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#15 [蛍火]
「ご飯出来たから食べるよ〜」
望実はお気に入りのスプーンを持って
とことこ走ってきた
「あ!のぞみのオムライスくまさんだ!」
「可愛いでしょ〜」
「ママのはくまさんにしないの??」
望実はまだケチャップの付いていない私のオムライスを覗き込む
「あ〜じゃぁママのもくまさんにしようかな♪」
まぁ何でもいいんだけどね(笑
ケチャップを取ろうと
手を伸ばすと
「んっ?」
サッと望実にケチャップを取られてしまった
:09/01/29 02:16 :auCA3C :S4zYO/GE
#16 [蛍火]
「ママのはのぞみがやってあげる!」
そう言うと私のオムライスに
くま?犬?きつね?
色々ごちゃ混ぜになったような動物を描いた
「はいっ犬さんだよ♪」
あっ犬だったんだ!
望実はわんちゃん好きだもんね
今は無理だけど
そのうち飼ってあげたいなぁ
:09/01/29 02:29 :auCA3C :S4zYO/GE
#17 [蛍火]
「ごちそうさま〜」
「ごっちょさまでしたっ」
急いで茶碗を洗い着替えをする
「ママ、おしごと??」
望実が支度をする私を寂しそうに見つめてくる
「うん、ごめんね望実…
今日は大家のおばぁちゃんが
寝るまで来てくれるから、
良い子にしててね?」
「……。分かったぁ!」
:09/01/29 10:21 :auCA3C :S4zYO/GE
#18 [蛍火]
一瞬悲しそうな顔をしたが
すぐに笑顔に戻り
元気よく返事をした
子供なりに気を使っているようだ
寂しい思いさせてごめんね…
―――ピンポーン
あ、大家さんだ
「はーい!」
:09/01/29 10:30 :auCA3C :S4zYO/GE
#19 [蛍火]
「こんばんわ絢音ちゃん
おまんじゅう持ってきたよ」
ドアを開けると
白髪頭に腰を丸めた大家さんがにっこりと微笑んだ
「おばあちゃん、いつもありがとう」
「いいんだよ〜私にはこのくらいしか出来ないんだから…
申し訳ないのう」
「そんな事ないよ!
すごい助かるし
私も早くちゃんとしたとこで働くから」
「あまり無茶したらいかんよ?」
「うん!ありがとう
じゃ望実の事よろしくお願いします」
:09/01/29 12:51 :auCA3C :S4zYO/GE
#20 [蛍火]
「おばあちゃんパズルやろ〜」
望実は手にパズルを持って私とおばぁちゃんの元にやってきた
「おぉ望実ちゃん今日はパズルかい
一緒にやろうかね」
「うんっ!ママはお仕事がんばってね!」
私を見上げ可愛らしい笑顔を向ける
そんな望実の頭をポンポンと撫でながら
複雑な思いを胸に私は家を出た
:09/01/29 13:21 :auCA3C :S4zYO/GE
#21 [蛍火]
19時か…
間に合わないな
いちお電話入れとくか…
電車に乗り早足で仕事場に向かう
夜の街は派手な彩りでライトアップされ昼間とは全く違う街になる
露出の激しい服をまとう女達に
いやらしい目つきで女を追う男共
:09/01/29 14:11 :auCA3C :S4zYO/GE
#22 [蛍火]
そんな中をパーカーにジーンズという地味な格好をした私は小走りで走る
人混みは上京して5年経つというのに未だに慣れない
鬱陶しい
息が苦しくなる
でも弱音なんか吐いてはいけない
私は強くなったんだ
愛する我が子の為に
自分自身生きる為に
私は今日も体を売る
:09/01/29 15:37 :auCA3C :S4zYO/GE
#23 [蛍火]
人混みを掻き分け先を急ぐ
今日は特に人が多いな…
あぁもう!急いでるのに
「さくら!」
突然耳元に大きな声が響き、
それと同時に誰かに腕を強く掴まれた
:09/01/29 15:59 :auCA3C :S4zYO/GE
#24 [蛍火]
驚いて後ろに振り返るとスーツ姿で背の高い男が私の腕を掴んでいた
どうやら人違いをしているようだ
「どちら様ですか?離して下さい」
私はそう言いながら掴んでいる手を振り払おうとするが
男は私を見たまま固まったように動かない
なんなのこの人…
「あの!急いでるんで離して下さい!」
私はきつく睨んでさっきよりも大きな声で言った
:09/01/29 17:28 :auCA3C :S4zYO/GE
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