電 波 少 女
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#1 [萌子◆Hi9o8eIXuA] 09/01/18 03:43
#186 [萌子◆Hi9o8eIXuA]
まさか千鶴は僕をここへ連れていこうとしているのだろうか。
千鶴をみる。
どこか期待を孕んだ目をきらきらさせて、僕とチラシを交互に見つめていた。
目は口よりものを言う。
僕はため息をついた。
「行ってみない?」
さらっと千鶴が訊いた。
やっぱり、と思った。
:09/03/25 09:12 :N03A :LLrr/MeE
#187 [萌子◆Hi9o8eIXuA]
「どうして僕なんかも」
「カップル来店限定のサービスがあるみたいだから。行こうよ。メイドカフェなんて、珍しくて、面白そうでしょ?」
すこしの沈黙。
本当に困った。
安易に断って機嫌を損ねられても、誘いを受けても、どっちに転んでもとても困る。
返事をしぶっていくうちに、千鶴の表情にみるみる陰がさしていった。
:09/03/28 12:14 :N03A :YRzdtQ42
#188 [萌子◆Hi9o8eIXuA]
「やっぱり、だめ?」
悲しそうに千鶴が言った。
かるく噛み締めた唇に重ねた両手をそえて、瞳を涙ぐましていた。
そんな表情をされると、こちらが悪いことを持ちかけているみたいだ。
結局、最終的には僕がおれるしかないのだろう。
:09/03/30 09:00 :N03A :inZdbM2g
#189 [萌子◆Hi9o8eIXuA]
仕方ない。
僕はチラシをもう一度眺めた。
「いいよ。行く。」
僕は言った。
「えっ。」
千鶴はぱっと顔を上げて、驚いたように目を丸くしていた。
くるくる表情が変わって、本当にわかりやすいやつだ。
:09/03/30 09:00 :N03A :inZdbM2g
#190 [萌子◆Hi9o8eIXuA]
それから僕たちはいつも通りに退屈な授業をいくつか受けて、やがて放課後をむかえた。
あとはホームルームを受けるだけだ。
僕は眼鏡を外して、こった肩を片手でゆっくりと労って揉みほぐした。
「だから、行こうよ。」
僕のすぐ隣にいる女子が、楽しく陽気に友達たちに言った。
:09/04/03 14:12 :N03A :QGPfObRw
#191 [萌子◆Hi9o8eIXuA]
「駅前に可愛くてスイーツの美味しいカフェができたんだって。放課後、暇ならどう。」
「本当に美味しいのかな。」
次々と美味しい誘いに賛成していく友達たち。
そうそう。
お金を持ち合わせていない人がいるから、私とあなたでワリカンね。
私クリームがたくさん入ったチョコレートパフェがいい。
あ、わたしは大きいプリンがのったアラモード。
:09/04/03 17:23 :N03A :QGPfObRw
#192 [萌子◆Hi9o8eIXuA]
彼女らが、あんまり女子高生らしい会話をするので、ほほえましかった。
僕もぜひそのスタンダードな格好をしたウェイトレスのいるカフェに立ち寄りたいものだ。
ふと、千鶴を見た。
教室の窓ガラスから射し込む夕陽が、彼女のやわらかな髪や頬の産毛を、うっすらと橙色に染めていた。
思わずみとれた。
えくぼのある笑顔と、彼女の放つオーラがとても堂々と、明るくきらきらとしていたから。
:09/04/03 19:25 :N03A :QGPfObRw
#193 [萌子◆Hi9o8eIXuA]
わずかにひらかれた潤いのある唇。
肩でゆれる髪が、水分を含んだようにしっとりとした光沢を放っていた。
なにやら窓の外を、興味深そうに、じっと見つめていた。
なんだろう。
千鶴のいたずらを考えるときの昔からの癖で、口の端をすこしつり上げて瞳を輝せていたので、僕はあとで何かされるのか心配になった。
:09/04/03 19:27 :N03A :QGPfObRw
#194 []
気になります
:10/01/23 19:10 :SH01B :jklFL0cQ
#195 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑
:22/11/21 19:02 :Android :.FGKzkPw
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