「今、あの女の人見てたでしょ〜!!」
最新 最初 🆕
#1 [我輩は匿名である] 08/11/12 15:12
「今、あの女の人見てたでしょ〜!!」

これが舞の口癖だった。

舞がこの世からいなくなってから、もう3年が過ぎようとしているが、

忘れる事が出来ない。

気が付けば舞の事ばかりを考えてしまう。

舞の声、笑顔、ドジなとこ、柔らかい手…

舞のすべてが今でも鮮明に思いだされる。

目が覚めたら、隣に寝てるんじゃないかってくらい…

しかし、そこに舞はいない。

オレは舞に何もしてやれなかった。

#69 [我輩はプリクラさんである]
 
「りょーかい。オレの巧みな話術で笑いの渦を巻き起こしてやるよ!」

「いやいや、お前かなりの口ベタじゃん。」

「…………」

「んじゃ明日!」

「……………お…おう。」

西村は軽快な足取りでバイトへと向かっていった。

残されたオレはというと、お見舞いで話す内容を必死で考えていた。
 

⏰:08/12/07 13:31 📱:N706i2 🆔:o0iG0VFo


#70 [我輩はプリクラさんである]
 
口ベタなオレはかなりの人見知りだ。

初めて会う人はもちろんだが、ましてや相手が女の子だなんて……

オレはすでに緊張していた。

家に帰った後、小さなメモ用紙に話す内容を箇条書きにしてまとめ、何度も読み返す。

気付ば、深夜2時を回っていた。
 

⏰:08/12/07 13:32 📱:N706i2 🆔:o0iG0VFo


#71 [我輩はプリクラさんである]
 
「そろそろ寝ないとヤバイな。そもそもオレが人見知りで上がり症なんかじゃなかったら…」

そんなことをぼやきながら、浅い眠りについた。



翌日、西村とオレは揃って学校に遅刻をした。
 

⏰:08/12/07 13:34 📱:N706i2 🆔:o0iG0VFo


#72 [我輩はプリクラさんである]
 
「さっそく2人でラブラブ登校かよ」

「暑っちー!まだ6月なのに何だよこの熱さは!」

「恥ずかしがらず、手つないでもいいんだぜ?」


「おい!バカ共うるせーぞ。かったりーなー。」

授業中の松浦は少し不機嫌そうに言った。

西村とオレはその空気を察知し、素早く席についた。 

⏰:08/12/07 13:35 📱:N706i2 🆔:o0iG0VFo


#73 [我輩はプリクラさんである]
 
休み時間になり、西村がニタニタしながらオレの席に近づいてきた。

「まさかあそこまで緊張するとはな………アヒャヒャヒャヒャ」

「うっせ。人見知りバカにすんな。」


西村とオレは、今朝、学校に行く前にお見舞いに行っていた。
 

⏰:08/12/07 21:02 📱:N706i2 🆔:o0iG0VFo


#74 [我輩はプリクラさんである]
 
何故、こんな朝早くからお見舞いなのかというと

西村は夕方にバイトがあるため、病院側が規定している面会時間と合わないのだ。

かといって、常識的に考えてこんな朝早くから面会できるわけもないのだが…

.......

.....

...
 

⏰:08/12/07 21:04 📱:N706i2 🆔:o0iG0VFo


#75 [我輩はプリクラさんである]
 
西村とオレは、朝7時、病院前のコンビニにいた。

「おい!遅いぞ西村!」

「わりぃわりぃ。んじゃ行くか。」

「おう!」

自転車に乗り西村についていく。

いつもよりペダルが重いのは気のせいだろうか。

「こっちだ。」

西村が指した方向には

『関係者以外立入禁止』

の看板が。

⏰:08/12/07 21:04 📱:N706i2 🆔:o0iG0VFo


#76 [プリクラさん]
 
文字は赤色の達筆で書かれており、少し苔の生えたブロック塀に、ずっしりともたれかかっている。

そのすぐ横には、病院関係者専用であろう出入口があった。

「ここって…ダメじゃん」

「だって、ここしか開いてないんだからしょうがないでしょ」

「……だな。」

⏰:08/12/18 12:38 📱:N706i2 🆔:xPExzsEY


#77 [我が輩はプリクラさんである]
 
西村は慣れているのか、まるで関係者かのように堂々と入っていった。

オレはというと、周りをチョロチョロ気にしつつ入った。

そんな慎重(ビビリ)なオレに気付いてか気付かずか、西村は入口から少し離れた駐輪場に自転車を止めようとしていた。

「おせーよ」

「お前がはえーんだよ!」
 

⏰:08/12/18 12:39 📱:N706i2 🆔:xPExzsEY


#78 [プリクラさん]
 
「しッ!静かに。ここ病院だからできるだけ静かにしてくれ。」

「わりぃ」

「妹の部屋はと…ほれ。すぐそこだから。」

西村が指差す方向には一つだけ窓が開いている部屋があった。

「あそこか…」

「んじゃ、先にオレが行ってくるからちょっち待ってて。」

「あ、うん。…って!え!?外から行くのかよ!!」
 

⏰:08/12/18 12:40 📱:N706i2 🆔:xPExzsEY


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194