漆黒の夜に君と。[BL]
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#351 [ちか]
時間が経つにつれて緊張は増していき、俺は俯いたままひたすら透の帰りを待っていた。
(透〜早く帰って来いよ〜…)
周りはガヤガヤしてるのに俺達2人の間には静かな沈黙。
異様な雰囲気だ。
「なぁ。」
そんな沈黙を破ったのは優里だった。
:09/02/21 22:57 :P906i :6WmKMalw
#352 [ちか]
「今さらだけど、あんたが日下冥だよな?」
向かいで頬杖つきながら言うその顔はやっぱりHRの時のように冷たかった。
「う、うん…。」
「へえ‥」
俺は上から下へ、下から上へとジロジロ見られて変な汗をかいていた。
(なんなんだよコイツ…)
:09/02/22 00:05 :P906i :qGF02hmg
#353 [ちか]
「……………こんな奴のどこがいいんだか。」
「え?」
今なんて…?
「お待ちどーさま。」
「あ、おかえり!」
テーブルにトレーがゴトンと言う音を鳴らして置かれ、見上げると透が居た。
「ありがと!持ってきてもらって悪いな。」
その声を辿って目線を元に戻すと、冷ややかな表情はまたもや爽やかな笑顔に変わっていた。
:09/02/22 00:14 :P906i :qGF02hmg
#354 [ちか]
さっきのは聞き違い…?
考えれば考えるほど
分からなくなっていった
「冥?」
「ほへ?!」
「クスッ何が“ほへ”だよ、ばーか。早く食え。」
「っな、馬鹿って言った方が…「はいはい、いいから食えっつーの。」
パクっ
言葉を遮られて、唐揚げを口に放り込まれた。
:09/02/22 00:21 :P906i :qGF02hmg
#355 [ちか]
「っ〜〜%☆※¥$ッッ!!」
「食ってから喋れ。」
むーかーつーくーっ!!!!
馬鹿にすんな馬鹿っ!!!
この透の余裕そうな顔!!
まじむかつくっ!!
俺は透の脇腹を思いっきり殴った。
:09/02/22 00:29 :P906i :qGF02hmg
#356 [ちか]
「い゙ってーっ!!暴力反対ー。」
「ふんっ」
脇腹を擦りながら睨んでくる透に俺はプイッと顔を背けた。
「仲いいんだなー。」
ぼそりと呟いた優里の顔がやけに寂しそうだった
:09/02/23 00:06 :P906i :P7nfAI8c
#357 [ちか]
「俺も早くみんなと仲良くなりてーな!」
寂しい表情はまたも一瞬で爽やかな笑顔に戻る。
俺はそんな優里が解せなくて黙ってしまった。
「もうだいぶ馴染んでるじゃん。」
「や、そんな事ねーよ。
まだこっち(日本)にも馴染めてねーし(笑)」
「そう言えばカナダだっけ、前住んでたとこはどんなだった?」
:09/02/23 00:18 :P906i :P7nfAI8c
#358 [ちか]
「良いところだったよ。
空気も綺麗だし、いい奴ばっかだし!」
「へえ、一回行ってみてーなー!」
弾む2人の会話もあまり耳に入らず俺はぼけーっと優里を見ていた。
「な?冥!」
「‥‥え、あ、ごめん聞いてなかった!(笑)」
:09/02/23 00:27 :P906i :P7nfAI8c
#359 [ちか]
「だからー…、まぁいいわ。お前は飯食っとけ!」
「なんだよそれーっ!
気になんじゃん!」
「また唐揚げ食わされてーの?」
不敵笑みで唐揚げを箸でつまむ透。
「え、遠慮しときまーす…」
ちぇっ、俺だけのけもんかよー。
:09/02/23 17:17 :P906i :P7nfAI8c
#360 [ちか]
そんなくだらない会話と笑い声で昼休みも終わり午後の授業。
………つっても寝てたから全然記憶ないんだよな。
だって毎日毎日、恭弥に規則正しい時間に清く正しくない方法で起こされて、ゆっくり寝れる時間授業中ぐらいしかねえんだもん。
:09/02/23 17:28 :P906i :P7nfAI8c
#361 [ちか]
「──…い──‥おい。」
「ん‥‥、おはよ透ー‥」
そう言って俺は寝ぼけながら重たい目を擦る。
「誰が透だよ。
早く起きやがれ。」
:09/02/23 17:53 :P906i :P7nfAI8c
#362 [ちか]
そのドスのきいた声に、
一気に目が覚めた。
咄嗟に見上げると、そこには俺を睨み付ける優里。
「いつまでもグースカ寝てんじゃねえよ。」
眉間にシワを寄せながら言うソレには爽やかさの欠片もない。
:09/02/23 18:16 :P906i :P7nfAI8c
#363 [ちか]
>>359訂正
不敵笑みで
└→×
不敵な笑みで
└→○
すいません(´;ω;`)
:09/02/23 20:55 :P906i :P7nfAI8c
#364 [ちか]
「SHRなんかとっくに終わったつーの。」
どおりで‥‥
見渡す限り、室内には俺とこいつ2人だけだ。
「っな、なんだよ、お前!!
