆔:cvHihT3E


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