メンソｰル

亮からのネックレスをつけなくなって
３ヶ月がたった

今私はタバコを吸ってるの
亮とおんなじメンソールのタバコ

「ゆうさん三番のお席お願いします」

『はい』

今日も私は夜の街にいる

ゆうという名前を使い
男達に夢を売るお仕事

亮と別れてからは
気を紛らわすために
出勤日を増やした

ずっと笑顔でいることは
時に苦痛だけど
仕事の間は嫌なことも
忘れられる

「ゆうちゃん好きなもの飲みなよ!」

『本当～♪♪じゃぁｼｬﾝﾊﾟﾝ一緒に飲も♪』

お酒は嫌なことも
吹っ飛ばしてくれる

頑張るだけ結果のでる
仕事は自分にあっていると思った

「ゆうさん今日もお疲れ様でした!!今日売上１位でしたよ!」

『ほんと♪♪やったぁ♪』

性格が顔にでているってかんじの私

とにかくきつい顔なんだけど

気に入ってくれる
奇特な人もいるわけで

がむしゃらに頑張ったおかげで
亮と別れて半年後には
ナンバー入りするようになった

いろいろな人と出会った
自分の自慢話が大好きな人
水商売の女の子をバカにする人

体目当てで口説いてくる人

中には楽しくお話をするだけの人もいるし
本気で告白してくる人もいる

でも私は絶対に一線は超えない

当たり前のことだけど
やっぱり女の子の中には
体でお客さんをひっぱっている子もいる

お客さん限定ってわけじゃない
男の人達と一線を引いているかんじ

彼氏はいらない

セフレだっていらない

亮を超える人なんて
出会えるとも思ってないし

メンソールのタバコを
吸い込むたびに
亮のことを鮮明に思い出す

毎日毎日昼起きて
朝方寝る
そんな生活の繰り返し

そんな時私の考えを
覆してくれる人にであったの

よみやすいです

[]さん
ありがとうございます

彼の名前は新(ｱﾗﾀ)

私を二度も助けてくれた
恩人だ

仕事が終わり
着替えてタクシーに乗り帰っていた

途中コンビニに寄って
そこから歩いて15分くらいだから
歩いて帰っていた

ｶﾂｶﾂｶﾂｯ

真っ暗ではないものの
人通りはけして多くはない道

ちらほら溜まっている人達もいる

ぐいっ!

『!?』

暗い路地に引きずり込まれた
『きゃぁ!むぐっっ!!』

口を塞がれた

本当にやばいと思った

怖すぎて声もでない
震えだけは尋常じゃないほどだ

男は私に覆い被さってきた

『ふぅぅぅ～!!』

口を塞がれているから
上手く声も出せない

誰か…助けて……

「おい!!なにしとんや!」

男の人の声で
私に覆い被さっていた
男は足早に逃げていった

涙で前がよくみえない…
「大丈夫か!?」

若い男の人……

『あ……ありがとう…ぅぅ～』

号泣してしまった…

送ると言われたが
男の人といるのが
怖くてタクシーを呼んで帰った

あの人には何回もお礼をいい別れた

それからは夜道は１人では絶対歩かなかった

後々思い出してみると
助けてくれた男の人
結構かっこよかったような……

でも男の人が
若干怖くなった私は
お客さんとのアフターにすらしばらく行けなかった

とにかく男と２人きりになるのが怖かった

友達とショッピングモールへ行った

２人とも好き勝手
見て回るタイプで
いつものようにバラバラに見て回っていた

本屋へ寄った時
気分が悪くなりとっさにうずくまった

『…っ』

もともと貧血気味だったから昔からよく倒れていた

亮もレバー食えとか
言ってたな…
薄れる意識の中そう思っていた

「大丈夫？気分悪いん？」

気持ち悪すぎて
俯き軽く首をふるしかできない

「こっちきな
椅子座ろう」

その人に支えられ
もたれかかりながら
椅子まで歩いた

しばらくして
少し気分がよくなってきた私は
ゆっくり前を向き
お礼を言った

『すみません…どうもありがとうございました…』

「あれっ？」

驚いたような声をだし
私はキョトンとしてしまった

『えっ…？』

「二回目やんね」

そうなの？

↑
驚いたような声を出され
ですね(´･ω･`)すません

「覚えてない？」

知らないし…
『…ごめんなさい…
どっかで会いましたっけ？』

「夜中に助けたじゃん？」

あのレイプ未遂事件の時に助けてくれた人?!

