漆黒の夜に君と。[BL]
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#711 [ちか]
まさか恭弥とあんなことをするなんて思ってなかったもんだから、ドアに鍵をかけることをすっかり忘れていた。

今更ながら、後悔の気持ちでいっぱいだ…


俯きながらチラリと横目で恭弥を見ると、事の発端とも言える当の本人はすました顔で神楽さんを見ていた。

「た、た、確かに恭くんは凄く素敵な方だと、お、思います…。ですがっ…その‥冥さんは細身ですし可愛いらしいお顔ですが…お、男の子でして……、」

⏰:09/03/18 22:47 📱:P906i 🆔:.uF.NUH2


#712 [ちか]
神楽さんの肩が小刻みに震えてる。

そりゃ、自分の好きな人が押し倒されてて、ましてやその相手が男だったら、震えたくもなるよな…

返す言葉が無かった。

手に汗がじんわりと滲んでいく。

「おッ、男の子同士が…っその‥ああ言った行為をなさるのは‥‥その‥」

いっその事、この場から消えたいとさえ思った。

⏰:09/03/18 22:58 📱:P906i 🆔:.uF.NUH2


#713 [ちか]
そんな中、
この気まずい空気を裂くような通った声が隣で響いた


「神楽。」




たった二文字の言葉だけど、俺も神楽さんもその声に身体をビクリと跳ねさせた。

⏰:09/03/18 23:09 📱:P906i 🆔:.uF.NUH2


#714 [ちか]
「は、はい…?」

神楽さんが細い声で返事をする。


それと同時に鼓動が一気に速さを増していくのが分かった。



これは、どうしようもなく沸き上がる不安。…―

⏰:09/03/19 00:27 📱:P906i 🆔:mlPc9IaA


#715 [ちか]
ねぇ恭弥。








その次はどんな言葉が用意されてる…?

⏰:09/03/19 00:33 📱:P906i 🆔:mlPc9IaA


#716 [ちか]
用意されているのは、

俺を守るフォローの言葉か、
神楽さんとの関係を守る言葉か。

解ってる。

俺はこの1、2ヶ月の間に出逢った仲で、神楽さんは昔からの幼馴染みだと言うことくらい。


…用意された答えは、
どう考えても後者だろう

⏰:09/03/19 00:40 📱:P906i 🆔:mlPc9IaA


#717 [ちか]
「僕は、」


言わないで。

それが例え、神楽さんを落ち着かせる為のその場凌ぎの言葉だとしても、聞きたくないよ…


気持ちを否定されるのが、怖い。
その一瞬でも、例え嘘でも、胸が張り裂けそうになる。

俺は恭弥の声を拒否するように俯き、小さく震えた。

⏰:09/03/19 11:50 📱:P906i 🆔:mlPc9IaA


#718 [ちか]





「冥のことが好きなんだ」




⏰:09/03/19 17:42 📱:P906i 🆔:mlPc9IaA


#719 [ちか]
確かに俺の耳にはそう聞こえた。
幻聴だろうか…?


いや、違う。

だって‥‥――――


肩を引き寄せられ、俺の身体は左に傾く。


俺の肩を抱くその手は、
確かに恭弥のものだった

⏰:09/03/19 17:49 📱:P906i 🆔:mlPc9IaA


#720 [ちか]
「恭‥弥‥‥――?」

今にも泣きそうだった顔で恭弥を見上げると、恭弥は特に顔色を変えることもなく、堂々と神楽さんを見つめていた。


「なっ、恭‥くん‥?あの、そう言う御冗談は…」

「冗談でこんな事言わないよ。僕は本気。」

そう言うと、俺を見て優しく微笑んだ。


「僕の大切な人だよ、冥は。」

⏰:09/03/19 17:59 📱:P906i 🆔:mlPc9IaA


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