漆黒の夜に君と。[BL]
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#628 [ちか]
くっきりとその姿が見える距離まで来た時、その人と目が合った。


腰まで伸びた栗色の髪

真っ白の肌に綺麗な柄の
着物を纏ったその人は、
とても

「きれー‥」

だった。

思わず口にしてしまうほどに。

⏰:09/03/12 23:48 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#629 [ちか]
って!!!

この人、傘さしてない?!


水も滴るいい女
と言う言葉があるが、
その人は長い間雨にうたれていたのか全身ずぶ濡れでそんな言葉を通り越していた。


「だ、大丈夫ですか?!」

俺は走ってその人に傘をかけた。

⏰:09/03/12 23:52 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#630 [ちか]
「あ…すいません‥私‥」

近づくとさらに綺麗だと言う事に気づいた。

「どうかしたんですか?!」

女の人の瞳は少し赤くなっていた。
泣いてたのか…?

「私‥‥人を探してて‥―――」

「人?って、ちょっと、え?!?!」

何かを言いかけて、その人は俺の胸に倒れこんだ

⏰:09/03/12 23:57 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#631 [ちか]
「ちょ、あのっ?!?!」

いきなりの事でパニックになる俺。
応答の無い冷たい身体。


その異様な冷たさに危機感を感じた俺は、とりあえず車に運ぼうと女の人を背中におぶって車へと足を早めた。

校門から少し離れた場所に停められた長い車。

そのすぐ傍には恭弥がよこした執事の人が傘をさして立っていた。

⏰:09/03/13 14:24 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#632 [ちか]
「冥様っ、傘はどうなされたんですか?!」

女の人をおぶるので精一杯だった俺は、傘もささないまま歩いてきたせいで全身びっしょりと濡れていたもんだから、執事の人が驚くのも無理はない。

俺は女の人が見えるように体を斜めに向けた。

「校門で倒れて‥‥」

状況を説明しようと口を開い時、女の人の顔を見え、執事の人の顔色が変わった。

⏰:09/03/13 14:37 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#633 [ちか]
「九谷様……!!?」

「え?」

この人の事知ってるの?

そう聞こうとした時、

「と、とにかく家へ急ぎましょう!!」

と執事の人は慌てたように言って、俺達を車に乗るよう促した。

⏰:09/03/13 14:41 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#634 [ちか]
家に着くと、既に大量の執事とメイドが玄関の前で立っていた。

「早く処置を…!!」

メイドの人達は女の人を抱き抱え、屋敷内へと入っていく。

「冥様もそのままでは風邪をひかれます!!」

そう言って危うく俺も抱き抱えられそうになったが、執事さんの手を振り払い走って自分の部屋に戻った。

⏰:09/03/13 14:47 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#635 [ちか]
「あっぶねえ…」

もうちょっとで恭弥だけじゃなく、執事さんにまでお姫様抱っこされるとこだった…。

この家の人はお姫様抱っこ以外の抱え方を知らないのか?

「っくしゅん!!」

雨に濡れたせいかくしゃみが。

このままじゃほんとに風邪引きかねないと思った俺は風呂に入って服を着替えた。

⏰:09/03/13 15:14 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#636 [ちか]
廊下からバタバタと人が慌ただしく走る音がする

そう言えばあの女の人、
大丈夫だったかな?

気になった俺はドアを開け廊下に出た。

「あの‥さっきの女の人どこに居ますか?」

通りかかったメイドさんに尋ねてみる。

⏰:09/03/13 15:20 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#637 [ちか]
「女の人?あぁ、九谷様の事ですね!お隣の部屋にいらっしゃいますよ。」

あの人、九谷って言うのかな‥?
て言うか案外近くに居たんだな。
そりゃ廊下が騒がしい訳だ。

「入ってもいいですか?」

「どうぞ。あ、でも静かにお願いしますね。」

メイドさんはにっこりとそう言って、廊下を歩いていった。

⏰:09/03/13 15:48 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


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