『えっ…!?あ…
あの時は本当にありがとうございました!!
それに今日もどうもありがとう』

二回も助けてくれたのか
いい人

「い～え♪大丈夫だった？」

『はいっ!あのっお礼になんか奢らして下さい！』

世話になりっぱなしって
嫌なの

「いやいや!そんなん気にせんでかまんけん!」
『でもそれじゃぁ私の気が済まないんです!』

「ん～じゃあ今度飯でも行こ？連絡先教えてくれる？」

２人でご飯……
怖い……けど
『はい…いいですよ』

連絡先を交換して別れた

これが新との出会い
新の考え方は
これからの私の長い人生にすごく影響した

それから数日後
新とご飯を食べに行くことになった

「ごめんなっ!遅なって」
『大丈夫!今来たところだから』

新とは現地待ち合わせにした

綺麗なホテルのレストラン

今日はお礼のための食事
新に指定されたホテル

ホテルと聞いたとき
正直焦ったけど
レストランと聞いて少し安心した

おいしいご飯
楽しい会話
新との会話は途切れることなく
仕事中以外で亮を
忘れられたのは
初めてだった

新は私の２つ上で22歳

仕事のせいか
若い男の子達のことは
正直子供だと思っていた

新は２つしか変わらないにも関わらず

すごく尊敬できるところが沢山あった

「由衣ちゃんは二十歳なのに考え方が大人だね」

『私には新君のほうが
大分年のわりに大人だと思うよ』

それからも会話は途切れることなく私達はお互いのことを
話ていた

食事も終わり
私は会計をしようとしたら
「もぅ払ってるからでよう」

『えっ?!ダメだよ!お礼なんだし私が払うよ!』

「女の子に払って貰えないしね♪飯付き合ってくれたのがお礼がわりね」
大人だなって思った…

『でも……それじゃぁ…』
気が済まないよ…
「じゃぁ俺と友達になってくれない？」

『えっ？』

「由衣ちゃんと話してたら楽しいしまた飯付き合ってよ」

会ったばっかりだけど
新なら大丈夫だと思った
『うん……私でいいなら♪』

亮と付き合っていた時は
男友達なんていなかったし
私にとって中学以来の
男友達ができた

それからも新とは
お互いの友達も交え
何回か遊んでいた

もうすぐ21歳の誕生日がくる

その日は店で
ﾊﾞｰｽﾃﾞｲｲﾍﾞﾝﾄをする

誕生日の前日と当日で
イベントをする

日が変わり21歳になった
お客さんや店のスタッフから
たくさんのプレゼントと
お祝いの言葉を貰い

店をしめた後
新と会った

「由衣おめでとう」

『ありがと♪』

「これ…」

新がくれたプレゼントはネックレスだった

「由衣いっつもネックレスとかしてなかったから」

そう……亮に貰ったネックレスが壊れて以来
私はネックレスを付けていなかった

いや…付けれなかった

『…………』

お礼言わなきゃ…
言わなきゃいけないのに……

ありがとうの言葉の前に
涙が溢れてきた

「由衣!?」

『…っごっごめ…』

無理……付けれない……
まだ亮のネックレスの重さが残っている気がする

「落ち着いて……ゆっくりで良いから話してくれないか？」

『……ｯ』

私は亮と出会ってからの５年間を新に話した

当時の友達以外で
はなしたのは初めてで
嗚咽で途切れる私の話を新は急かしもせず
頷きながら聞いてくれていた

全部話終わった時に新が口を開いた

「……なんとなく由衣には好きな人いるんじゃないかって思ってたんだ」
つらそうに笑う新

その笑顔が最後の時の
亮の笑顔とかぶった

「今言うのもおかしいけど俺由衣が好きなんだ」
驚いた
「今日プレゼント渡して告ろうかと思ってたんだけどプレゼント選び失敗したみたいだな」

悲しい笑顔は見たくないよ

「由衣が元カレのことまだ好きでもいいよ
俺が忘れさせたい
俺と付き合ってくれませんか？」

『…』
言葉がでなかった

数秒のうちにいろいろな考えが頭をよぎった

亮より好きになれるわけない

新なら亮より好きになれるかも

断ったらもう新に会えないの？

新はこんな私でいいの？

『本当に…忘れさせてくれる？』

「約束する」

約束って言葉が怖い
亮は約束を守ってくれなかったから

その日から私と新は付き合い始めた

しかしなんら代わり映えのない関係で

本当に付き合っているのかも分からない

１つ変わったのが手をつなぐようになっただけだった

付き合い始めて１ヶ月がたった

いまだにに手をつなぐ以上のことはしていない

新が私の気持ちを大事にしてくれているんだと思った

付き合う前から
新の良いところはたくさん知っている

コンビニに行くとつい募金してしまったり

小さい子供を見ると
優しくほほえんだり

人を本当に大切にする新は私のことも
本当に大切にしてくれた

外見は亮には似ていないけど
性格やもっている雰囲気は似ていると思った

ただ違うのは
新は私を怒る

それは私のために怒っていることくらいわかってる

お互いを思い合っているからこそ
お互いの悪いところを指摘できるのかなって思った

亮と別れてから止まっていた私の恋愛は少しずつ成長していった

『新…好きだよ』

付き合い始めて４ヶ月
私は初めて新に好きだと言った

新はすごくびっくりした顔をしたあと
いつものように優しい笑顔で私を抱きしめた

初めての抱擁になぜか涙がでた

「俺のほうがもっと由衣のこと好きだ…笑」

新と初めてのキスをして
一緒に眠りについた

亮と別れて１年と８ヶ月
私はやっと次の恋に進めたみたい

めちゃ泣けます！
がんばってください

ゆさん
ありがとうございます

最後まで読んでいって下さいね

新との付き合いは順調だった
私も少し年をとり
考え方も大人になり
お互いを大切にできた

新と付き合って半年
21歳３月

私は徐々に夜を減らし
４月には昼職を始めた

週末はどちらかの家に泊まっていた

セックスはまだしていない

亮と別れて２年がたった
あんなに寂しかった夜も
新を好きになってなくなった

その頃友達が店を初め
手伝って欲しいと言われ
新に許可をとり
週２くらいで働いていた

地元の繁華街の店

前の店は地元から40分ほど離れたところだったから
知り合いに会うこともなかった

亮とすごした３年間を
私は思い出にはできていなかったのかな

平日にも関わらず
店内は賑わっている

18の時から夜の女として生きてきた
友達の頑張りがあらわれている

ｶﾗﾝ～♪
『いらっしゃいませ～』
私は再びゆうになった

地元なだけあって
知り合いにはよく会う

「お～っす!!由衣今日ものんでっか♪」

『ちょっと!!店ではゆうなの!!』

中学の時仲のよかった同級生

お店の19歳の女の子を気に入ってちょくちょく来ている

「来週のおまえの出勤日に会社のツレ連れてくるから!」

『売り上げ協力してねぇ～♪笑』

後悔先にたたず

昼も夜も仕事は順調
新ともうまくいっている

なんの問題もない

あの日までは

受信ﾒｰﾙ
￣￣￣￣￣

今日連れて行くから!

