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#55 [蛍火]
 
「…お金」

男は少し驚いた表情をし私を見たが
すぐに笑顔になった

その行動と反する爽やかな笑顔を魅せられ私は少し戸惑った


「へぇ。金取るんだー」

何を考えているのか分からない低い声

年齢は…20代前半?
私と同じくらいにも見える
まぁそんなことはどうでもいい

⏰:09/01/31 16:11 📱:auCA3C 🆔:eO5Jmbds


#56 [蛍火]
 
男の笑顔に負けじと私も笑顔を作った

「当たり前じゃないですか。仕事以外で男に触れられたくないんです。キスした分お金払って下さい」

にっこりと微笑んで言うと
男は無表情に戻りポケットから財布を取り出した

「あんた.売りやってんの?」
「答える必要あります?」
「ウーロン臭いって言われない?」

こいつ…(怒)

 

⏰:09/01/31 16:39 📱:auCA3C 🆔:eO5Jmbds


#57 [蛍火]
 
「普段ウーロン茶まみれになってませんから」

「コスプレとかするの?」
「しませんけど」
「俺はナース服が好きだな」
「聞いてませんけど」
「ほらよ」
「え?」

男は私の手に数枚の福沢諭吉を握らせた

「現金あんまり持ち歩かないから、そんくらいで勘弁して」

数えてみると8枚の諭吉が私を見ている

⏰:09/01/31 17:04 📱:auCA3C 🆔:eO5Jmbds


#58 [蛍火]
 
「ちょっ!こんなに貰えないです!」

キスだけで八万なんて
いくら私でも気が引ける

慌てて返そうとしたがサッと避けられてしまった

「ぷっ、じゃあね。葵ちゃん」
男は笑いながらそう言うと
私の頭を軽く撫でて行ってしまった

⏰:09/01/31 17:53 📱:auCA3C 🆔:eO5Jmbds


#59 [蛍火]
 
呆然と立ち尽くす私


なんだったんだ一体

人違いされて
今度はキスされて
金払えって言ったら
八万も渡してきて


結局何がしたかったのか
私には分からない

出逢ったのは謎の男だった



「………遥。」
 

⏰:09/01/31 18:14 📱:auCA3C 🆔:eO5Jmbds


#60 [蛍火]
 

家に帰ると望実はスヤスヤ寝息を立てて寝ていた

「ただいま望実」

犬のぬいぐるみを抱き締め眠る、私の大切な天使

⏰:09/02/01 00:10 📱:auCA3C 🆔:w9OvB3XM


#61 [蛍火]
 
この子がいるから頑張れる
この子の顔を見るだけで嫌な事も全て忘れられる


この子は私の全て





そう、この子の父親が見ず知らずの他人でも


私は望実を愛す
 

⏰:09/02/01 00:12 📱:auCA3C 🆔:w9OvB3XM


#62 [蛍火]
 

それにしても、あの男…

現金は持ち歩かないとか言って八万も財布に入れてるじゃないか

金持ちなんだろうな
ホストっぽかったし

まぁいいや
もう忘れよ
二度と会うことはないだろう

私は望実の寝顔を見ながら眠りについた

⏰:09/02/01 01:43 📱:auCA3C 🆔:w9OvB3XM


#63 [蛍火]
 
それから数日が経ち私は今日も仕事をしていた

「お疲れ。じゃ次は瀬川さんて人だから」

一本終わり休憩する暇もなく次の指名を受ける

「もう別室で待ってるから」
「はい。」

私は短く返事をして部屋へ向かった


────コンコン


「葵です。失礼します」

⏰:09/02/01 11:04 📱:auCA3C 🆔:w9OvB3XM


#64 [蛍火]
 
ガチャ


え……

私は客を見た瞬間固まった



「久しぶり.葵ちゃん」


 

⏰:09/02/01 11:21 📱:auCA3C 🆔:w9OvB3XM


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