漆黒の夜に君と。[BL]
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#528 [ちか]
「冥?」

名前を呼ばれて、俺は我に返った。

「ほわ?!?!なに?!」

あー…また変な声出してしまった…


「クスッ、行こっか。」

笑われた事が少し恥ずかしくて、俺は小さく頷いた。

⏰:09/03/10 15:24 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#529 [ちか]
久しぶりにまたあの長いリムジンに乗った俺は、なぜか緊張して畏(カシコ)まってしまった。


「クスッ、なんで固くなってるの?」

「だって、なんか…」

いろいろ思い出すし…

恭弥は俯く俺を見て、ふふっと笑うと優しく頭を撫でた。

⏰:09/03/10 15:49 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#530 [ちか]
「子供扱い…するな…//」

「冥は素直じゃないね。」

この余裕な表情がムカつくんだよ‥っ///

俺は照れ隠しに、撫でられる手をはらいながら話題を変える事にした。

「て、て言うか、なんで優里連れて来なかったの?別にあんな厳しくする事ないのに。」

⏰:09/03/10 16:08 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#531 [ちか]
そう言って恭弥の顔にチラリと目をやると、そこには哀しげな表情(カオ)があった。

「ごめん、俺…っ、そんな顔させるつもり無かったんだけど‥‥、」

俺は慌てて言葉を付け足した。

「や、冥は何も悪くないよ。謝らないで?」

そう言ってまた作られる哀しげな笑顔。

⏰:09/03/10 16:28 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#532 [ちか]
何も言えなくなる。
そんな顔されたら‥‥

俺まで哀しくなる…


恭弥は俺の表情が曇っていくの見て、こう問いかけた。


「冥は…優里がなんでカナダに住んでたと思う?」

⏰:09/03/10 16:33 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#533 [ちか]
>>532訂正

曇っていくの見て×
曇っていくのを見て○

すいません><

⏰:09/03/10 16:34 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#534 [ちか]
突然の問いかけに俺は少し考え込んだ。

「英才教育の一貫…とか?」
暫くして、俺は浮かんできた答えの中で一番もっともらしい答えを口にする。

しかしそれはハズレだったようで、恭弥は首を横に振った。

そして言ったんだ。


「優里はね、病気なんだ」

⏰:09/03/10 17:33 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#535 [ちか]
「え…?」

“病気”と言う単語がリアルに感じるのは、きっと恭弥の表情(カオ)が暗いから。

「病気って言っても、癌みたいなものじゃないんだ。
優里には生まれつき心臓に小さな腫瘍があってね。
普段は普通の人と何も変わりないんだけど、その腫瘍のせいでいつ発作が起こるか分からないんだ。
言うならば、心臓に爆弾を抱えてるようなもので…」

恭弥の顔から作り笑いすら消えていく。

⏰:09/03/10 17:41 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#536 [ちか]
「カナダに心臓外科の名医が居るんだ。
その先生に診てもらう為に優里は五歳の時、日本の病院からカナダの病院に移されてそこに住んでる。だから、僕と優里は物心ついた頃から離ればなれだったんだ。
今はまだ手術に耐えられる歳じゃないから、進行を遅らせる事しか出来なくて…」


俺はただ黙々と恭弥の話を聞いた。
だけどどこかに『まさか』『あれで本当に病気?』って思ってしまう自分が居る。

⏰:09/03/10 18:29 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#537 [ちか]
「優里のあの口調と派手な見た目はね、優里なりの強がりなんだ。
『病気で可哀想』、『親兄弟と会えなくて可哀想』、『病院暮らしで可哀想』…。
とにかく他人に可哀想な目で見られたくないみたい。
だから派手にして、『自分は全然辛くなんかない』ってそう他人に見せつけてた。
案の定、同年代の子はみんな優里を怖がって離れていっちゃった…」

⏰:09/03/10 18:38 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


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