月の裏側
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#371 [我輩は匿名である]
「いつもごめんね。家事と育児任せっきりで。きっと疲れてんだよ。俺は、百合があいつの夢を見たからって百合を責めたりしない。ちゃんと話してくれて嬉しいし」

本当は強がりなんだ。

責めたりなんかしないけど…本音としては腹が立ってた。

何であいつの夢なんか、って。

⏰:08/09/19 12:18 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#372 [我輩は匿名である]
「会いたいなら、会いなよ。俺は大丈夫だから。怒ったりしないもん。百合も…ヨースケのことも」

百合の手は小さくて冷たい。

その名前を出した途端、急に力強く俺の手を握り返して来た。

同時に大粒の涙が溢れ出した。

⏰:08/09/19 12:18 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#373 [我輩は匿名である]
「…会わないし、会う必要もない」

百合は首を横にふる。

「でもさ…」

「ミナトは優しすぎるよ。もっと叱っていいから、私のこと。嫁失格だって怒鳴っていいよ」

そんなこと、できるわけない。

百合を泣かせたくないし傷つけたくないんだから。

⏰:08/09/19 12:18 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#374 [我輩は匿名である]
俺も首を横にふる。

「最低な女だって叱りなよ。ミナトはいつも私に叱られてばかりじゃん。たまには…私の事叱ってよ…最低だよ私…」

もう限界だったと思う。

百合が壊れてきた。

「叱らないし叱りたくもない。もう今日は寝よう」

⏰:08/09/19 12:19 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#375 [我輩は匿名である]
「やだ。眠りたくない…寝ちゃうと…また…ヨースケの夢見ちゃうよ」

子供みたいに泣いている。

もう自分をコントロールできていない。

百合が苦しんでいた。

「見ない。ずっと俺が手ぇ握っててやるから。俺と美優の夢を見ろ」

⏰:08/09/19 12:19 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#376 [我輩は匿名である]
食欲も酒欲もなくなっていた。

今は百合を落ち着かせてあげたい欲が俺を支配している。

一緒に寝室まで行き、ヒックヒックと泣きじゃくる百合をベットの中で抱きしめてやった。

⏰:08/09/19 12:19 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#377 [我輩は匿名である]
「もう泣くな。美優が起きるだろ?」

「…うん」

俺の胸の中で小さく縮こまる百合。

「…ごめんね、ミナト」

「もういいから。百合が好きなのは俺だろ?」

「うん。ミナトが1番だから」

「あれ?パパは2番目に好きで美優が1番って、可愛い娘が言ってたけど?」

⏰:08/09/19 12:20 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#378 [我輩は匿名である]
「…バレたか」

やっと百合が笑った。

小さな声で笑ってた。

よかった。

「ま、いっか。美優の次に好きでいてくれるなら」

「…1番の中の2番目だから」

「意味わかんねーぞ」

百合が笑ってくれるなら何だってできる。

だからもう泣かないでくれ。

泣き顔なんて見たくないから。

⏰:08/09/19 12:20 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#379 [我輩は匿名である]
正直、かなりショックだった。

ヨースケのことで百合が悩んでたなんて。

しかも今更。

それほど百合とヨースケは凄い恋愛してきたのかな。

ふとした瞬間、昔の恋人を思い出す。

悪い事ではないけど、ヤキモチ妬いてしまう。

⏰:08/09/19 12:20 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


#380 [我輩は匿名である]
明日、また百合を笑わせてあげよう。

休みだから、どこかに出掛けよう。

百合の闇は俺が晴らしてあげよう。

そう決めながら、百合を抱きしめて眠りについた。

⏰:08/09/19 12:21 📱:PC 🆔:./.2cs2Y


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