漆黒の夜に君と。[BL]
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#779 [ちか]
『神楽お嬢様?!』
『神楽お嬢様ーっ!!』
狭い部屋でしたし、私自身隅っこで小さくなって居たものですから、私を探しに来た人達も全く私も見つける気配はありませんでした。
それからだんだんと騒がしさがおさまってきた頃、ドアが開く音がしました。
:09/03/26 19:08 :P906i :T1.t4GZE
#780 [ちか]
靴音がして、誰かが部屋に入ってきたようでした
私は、怒られるのが怖くてただ小さく震えるだけ‥
やがて私の前でその靴音はピタリと止みました。
『かぐらちゃん?』
ふいに名前を呼ばれ、私は咄嗟に顔をあげました。
『やっぱりかぐらちゃんだ。』
そこに立っていたのが恭くんだったのです。
:09/03/26 19:15 :P906i :T1.t4GZE
#781 [ちか]
涙で歪んだ景色にぼんやりと恭くんの顔が浮かびました。
『なんで泣いてるの?』
恭くんはそう言って私の瞳に溜まった涙を拭ってくれました。
私は皆さんの前ピアノを弾くのに緊張して逃げ出してきたことを打ち明けました。
涙で言葉に詰まる私の話を、恭くんはただ静かに聞いてくれました。
:09/03/26 22:25 :P906i :T1.t4GZE
#782 [ちか]
『でも、かぐらちゃんが居なくなってみんな心配してたよ?』
恭くんの言う“心配”の2文字が私の幼心を罪悪感でいっぱいにしましたが、それでも私は皆さんの前に立つのが怖くて【いや、いや】と言わんばかりに首を横に振りました。
ですが、その時です。
『ん〜、じゃあぼくも一緒に弾いてあげる。』
『え‥?』
思ってもみなかった発言に私は潤んだ瞳を恭くんに向けました。
:09/03/26 22:50 :P906i :T1.t4GZE
#783 [ちか]
『2人なら大丈夫でしょ?』
私は小さくコクンと頷きました。
『じゃあ行こ。』
そう言って笑顔で手を差し伸べられた時、私は恋に落ちたのです。
あの時の笑顔はもう可愛いらしくて可愛いらしくて‥
:09/03/26 22:57 :P906i :T1.t4GZE
#784 [ちか]
「そうだったんですかぁ‥」
ほんのりと頬を紅くする神楽さん。
なんか自分の世界って感じ。
そんな神楽さんに適当な相槌を打つ俺。
内心は俺の知らない恭弥を知ってる神楽さんが羨ましくて、少し妬いていた。
でも、やっぱり話それてない?
:09/03/26 23:01 :P906i :T1.t4GZE
#785 [ちか]
「あ、すいません思い出していたらつい長々と…。話の続きを‥えーっと、あ!そうです、そうです!その頃から私はずっと恭くんだけを見てきました。
外見はもちろん、内面もお優しい恭くんは、それはもう俗に言う"モテモテ"でした。」
俺は相槌を打ち続けるものの、神楽さんに対する恭弥の態度を思い出しながら納得のいかないような顔をしていた。
だって内面もお優しいってさぁ…ねぇ?
:09/03/26 23:09 :P906i :T1.t4GZE
#786 [ちか]
そんな俺をよそに、マシンガン的なテンポで話を続ける神楽さん。
が、モテモテでしたと言ったあと一息ついてテンポは緩やかになった。
「ですが、恭くんはどんな美人が言い寄って来ようとも、見向きもしませんでした。…今まで一度も。
ですから、私もこの思いが受け入れて貰えなくても別に良かったのです。
恭くんに“特定の方”が現れなければ…それで良かったのです…。」
だんだんと悲しそうな顔をする神楽さんに俺は多少の罪悪感を覚えた。
:09/03/26 23:56 :P906i :T1.t4GZE
#787 [ちか]
「ですが、昨日‥‥。
あんなに他人(ヒト)を愛しそうに見つめる恭くんは初めて見ました…。」
(それが俺なのか…)
俺はしゅんとする神楽さんをよそに内心すごく嬉しかった。
本当に恭弥は俺を好きで居てくれてるんだと確認出来て、嬉しかった。
ニヤけてしまいそうな顔がバレないように顔に力を入れていたその時。
神楽さんの俯いていた顔が勢いよくこちらへと向いた。
:09/03/27 00:01 :P906i :Kttm89gw
#788 [ちか]
「冥さんっ!!!!!」
「へ、はぃッ?!?!」
俺を見つめる瞳に、もはやおっとりとした雰囲気の神楽さんは居なかった
その真剣な眼差しに俺は思わず怯(ヒル)んだ。
声まで上擦ってしまう始末。情けないよなぁ…。
なんてことを考えているうちに、神楽さんはずいずいと俺に近づいていた。
そしてこう言ったのだ。
:09/03/27 00:07 :P906i :Kttm89gw
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