漆黒の夜に君と。[BL]
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#644 [ちか]
「全然ですよ、もしかしたら俺の知ってる人かも知れないし!
あ、俺、日下冥って言います。」

「私の方こそ申し遅れてすいませんっ!!
私は‥‥―――、」

そう言いかけた時、
ドアをノックする音が鳴った。

きっとこれは、

「冥?居るの?松山に聞いたらここだって‥――」

ほら、やっぱり恭弥だ


ガチャッと言う音とともに、恭弥が部屋に入ってきた。

⏰:09/03/13 21:50 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#645 [ちか]
「「‥‥‥‥‥‥‥。」」

ん?

俺を間に挟んで、言葉を無くす2人。

俺は交互に2人の顔をキョロキョロと見る。


恭弥の顔が青ざめていくように見えるのは気のせい?

しかし長く続いた沈黙を破る声は相当大きかった。

⏰:09/03/13 21:59 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#646 [ちか]
「恭くんっ!!!!!」


その瞬間、恭弥の顔から血の気が引いていくのが分かった。

正確には、抱き締められた瞬間、血の気が引いていった。


そう。
抱き締められて‥‥――

抱き締められて?!?!

⏰:09/03/13 22:08 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#647 [ちか]
いつの間にっ!!!!!

女の人はベッドを出て、
いつの間にか恭弥に抱きついていた。


硬直する恭弥。


硬直する俺。


さらにきつく抱きつく謎の女の人。

⏰:09/03/13 22:24 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#648 [ちか]
謎の修羅場。

ん?修羅場なのか?


もうなんなのか解らない


俺の思考は停止したも同然だ。


だって、こんなの…
優里ぶりで‥‥―――

⏰:09/03/13 22:33 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#649 [ちか]
「く、苦し‥‥っ」

絞り出すような声を出し、ますます青ざめていく恭弥。

「私の愛の証です!」

そう言ってさらにぎゅうぎゅうと締め付ける女の人。

え、愛?
LOVEって意味の?
あ、俺英語強くなった?

って、そう言う話じゃないっ!!

俺は目の前に浮かぶ光景に困惑し、一人ツッコミまでしてしまう始末。

⏰:09/03/13 22:41 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#650 [ちか]
「そんな愛は要らない!!
て言うか、なんでお前がここに?!」

もはや恭弥の顔は青を通り越して、白くなっていた。

「クスッ、相変わらず恭くんは照れ屋さんですね。
でも、婚約者が婚約者に会いに来るのに理由なんて要らないでしょう?」


そして俺の頭も今さっき
真っ白になった。


 

⏰:09/03/13 22:47 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#651 [ちか]
「こ…んやく…しゃ…?」

耳に入ってきた言葉を
おうむ返しのように
口にする。


だけど意味は一向に理解出来なかった。

いや、きっと理解することを頭が、身体が拒否したんだろう。

だってそんなの…

⏰:09/03/14 16:53 📱:P906i 🆔:tb7s0gDM


#652 [ちか]
俺の間抜けな声に女の人は俺の存在を思い出して、恭弥から体を離した。


「あ、お恥ずかしいところをお見せして申し訳ありませんっ!!」

そう言って顔を赤くして、頭をペコリと下げる。


しかし何を言われても
今の俺の頭は回転せず、
ただ恭弥とその人を交互に見るだけだった。

⏰:09/03/14 16:58 📱:P906i 🆔:tb7s0gDM


#653 [ちか]
頭をあげると同時に栗色の長い髪がふわりと宙を描いた。



「私、九谷神楽(クタニ カグラ)と申します。」



九谷 神楽 ‥―――

その聞き覚えのある名前が何度も何度も頭の中でエコーした。

⏰:09/03/14 17:03 📱:P906i 🆔:tb7s0gDM


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