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#11 [蛍火]
――――――
――――
「まーまっ」
「痛っ!」
鏡の前で動かない私の髪が
思いっきり引っ張られた
「もう痛いじゃない!髪は引っ張っちゃダーメ」
「だってママぼーってしてるんだもん」
ぷいっと顔を逸らしホッペを膨らます
そんな姿に自然と笑みが零れる
:09/01/28 19:22 :auCA3C :Sv2HRysI
#12 [蛍火]
「のーぞーみっ!ほら拗ねてないでこっちおいで?」
チラッとこちらを向くと
またそっぽを向いて
「やーだもん」
「おいでって」
「いーやーよ」
「なでなでしたげるから」
「いらないもん」
………なにこれ反抗期…?
前はもっと素直だったのに!
まぁいいや
そ〜っと後ろから近づき
「拗ねてる子にはこちょこちょの刑!」
:09/01/28 19:34 :auCA3C :Sv2HRysI
#13 [蛍火]
「きゃははは//ママやめてやめて!こちょこちょやめて〜」
「まだまだ〜!こちょこちょこちょこちょ〜」
望実は小さく丸くなり必死にもがいている
もう4歳かぁ
ふと壁に掛けてある時計を見上げる
:09/01/29 01:37 :auCA3C :S4zYO/GE
#14 [蛍火]
「あ゙ぁ!!もう18時!?」
時間経ち過ぎ…
「マーマ?」
「ちょっと急いでご飯用意するから待っててね」
「はぁい!」
あぁどうしよう
遅刻かな…
10分程でオムライスとサラダが完成した
:09/01/29 02:00 :auCA3C :S4zYO/GE
#15 [蛍火]
「ご飯出来たから食べるよ〜」
望実はお気に入りのスプーンを持って
とことこ走ってきた
「あ!のぞみのオムライスくまさんだ!」
「可愛いでしょ〜」
「ママのはくまさんにしないの??」
望実はまだケチャップの付いていない私のオムライスを覗き込む
「あ〜じゃぁママのもくまさんにしようかな♪」
まぁ何でもいいんだけどね(笑
ケチャップを取ろうと
手を伸ばすと
「んっ?」
サッと望実にケチャップを取られてしまった
:09/01/29 02:16 :auCA3C :S4zYO/GE
#16 [蛍火]
「ママのはのぞみがやってあげる!」
そう言うと私のオムライスに
くま?犬?きつね?
色々ごちゃ混ぜになったような動物を描いた
「はいっ犬さんだよ♪」
あっ犬だったんだ!
望実はわんちゃん好きだもんね
今は無理だけど
そのうち飼ってあげたいなぁ
:09/01/29 02:29 :auCA3C :S4zYO/GE
#17 [蛍火]
「ごちそうさま〜」
「ごっちょさまでしたっ」
急いで茶碗を洗い着替えをする
「ママ、おしごと??」
望実が支度をする私を寂しそうに見つめてくる
「うん、ごめんね望実…
今日は大家のおばぁちゃんが
寝るまで来てくれるから、
良い子にしててね?」
「……。分かったぁ!」
:09/01/29 10:21 :auCA3C :S4zYO/GE
#18 [蛍火]
一瞬悲しそうな顔をしたが
すぐに笑顔に戻り
元気よく返事をした
子供なりに気を使っているようだ
寂しい思いさせてごめんね…
―――ピンポーン
あ、大家さんだ
「はーい!」
:09/01/29 10:30 :auCA3C :S4zYO/GE
#19 [蛍火]
「こんばんわ絢音ちゃん
おまんじゅう持ってきたよ」
ドアを開けると
白髪頭に腰を丸めた大家さんがにっこりと微笑んだ
「おばあちゃん、いつもありがとう」
「いいんだよ〜私にはこのくらいしか出来ないんだから…
申し訳ないのう」
「そんな事ないよ!
すごい助かるし
私も早くちゃんとしたとこで働くから」
「あまり無茶したらいかんよ?」
「うん!ありがとう
じゃ望実の事よろしくお願いします」
:09/01/29 12:51 :auCA3C :S4zYO/GE
#20 [蛍火]
「おばあちゃんパズルやろ〜」
望実は手にパズルを持って私とおばぁちゃんの元にやってきた
「おぉ望実ちゃん今日はパズルかい
一緒にやろうかね」
「うんっ!ママはお仕事がんばってね!」
私を見上げ可愛らしい笑顔を向ける
そんな望実の頭をポンポンと撫でながら
複雑な思いを胸に私は家を出た
:09/01/29 13:21 :auCA3C :S4zYO/GE
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