漆黒の夜に君と。[BL]
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#679 [ちか]
「あっ!」

俺は胸の前で思い出したように軽く手を叩くと、ソファーの上に無造作に置かれたカバンへと手を伸ばした。

恭弥に背を向け、ゴソゴソと鞄の中をあさる俺。

それを不思議そうに見つめる恭弥。

暫くして、探していた物を掴むと俺は振り返りそれを見せた。

「これ、教えて?」

恭弥に見せたのは、居残りの時先生から渡された太い紙の束。

⏰:09/03/17 14:51 📱:P906i 🆔:7cJZ1/ng


#680 [ちか]
「随分いっぱい渡されたんだね。」

恭弥は目を丸くして紙の束を見つめた。

「高橋先生鬼だから…。」

見るだけでやる気なくすよな、この量‥‥。

居残りのことを思い出すだけで気が滅入ってくる

そんな俺を見かねて恭弥は口を開いた。


「じゃ、やろっか。」

⏰:09/03/17 15:00 📱:P906i 🆔:7cJZ1/ng


#681 [ちか]
―――‥‥それから何時間経っただろうか。


「‥‥冥。」

「は、ハイ‥?」

「僕の説明聞いてた?」

「聞いてたつもり‥デス」

「‥‥‥‥。」


改めて言うのもなんだけど、俺ほんとに勉強に向いてないみたい…

⏰:09/03/17 18:01 📱:P906i 🆔:7cJZ1/ng


#682 [ちか]
四角い透明なテーブルに
隣同士で座る俺達。
この体勢でどれくらい居た事だろう。

恭弥にも呆れられるぐらい重症なのか、俺‥‥

俺はどうにかこの問題くらい解こうと頭をフル回転させた。
ついでにシャーペンも。

しかし、
「‥‥‥‥やっぱ無理‥」

俺には解けません…。

自分の不甲斐なさに涙が浮かんできた。

「冥さぁ‥‥、」

「へ?」

潤む目を右側に向けると
頬杖をつく恭弥がぼんやりと滲んで見えた。

⏰:09/03/17 18:15 📱:P906i 🆔:7cJZ1/ng


#683 [ちか]
「よくウチの高校に入れたね。」

真面目な顔で言われて
内心傷ついていたのは
言うまでもないだろう

だけど本人の顔を見る限り悪気は無いんだろう…

「受験生の頃は、毎日透に教えてもらってたから…。」

懐かしいなあ。

あの頃も透に呆れられたり、馬鹿にされたりしたっけ…

でもいっつも初めから教えてくれて、おかげでこの学校にも受かったんだよな。

それから半年しか経ってないのに、何故かすごく懐かしく感じた。

⏰:09/03/17 18:21 📱:P906i 🆔:7cJZ1/ng


#684 [ちか]
― 恭弥side.―


「あの頃は毎日透に教えてもらってたから…。」


教え疲れて多少ぼんやりしていた頭がその言葉でふと醒めた。


冥のその口から、
“透”と言う名前を聞くだけで、少しだけ腹立たしかった。

⏰:09/03/17 18:25 📱:P906i 🆔:7cJZ1/ng


#685 [ちか]
懐かしそうな瞳で何かを考えているところを見ると、考えている事なんてだいたい想像がついた。


その考えの中にやっぱり
“透”と言う存在が居ることも。


そう思うと急に胸が苦しくなった。
奥から湧いてくる小さな怒りと独占欲。

僕以外の奴の事なんて考えるな。
僕以外の奴をその瞳で見るな。
その手で触れるな。

そんな子供染みた気持ちが僕の胸を掻き鳴らした

⏰:09/03/17 18:31 📱:P906i 🆔:7cJZ1/ng


#686 [ちか]
>>684訂正

あの頃は×
受験生の頃は○
すいません

⏰:09/03/17 18:33 📱:P906i 🆔:7cJZ1/ng


#687 [ちか]
きっとこれが、
嫉妬ってヤツなんだろうな。

「恭弥?どうかした?」

「ん、いやなんでもないよ。」

まさか自分が誰かにこんな感情を抱く日が来るなんて思ってもなかったから、今の自分が少し微笑ましかった。

目の前には不思議そうな顔で僕を覗きこむ愛しい人。

そして、止めどなく溢れてくる欲望。

⏰:09/03/17 18:46 📱:P906i 🆔:7cJZ1/ng


#688 [ちか]
こんな感情が初めてなだけに、止め方も他へのやり方も僕には解らなかった。



‥‥‥‥今は、思いのまま動いてみようか。




僕なりに。

⏰:09/03/17 18:50 📱:P906i 🆔:7cJZ1/ng


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