月の裏側
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#237 [我輩は匿名である]
「星と星同士も、すごく離れてるんだよ。こうやって見る限りじゃ、すっごく近くに見えるのにね」
「じゃあ俺たちがこうやって近くにいるのは星からすると羨ましい事なんだな」
俺は百合の肩を抱いた。
:08/08/19 15:21
:PC
:3lPcSpSs
#238 [我輩は匿名である]
「こういう時だけ調子いいんだから。変態」
百合は笑いながら俺の肩にもたれてきた。
「他になんか知らないの?」
「んー…じゃあ月の話ね」
「ネタ豊富だね百合ちゃん。なんでそんな知ってんの?」
:08/08/19 15:22
:PC
:3lPcSpSs
#239 [我輩は匿名である]
百合は澄ました声で言った。
「頭いいから」
ごもっとも。
どうして俺みたいな馬鹿の彼女なんだろう、と時々申し訳なく思う事もある。
それくらい俺らの知識の差は激しい。
:08/08/19 15:22
:PC
:3lPcSpSs
#240 [我輩は匿名である]
「月はね絶対裏側を見せないの」
「裏側?」
「地球が自転するから…ってミナトにはこの説明難しすぎるか」
「ジテンって何?自転車ならわかるけど」
ボケではなく、本気。
理科は特に嫌い。
:08/08/19 15:23
:PC
:3lPcSpSs
#241 [我輩は匿名である]
「ばか。えっとね、地球と月の回転の関係で…って、私もこの話詳しく知らないかも」
自分が言い出した話を結局は“詳しく知らない”だって。
こういう天然バカなところがある百合。
かっわい。
「えー。そりゃないっすよ松本さ〜ん」
「ごめんごめん。とにかく月の裏側は絶対に見れないの」
:08/08/19 15:24
:PC
:3lPcSpSs
#242 [我輩は匿名である]
「月の裏側ねぇ…じゃあ見るにはどうすればいいの?」
「宇宙飛行士になって見に行くしかないんじゃないの?」
「もしくは宇宙戦艦ヤマトに頼むかだな」
「面白くない」
ちょっとボケただけで百合の完全な潰しが俺をへこます。
ボケとツッコミ。
なかなか相性いいんだよ、俺ら。
:08/08/19 15:25
:PC
:3lPcSpSs
#243 [我輩は匿名である]
「私、ミナトだけだよ」
百合は言った。
「何?」
「私の裏側見せてるの、ミナトだけ」
「あぁ〜、甘えん坊なところとか?」
「そうだよ。ミナトだけ。ミナトがいないと無理」
:08/08/19 15:25
:PC
:3lPcSpSs
#244 [我輩は匿名である]
急に甘えてきた百合を抱きしめる力が強くなった俺。
「こんなに自分らしく居られる相手、今までいなかったもん。ミナトが初めてだよ」
「あら、そんな嬉しい事言ってくれるの?なら俺も言うよ」
「なぁに」
:08/08/19 15:26
:PC
:3lPcSpSs
#245 [我輩は匿名である]
「俺も百合ちゃんだけ。百合ちゃんが初めて。恋愛がこんな楽しいなんて知らなかったよー」
「あら、嬉しい事言ってくれるのね」
二人は笑った。
「百合」
そのまま唇を交わしながらベットに寝転がった。
:08/08/19 15:26
:PC
:3lPcSpSs
#246 [我輩は匿名である]
手を伸ばし、電気とテレビを消す。
月と星が俺らを覗く。
一人ぼっちで寂しい星たちを嫉妬さすかのように、俺らは重なり合った。
「ミ…ナト…ンンッ…」
百合の声は俺を狂わす。
「百合…ッ…」
「アァッ…ン…」
俺の声も百合を狂わすようだ。
:08/08/19 15:27
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