イケメンやけんおまえびびるぞ!笑

＿＿＿＿＿＿

同級生からのﾒｰﾙ
新がいるのに他人になんてなびかないよ

ｶﾗﾝ～♪

『いらっしゃ～い♪』

「お～っす♪」

なんで会うかな……

『亮ｯ…』

「由衣……」

「あ～知り合いやったんや♪ほな話もしやすいな♪」

まさか亮が来るとは思わなかった

飲み屋とかが嫌いな亮

「今日初飲み屋やけど知り合いやったら大丈夫やな♪」

大丈夫じゃない
全然大丈夫じゃないよ……

なにを話せばいいのか
分からないし
同級生はお目当ての女の子に夢中で

こっちの沈黙にすら
気づかない
『…ｯ』

「元気やった？」

す…すごすぎますッ
読みやすいし話もいいのです！
ずっと応援してます！

_

由姫さん
ありがとうございます～(;ω;)嬉しいです

『うん…亮も元気そうだね…』

「まぁな」

『こんなとこ来て彼女怒らないの？』

「……彼女いないから大丈夫」

『あれっ？前にビデオ屋で見たからいるのかとおもってた』

揺れない
なびかない

「すぐ別れてる
もう１年以上彼女いないしな……由衣のこと引きずってる」

揺れない…？
なびかない…？

なにも言えない……
「…由衣がいることが当たり前になってて俺は調子にのってたのかもしれない…」

『…』

「由衣のことをもっと大切にすればよかった…俺はやり直したい…」

亮は私のこと大切にしてくれたよ…

もぅ遅いよ……

私には新がいるの…

なにもいえない
断らなきゃ……

「……無理だよな…ごめん」

『…』

声がでない

返事をすることもできずに
２人はﾁｪｯｸして帰って行った

また亮を連れてくるんだろうか
亮は誘われて飲みにくるのだろうか

いろいろな考えが
頭をよぎった

『新……会いたいｯ…』
仕事が終わり
新に電話した
こんな深夜にいつもは電話しない

帰宅したことをつたえるメールを送って
新が起きていれば
電話がくる

でも今日は私は真っ先に新に電話した

新はすぐに来てくれた
私の家から仕事に行くといい泊まりにきた
ｶﾞﾁｬ
「おじゃま～」

新が家に入りすぐに
駆け寄り
なにも言わずに抱きついた

「由衣？」

新がどうしたのか聞いてきても答えられるわけない

『好き……好き…新…好きだよ』

どう伝えていいのかわからず
とにかく好きを何度も言っていた

「由衣なんかあった？」
首を横にふり
新にキスする
新も答えてくれる

私は新が好きなの…
亮のことを振り切るように新を求めた

『新…抱いて……』

付き合って８ヶ月がたとうとしていたが
まだセックスをしていなかった

「由衣？」
『新のこと大好き
もっと新のこと好きになりたい…』
「いいの？」

私は頷いた

「我慢してたんだから
やだっていっても止まらないから…」

ベッドまで運ばれ
優しく壊れ物をさわるかのような愛撫に身をゆだね

愛されていると実感する

２年ぶりのセックスで
少し痛みもあったら
その痛みさえも
心地いいと思わせた

行為後泣いてしまった私はなにを思って泣いたのか
「由衣？」
心配そうな新の声に
うれしかったからと言った

亮が頭から離れない
最悪な私…

>>249

痛みもあったら
↓
痛みもあったが
です(´･ω･`)

新のことは一番好きだし
別れたくなんてない

でも亮とすごした３年間は長すぎて
私に忘れることは無理だった

どんなに傷ついても
時間が解決してくれる

昔誰かが言っていた

本当に？

会うたびにときめいていて
本当に忘れることができるの？

