Fantasy Story
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#5 [英]



『おい透、お前入学して早々遅刻する気か?』

『…なっ?!』

『んじゃ。俺先に行くぜー』

『ちょ…!ちょっと待ってくれたって良いだろ兄貴!!』

⏰:08/09/05 14:03 📱:W53T 🆔:t0ISOB7o


#6 [英]

バタンと玄関のドアが閉まり、慌てて兄貴を追い掛けようとドアを開ければ…朝の日差しとは全く違う、目の眩む程の光が飛び散った。



ありえない

ありえない…



『あ…あに、き…?』



⏰:08/09/05 14:08 📱:W53T 🆔:t0ISOB7o


#7 [英]


光が消えればいつもと同じ道路とご近所。ただいつも違うのは、兄貴の学校の鞄が僕の足元に落ちている事だった。


最初は鞄持て。と、わざと置いてったのかと思ったが、学校に着いても兄貴は鞄を取りに来なかった。

⏰:08/09/05 16:11 📱:W53T 🆔:t0ISOB7o


#8 [英]



教室に届けても先生や兄貴の友達は“知らない”の一言。

――それは来てない、と言う意味では無く“石川水人なんて知らない”であった…



⏰:08/09/05 16:46 📱:W53T 🆔:t0ISOB7o


#9 [英]

不思議に思っている間にも学校は終わり、夕方、晩飯の時間へとなるが兄貴は一向に帰って来なかった。






「何処行ったんだよ馬鹿兄貴ぃー」



授業なんてお構いなしに屋上で寝転がり空を眺める。

.

⏰:08/09/05 18:58 📱:W53T 🆔:t0ISOB7o


#10 [英]


――兄貴が行方不明になってもう一週間。


いつもこき使われてムカつくけど、流石にこんな長い期間帰ってこなきゃ僕も心配になる。

それで母さんと父さんにも聞いてみれば、二人共学校の人達みたいに兄貴なんて知らない…と言われた。


実の息子の事普通忘れるか?
まだ四十代だし、ボケが始まったとは到底思えない。

.

⏰:08/09/06 15:08 📱:W53T 🆔:0J8yRLx.


#11 [英]



「…一体何が起こってんだ?」



兄貴は確かに存在していた。だって家に帰れば兄貴の部屋がそのままあるし、アルバムだって見れば家族で写ってる写真もあるんだから。


それなのに何で皆知らないって言うんだよ…!



.

⏰:08/09/06 15:16 📱:W53T 🆔:0J8yRLx.


#12 [英]




わけわかんねぇ!そう溜め息と一緒に吐き目を閉じると、顔に陰がかかった。

空は青空。
雲ひとつ無く、とても良い天気だ。それに自分の周りに陰が出来るような物は何ひとつ無い。


……そう思いながら恐る恐る瞼を上げると、見知らぬ女の子のドアップが――



.

⏰:08/09/08 01:06 📱:W53T 🆔:UFXEwrvI


#13 [英]





「……うわぁっ?!!」



驚きの声をあげるのと同時に勢い良く身体を起こした。すると女の子の顔と自分の額が大きな音を立てぶつかった。

額はズキズキと痛み、それはもう涙が滲むぐらい痛い。


.

⏰:08/09/09 15:28 📱:W53T 🆔:veevqq1o


#14 [英]


「ご、ごめ――」
「ごめんなさい、驚かせてしまいましたね」


謝ろうと口を開くとそれは直ぐに遮られてしまった。
鼻を擦りながら女の子は申し訳なさそうにし、頭を下げて来た。

確かに驚いたけど、僕が起き上がったりしなかったらぶつかる事も無かったし…


「僕の方こそごめんね…鼻、大丈夫?」


.

⏰:08/09/13 02:15 📱:W53T 🆔:s2jL32tk


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