漆黒の夜に君と。[BL]
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#637 [ちか]
「女の人?あぁ、九谷様の事ですね!お隣の部屋にいらっしゃいますよ。」
あの人、九谷って言うのかな‥?
て言うか案外近くに居たんだな。
そりゃ廊下が騒がしい訳だ。
「入ってもいいですか?」
「どうぞ。あ、でも静かにお願いしますね。」
メイドさんはにっこりとそう言って、廊下を歩いていった。
:09/03/13 15:48 :P906i :wTLUQSGQ
#638 [ちか]
ドアノブをゆっくり回すと小さく音をたててドアが開いた。
目に入ってきたのはベッドに眠る色白の女の人。
改めて見ると、ほんとに綺麗な顔立ちをしているな。
そんな事を思いながら、
眠る彼女の脇で俺はちんまりと座りこんだ。
:09/03/13 16:21 :P906i :wTLUQSGQ
#639 [ちか]
「…きょー‥くん…―」
ふいに女の人がぽつりと呟いた。
「きょーくん?‥教訓?」
寝言だろうか?
なんの夢を見てるんだろう?
俺は首を傾げたあと、彼女の顔を覗き込もうとした。
その時。
:09/03/13 16:25 :P906i :wTLUQSGQ
#640 [ちか]
ぱっちりと大きな瞳が開いた。
「おわっ?!?!」
俺は突然の事に思わず変な声をあげ、退けそった。
上体を起こし、キョロキョロと部屋を見渡す女の人。
「あの〜…」
暫くそんな彼女を眺めたあと、恐る恐る声をかけてみた。
彼女の小さな顔がこちらへと向く。
:09/03/13 16:30 :P906i :wTLUQSGQ
#641 [ちか]
「あなたは!」
大きな瞳をさらに大きくして女の人は言った。
「俺の事、分かります‥?」
そう尋ねると、にっこりと柔らかく微笑んで、
「もちろんです!」
と、声を大きくした。
「あなたが私をここに?」
辺りをキョロキョロと見ながら言うその人に、俺はコクリと顔を縦に振った。
:09/03/13 16:34 :P906i :wTLUQSGQ
#642 [ちか]
「ありがとうございます。
道に迷っていたら雨が降ってきてしまって…止むのを待っていたら、いつの間にかこんな事に…」
恥ずかしげに頬を染める彼女。
そこら辺で雨宿りすればよかったのに。
この人天然?
なんて事を思いながらも、その美貌に目を奪われる。
「あ、そう言えば人を探してるって‥‥」
確かそう言ってたような
:09/03/13 16:38 :P906i :wTLUQSGQ
#643 [ちか]
その人はほんわりと微笑んでいた目をぱっちりと見開いた。
「あっ、そうなんです!!
私、その…人を探してて道に迷ってしまって…」
仕草が女の子らしく、
その困った表情が可愛いく思えた。
「あの、俺で良かったら一緒に探しますよ?」
「いえ、そんなお世話になってばかりでは申し訳ないです…っ」
:09/03/13 21:40 :P906i :wTLUQSGQ
#644 [ちか]
「全然ですよ、もしかしたら俺の知ってる人かも知れないし!
あ、俺、日下冥って言います。」
「私の方こそ申し遅れてすいませんっ!!
私は‥‥―――、」
そう言いかけた時、
ドアをノックする音が鳴った。
きっとこれは、
「冥?居るの?松山に聞いたらここだって‥――」
ほら、やっぱり恭弥だ
ガチャッと言う音とともに、恭弥が部屋に入ってきた。
:09/03/13 21:50 :P906i :wTLUQSGQ
#645 [ちか]
「「‥‥‥‥‥‥‥。」」
ん?
俺を間に挟んで、言葉を無くす2人。
俺は交互に2人の顔をキョロキョロと見る。
恭弥の顔が青ざめていくように見えるのは気のせい?
しかし長く続いた沈黙を破る声は相当大きかった。
:09/03/13 21:59 :P906i :wTLUQSGQ
#646 [ちか]
「恭くんっ!!!!!」
その瞬間、恭弥の顔から血の気が引いていくのが分かった。
正確には、抱き締められた瞬間、血の気が引いていった。
そう。
抱き締められて‥‥――
抱き締められて?!?!
:09/03/13 22:08 :P906i :wTLUQSGQ
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