隣で寝息をたてている
新に目をやり
また涙が流れる

『新だけだから……
大好き……』

寝ている新にキスし
私も眠りに落ちた

生活は安定していた
仕事も恋愛も
自分の気持ちをしっかり
保っていれば
心揺らぐこともないと
毎日自分に言い聞かせていた

店にはあの日から
しばらく行っていない
ママである友達から
亮が来たけど
由衣がいなかったから
飲まずに帰ったと

何度か連絡があった

店にでなくなり
１ヶ月近くたつ
そろそろ出勤しなくては
迷惑がかかるので
出ることにした

「ゆうさん久しぶりですｰ!!」

お店で懐いてくれている
下の子がニコニコしながら近寄ってくる

『久しぶり!長いこと休んでてごめんね』

「大丈夫ですよ♪
でも亮くんよく来てましたよ!」

知ってるよ……

いろんな展開に
すごくドキドキしました!

頑張ってください!!

匿名様ありがとうです

ゆかではないです

出勤しだし４日
亮が来た

「由衣!体調治ったんだ!」
あぁ……体調不良に
なってたのね……

『……いらっしゃいませ』

営業スマイルで
出迎えた

言おう…
このまま亮を
お客さんにしたくないし
寄りも戻せない

『…亮…私…彼氏いる…』

「………知ってる…」

亮は知っていた
私が新と一緒にいるのを
何度かみたことがあるらしい

『じゃあ…なんで……』

「由衣のこと好きだから
客としてでいいんだ…
俺が吹っ切れるまで…」

泣きそうになった
でも店だから唇を噛み締めて
我慢した

『……なんで…そゆｯ…ことゆｰの…』

しゃべったら涙でそう…
「迷惑なの分かってる
まじでしつこくてごめん…」

『私亮をお客さんにしたくないお願いだからもぅ店来ないで…』

私は絞り出すように
声を出した

亮は寂しそうに笑って

「……ごめん
また飲みに来る
席つかなくていいから」

ﾁｪｯｸして帰っていく
亮を送り出しもせず
呆然と席に座り込んでいた

見かねた友達が
「由衣…今日はもう上がっていいよ」
と言ってくれた

何もするきがおきず
帰ってから新に連絡するのも忘れていた

朝目が覚めると
新から着信とメールが
着ていた

『………』

心配していた

新はもぅ仕事に行ってる
時間だからメールを送った

ちょうど仕事も休みだったこともあり
なにもせずにずっと
ベッドに伏せていた

新からの電話で
大分時間がたったことに気づき

新とご飯を食べに行くことになったので
準備をして迎えにきてもらった

新にあっても
心の中のモヤモヤが晴れない

亮のことを長い間引きずっていたけど
亮も同じように私のことを
思ってくれていることが
わかり頭の中がぐちゃぐちゃになってきた

『新好きだよ』

私は新に好きだと
何度も言う

それは私の頭の中にいる
亮の存在を否定するかのように

自分に言い聞かせるように

なにもかもがわからない
自分の気持ちさえも
わからなくなってしまった

気持ちが迷子になったみたい

新といても
店に亮がきても
誰と一緒にいても
私はずっと１人ぼっちな気分

私は心をなくした人形みたいに
気持ちを抑えた
今更この生活を変えようなんて思わない

新とは定期的に遭ってるし
亮は店にくるけど
私はつかない

このままでいい
自分の感情を抑えこめばいい

新を傷つけないって決めてた
でも亮は傷つくよね

『私いなくなっちゃえばいいのかな…』

「えっ？ゆうちゃんなんかいった？」

『いいえ？なにも言ってませんよ？』

気持ち抑えるのも
限界…