遭難少年
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#1 [まもる] 09/01/23 23:22
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よかったら暇潰しにどうぞ!
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 ◇遭難少年   /マモル

#134 [まもる]
「催涙ガス…みたいなものだろうな。どうやら眠らされた…ってわけか。居心地がよくてうたた寝したのかと思ったな…。」

ヤシカも苦笑まじりに言う。ひとまず、眠らされた以外は安全なので、策を練ろうかと思い、俺は口を開いた。

「どうするんだ、これか

『初めまして、お客様。』

不意に、やわらかい声がした。目の前の壁掛けテレビからだ。

映るのは、まだ俺と同じか、あるいは少し年上かくらいの人。そして彼女は自己紹介を軽くしてから笑みを浮かべる。

⏰:09/03/31 00:02 📱:SH906i 🆔:nL50/buQ


#135 [まもる]
『第135代、マニッカリの女王―――ミサーネですわ。』

柔らかい微笑みは優しい美少女そのものであるように感じる。

「あの、俺達……」

ヤシカが尋ねようとすれば、

『えぇ、セカイを渡るための方法ですわね?知っているわ。』

3558号から聞いたのであろうか。的確に俺達の目的を知るらしい彼女。

どうやら凶悪な姫様なんかではないらしい。話せばわかるものではないか。

⏰:09/03/31 00:09 📱:SH906i 🆔:nL50/buQ


#136 [まもる]
しかし安堵したのもつかの間である。途端、彼女の瞳は笑みを失った。…顔は笑顔なのに。

『けれど、何もしない民衆――いえ、特に母を暗殺した民衆に……安々とは教えられませんわ。』

「条件、が必要なのかしら?」

カリアがテレビ画面に向かって尋ねる。

『そうですわね、条件――いえ、私のお遊び…ゲームに付き合って下さるなら、考えますわ。』

RPGの常套句のような台詞に非現実さを感じながら、俺は静かに息を飲んだ。

⏰:09/03/31 00:17 📱:SH906i 🆔:nL50/buQ


#137 [まもる]
「どんなゲームだ、」

『簡単ですわ。あなた方には"迷路"を進んで頂くのよ。ゴールは…"セカイ移動をするための間"。』

姫様…女王の話はこうだ。

元々、セカイ移動をするための条件が全て揃う場所が城内にはあり、しかしそこはセキュリティが万全。

そのセキュリティシステムこそが、今回のゲームの舞台"迷路"であるのだ。

迷路は民衆がゴール出来ないように仕掛けをしてあるそうで、それでもそこを抜けられれば、俺達がゲームクリアーで、セカイを渡らせてくれるという。

⏰:09/03/31 00:27 📱:SH906i 🆔:nL50/buQ


#138 [まもる]
『しかし、仕掛けにかかってしまって…あなた方皆が死んだらゲームオーバーよ。』

不敵に笑う女王。

「やはりただではいかないんですね。」

『当たり前じゃない?――さぁ、鍵を開けたわ。扉から出たところでゲームスタートですわよ?』

クスクスと楽しそうに笑う女王の残酷さに、俺は少し恐怖して、そしてヤシカをちらりと見てみた。

⏰:09/03/31 00:33 📱:SH906i 🆔:nL50/buQ


#139 [まもる]
ヤシカも俺を見たらしい。そしてよっぽど俺が怖がっているように見えたのか、笑顔を向けられた。

「大丈夫だろ?」

ヤシカがそう言えば大丈夫な気がする俺。別に変な意味は無い。

「じゃあ…行くわよ。」

カリアも神妙な顔だが、至って恐怖してはいない。

スズキは笑顔だ。

「では、開きます―――いえ、皆さん下がって下さい!!」

しかし突如、スズキが言う。何だとばかりに見ていれば、スズキはドアをレーザーガンのようなものでふっとばした。

⏰:09/04/02 01:24 📱:SH906i 🆔:1AKERhtw


#140 [まもる]
途端、爆発するドア付近。

「なッ!?」

「爆弾か――…扉を開けたら爆発するタイプだな。危ない危ない。」

爆風に靡いた髪を直す皆に、俺は目を丸くさせていた。

危ない危ない、どころの話だろうか、これは!

「スタートから殺る気満々ね…。気をつけましょう。民衆遊びと同じよ、これじゃ。」

「気をつけられるレベルか!?…か、カリア…下手したら死ぬんだぞ!?」

⏰:09/04/02 01:30 📱:SH906i 🆔:1AKERhtw


#141 [まもる]
「タローのことわざ、かしら?…殺られる前に殺れ、というのは。」

俺の真面目な心配に、カリアはにこやかな黒い笑みで言った。…こんなカリアは見たことない。

「アリス、」

戸惑う俺に、ヤシカが優しく名前を呼ぶ。しかし。

「死んだら殺すからね?」

額に拳銃を向け、笑顔で言われれば、

「はい」

と、震える声で言うしかなかった。

⏰:09/04/02 01:41 📱:SH906i 🆔:1AKERhtw


#142 [まもる]


「庶民風情が…!この爆弾の一発目で果てた者は数知れないのに!!!……まぁいいですわ、少しは骨のある連中なようですから。」

爪を噛む小さき女王は、不敵な笑みを浮かべて、目の前にあるテレビ画面を見つめている。

「お嬢様……!」

殺気に恐れた彼女のアンドロイド執事がすかさず声をかける。

「3558号!…楽しませてくれますわよね……?」

「……全力を尽くさせて頂きます。必ずや、お嬢様の"娯楽"を…最高のものにしてみせます。」

「期待しますわ―――…」

⏰:09/04/02 01:51 📱:SH906i 🆔:1AKERhtw


#143 [まもる]
足を組み直す女王の傍らで、携帯電話で必死に指令を出す執事は、必死だった。

「…どうか私を楽しませるのよ、タローと仲間達……」

⏰:09/04/02 01:55 📱:SH906i 🆔:1AKERhtw


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