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#136 [蛍火]
 
それだけは嫌だ
怖い、男の人が怖い

あの感覚を思い出すだけで吐き気がする


でもこのままでは生きていけない
お金がなきゃ望実も私も生きていけない


駄目。強くならなきゃ

私は 母になったんだから

⏰:09/02/03 16:53 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


#137 [蛍火]
 
妖しい夜のホテル街にやってくると
覚悟を決めたはずなのに体が震え足がすくむ


すると50代半ばくらいの太った男と
まだ高校生であろう綺麗な女の子が仲良さげに歩いてきた


明らか援助交際
 

⏰:09/02/04 09:41 📱:auCA3C 🆔:Vl7Uzv2M


#138 [蛍火]
 
女の子は私とは正反対のように男に寄り添って歩く

怖くないの?
どうして笑顔でいられるの?

にこにこ笑いながら男に話しかけている


男を誘っているような癖のある声
パンツが今にも見えそうな程のミニスカート

⏰:09/02/04 09:47 📱:auCA3C 🆔:Vl7Uzv2M


#139 [蛍火]
 
分かった…

私はあの女の子になりきればいいんだ

そうすれば私は別人になれる

男と寝るのは私じゃない
私とは違う女の子

だから男なんて怖くないんだ

寧ろ男は金をくれる大切なお客さんだ

⏰:09/02/04 09:54 📱:auCA3C 🆔:Vl7Uzv2M


#140 [蛍火]
 
そして
この日から援交で金を稼ぐようになった


素の自分が弱い程、別の女を演じることは簡単だった


数え切れない程のセックスをした

だから男にはもう慣れたって思ってた

でも慣れていたのは私ではなく
私の作り出した別人の方だったんだ

⏰:09/02/04 10:07 📱:auCA3C 🆔:Vl7Uzv2M


#141 [蛍火]
 
そう、私はまだ男が怖い…



でもどうしてあの男は
途中で止めたんだろう

抱きに来たんじゃないから?
それとも私が泣いたから?

いや泣いたからといって止めるような男には見えない



ただ男の手は温かかった。
 

⏰:09/02/04 12:43 📱:auCA3C 🆔:Vl7Uzv2M


#142 [蛍火]
 
ずっと座り込んだまま動かなかった私は
やっと落ち着きを取り戻し時計を見た


もう上がりの時間。





「帰ろ。」
 

⏰:09/02/04 12:50 📱:auCA3C 🆔:Vl7Uzv2M


#143 [蛍火]
 
私はドレスを脱ぎ洗面所で厚く塗っていた化粧を落とした


鏡に映るすっぴんの私


私はいつも目立たないように地味服を着てすっぴんで帰る

この容姿がなるべく地味になるように

なるべく一目につかないように

⏰:09/02/04 13:09 📱:auCA3C 🆔:Vl7Uzv2M


#144 [蛍火]
 
「帰ります。お疲れ様でした」

店長に声をかけ私は外に出た

すると私の姿を見て
煙草を吸いながら近付いてくる男が1人


忘れもしない

私をウーロン茶まみれにした男

⏰:09/02/04 13:15 📱:auCA3C 🆔:Vl7Uzv2M


#145 [蛍火]
 
嫌な予感がする…

私は男を避けるように歩き出した


「あっ葵ちゃん?だっけ
ちょっと待って!」


げっ…!予感的中…

あの男の仲間だ
逃げなきゃ!

⏰:09/02/04 13:25 📱:auCA3C 🆔:Vl7Uzv2M


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