月の裏側
最新 最初 🆕
#368 [我輩は匿名である]
「あの日から安心して百合と付き合ってきて、結婚して子供もできて…ずーっと幸せに過ごせるんだと思ってた。だけどここ最近、また不安でさ」

あの日と同じ。

またあいつに泣かされる百合。

幼なじみのあいつを憎んでしまう。

⏰:08/09/19 12:16 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#369 [我輩は匿名である]
「やーっと理由わかった。悩んでたんだな、あいつの事で」

「未練はないの。なのに夢に出てくるなんて…自分が許せないよ。ミナトと美優にもどんな態度でいればいいのかわかんない」

⏰:08/09/19 12:17 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#370 [我輩は匿名である]
煙草を消して、テーブルの上に右の手のひらを開いて置いた。

「百合ちゃん」

百合は俺の手に自分の右手を乗せた。

俺はギュッと握ってやる。

⏰:08/09/19 12:17 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#371 [我輩は匿名である]
「いつもごめんね。家事と育児任せっきりで。きっと疲れてんだよ。俺は、百合があいつの夢を見たからって百合を責めたりしない。ちゃんと話してくれて嬉しいし」

本当は強がりなんだ。

責めたりなんかしないけど…本音としては腹が立ってた。

何であいつの夢なんか、って。

⏰:08/09/19 12:18 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#372 [我輩は匿名である]
「会いたいなら、会いなよ。俺は大丈夫だから。怒ったりしないもん。百合も…ヨースケのことも」

百合の手は小さくて冷たい。

その名前を出した途端、急に力強く俺の手を握り返して来た。

同時に大粒の涙が溢れ出した。

⏰:08/09/19 12:18 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#373 [我輩は匿名である]
「…会わないし、会う必要もない」

百合は首を横にふる。

「でもさ…」

「ミナトは優しすぎるよ。もっと叱っていいから、私のこと。嫁失格だって怒鳴っていいよ」

そんなこと、できるわけない。

百合を泣かせたくないし傷つけたくないんだから。

⏰:08/09/19 12:18 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#374 [我輩は匿名である]
俺も首を横にふる。

「最低な女だって叱りなよ。ミナトはいつも私に叱られてばかりじゃん。たまには…私の事叱ってよ…最低だよ私…」

もう限界だったと思う。

百合が壊れてきた。

「叱らないし叱りたくもない。もう今日は寝よう」

⏰:08/09/19 12:19 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#375 [我輩は匿名である]
「やだ。眠りたくない…寝ちゃうと…また…ヨースケの夢見ちゃうよ」

子供みたいに泣いている。

もう自分をコントロールできていない。

百合が苦しんでいた。

「見ない。ずっと俺が手ぇ握っててやるから。俺と美優の夢を見ろ」

⏰:08/09/19 12:19 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#376 [我輩は匿名である]
食欲も酒欲もなくなっていた。

今は百合を落ち着かせてあげたい欲が俺を支配している。

一緒に寝室まで行き、ヒックヒックと泣きじゃくる百合をベットの中で抱きしめてやった。

⏰:08/09/19 12:19 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#377 [我輩は匿名である]
「もう泣くな。美優が起きるだろ?」

「…うん」

俺の胸の中で小さく縮こまる百合。

「…ごめんね、ミナト」

「もういいから。百合が好きなのは俺だろ?」

「うん。ミナトが1番だから」

「あれ?パパは2番目に好きで美優が1番って、可愛い娘が言ってたけど?」

⏰:08/09/19 12:20 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194