白く、故に黒く。

純粋は白、
脆く染まり易く。

完全なる黒、
深く抜け出せず。

【BL】

「やっぱりしゅうだ～！久しぶりっ。」

無邪気な笑顔で駆け寄ってきたリナ。

「お、久しぶり…。」

俺…
うまく、笑えてるかな？

「スーツなんて着てる～！しゅうも社会人かぁ…成長したねっ！」

「しかも警察官～」

余裕ぶってダブルピース。

早くこの場を離れたい。
それだけ。

「うそっ、すごーい！リナが違反したら見逃してよねっ☆
じゃあ、リナ行かなくちゃ！バイバイ！」

ヒラヒラと手をふって、
リナの背中を見送った。

――――――……

『しゅう～っ聞いて！』

このときの嬉しそうな顔、いまでも覚えてる。

『リナに彼氏が出来ましたぁ～！！』

『…っ』

戸惑いも

『なんとなんと…良くんなのでしたぁ～！』

愕然としたことも

『やっと…っ、片思いが実ったの！…ｸﾞｽｯ』

絶望も

『良くん…早くしゅうに話したいって言ってたよ。自分から伝えたいって。リナ言っちゃったけど☆』

良への怒りも

―――覚えてる。

毎日のように一緒にいた俺たち。

登下校、約束したわけでもないのに必ず待っていてくれる良。

ペア練習は必ず俺とやりたがる良。

夏休みなんて毎日のように俺の部屋に転がりこんできやがった。

キモいかもしんないけど、『友情は大切だ』って素直に、胸張って言えるくらい大切なダチ。

そんな親友、良と…

ずっと好きだったリナ。

どっちも、離れて行ったんだよなぁ――…。

良は優しいからな。
俺の気持ち知ってたからこそ、離れたんだろうな。

おもむろにポケットからタバコを取り出すと、

お気に入りの赤いライターで火を点けた。

体に悪そうな煙を、
鼻から、口から取り込む。

――…良、元気かな。

ふーっと、煙を吐き出す。

口から離し、火を見つめてから、灰皿に突っ込んだ。

タバコは嫌いだ。

まずいし、体に悪いし、お金もかかる。

いい所、ないじゃん。

――え、俺？

なんかタバコ＝大人の男！って気がしない？

最初はそんな軽い気持ち。

最近では、考え事をすると無意識に手が伸びてるけどね。

タバコをもう一本取り出して火をつけた。

と思ったら、

ひょいとタバコを奪われた。

「一本くれ。」

はぁ！？

もう一回言おう、

はぁ！？？？