なんか用?!」
「おう。てめえには言いたい事が山ほどあ…、」
『山ほどある』
優里がそう言おうとした時、教室の後ろドアが音をたてて開いた。
:09/02/23 21:08 :P906i :P7nfAI8c
#365 [ちか]
「冥?遅いから迎えに…」
そこに立っていたのは恭弥だった。
「兄貴‥‥──っ!!!!」
「優里?なんで‥‥──」
ぎゅっ…───
:09/02/23 21:17 :P906i :P7nfAI8c
#366 [ちか]
「会いたかった‥‥ずっと‥‥───」
俺は目の前の光景に唖然とした。
だってそこには恭弥に抱きつく優里の姿があって。
:09/02/23 21:20 :P906i :P7nfAI8c
#367 [ちか]
「久しぶりだね。元気だった?」
おい、待て待て。
なに頭とか撫でちゃってんの?ねえ。
むかつく…。
:09/02/23 22:11 :P906i :P7nfAI8c
#368 [ちか]
胸の奥から湧いてくるそのなんとも言えない腹立たしさに、俺は暫くの間何も言えずただその光景を睨む事しか出来なかった。
「‥‥て言うか、優里いつから帰ってきてたの?」
「‥‥‥‥‥、一昨日。」
「一昨日?!お前、もしかして抜け出して来た?」
「‥‥‥‥‥。」
「お前なあ‥‥ダメだろ?」
「だって‥‥‥っ」
:09/02/23 23:32 :P906i :P7nfAI8c
#369 [ちか]
2人の会話の意味が全く
分からない。
抜け出すだの、なんだのって‥‥
なんか余計疎外感感じるんだけど。
:09/02/23 23:35 :P906i :P7nfAI8c
#370 [ちか]
「とりあえず帰ろ。話はそれから。」
「い、いやっ!!!!」
顔を大きく横に振る優里を見て、恭弥は一度ため息をついて言った。
「黙っててあげるから。」
その瞬間、優里の顔はパッと明るくなった。
:09/02/24 17:42 :P906i :/lrPTybQ
#371 [ちか]
「冥、行こ?」
差し伸べられた片手がやけに嬉しかった。
「うん‥」
その手を掴もうとした瞬間かなり鋭い視線を感じ、結局握る事もないまま俺達は教室を後にした。
:09/02/24 17:46 :P906i :/lrPTybQ
#372 [ちか]
「「おかえりなさいませ」」
やっぱりこう大人数から一度に言われると緊張するなあ…
なんて事を考えながら恭弥の斜め後ろをちまちまとついていく。
俺の部屋の前に着いたところで、
「じゃ、また夕食の時にね。」
と、それだけ言って優里とどこかへ言ってしまった。
:09/02/24 18:02 :P906i :/lrPTybQ
#373 [ちか]
俺はベッドに倒れるように身をなげて、枕に顔を埋めた。
「あー‥‥なんだよ、もう…っ」
独り言は虚しく室内に響くだけ。
:09/02/24 18:06 :P906i :/lrPTybQ
#374 [ちか]
どうしようもない苛立ちが俺を苦しめる。
なんか独り占めされてるみたいで、むかつく…
馬鹿みたいだよな。
「はぁ…」
:09/02/24 18:48 :P906i :/lrPTybQ
#375 [ちか]
それからどれくらい経っただろうか。
「冥様、食事の用意が出来ました。」
コンコンと言うノック音と共にドア越しでメイドにそう言われて、俺はムクリとベッドから起き上がった。
1人とぼとぼといつもの部屋へと歩いていく。
中に入ると既に恭弥と優里の姿があった。
:09/02/24 20:28 :P906i :/lrPTybQ
#376 [ちか]
おかしいな…
ただ2人が先に居ただけなのに、それだけで食欲が無くなる。
「…冥?どうしたの?」
心配そうに俺を見つめてくれてるのに、それさえも今は俺の胸をギュッと締め付けた。
:09/02/24 20:36 :P906i :/lrPTybQ
#377 [ちか]
「俺‥‥‥もういらない」
「え、冥?」
「ごちそーさま…っ」
俺はそれだけ言って、俯いたまま早足でそこから立ち去った。
「うっ‥‥──グスン‥‥」
部屋に入ると同時に俺は崩れるように座り込んだ。
:09/02/24 21:39 :P906i :/lrPTybQ
#378 [urahanai]
:09/02/24 21:58 :SH904i :SEuN3xmc
#379 [ちか]
頬を伝う幾つもの水滴。
「なんで涙なんか…──」
拭っても拭ってもソレは止まらない。
涙の音だけが広い部屋に寂しく響いた。
:09/02/24 22:00 :P906i :/lrPTybQ
#380 [ちか]
>>378└→urahanaiさま*
アンカーありがとうございます><★
:09/02/24 23:12 :P906i :/lrPTybQ
#381 [ちか]
コンコン..
「───‥‥‥冥?」
その声に俺の身体はビクンと跳ねた。
「なっなに‥‥?」
俺は涙が止まらない目をごしごしと擦りながら平然を装う。
「入るよ?」
!!!!!
「そ、それはだめ‥‥──っ」
そう言って鍵を閉めようとしたが遅かった。
:09/02/24 23:17 :P906i :/lrPTybQ
#382 [ちか]
あと一歩のところでドアは開き、目に超至近距離で恭弥の姿が飛び込んできた。
「冥、泣いてたの…?!」
恭弥は驚いたような表情(カオ)で俺の頬に触れた。
「ち、ちがっ!!アクビしてただけっ!!!」
我ながら、なんて苦しい言い訳なんだろう。
:09/02/24 23:35 :P906i :/lrPTybQ
#383 [ちか]
「なんで僕に嘘つくの?」
嘘をつかれたのが余程気にくわなかったのか、恭弥は眉間にシワをよせ、俺の顎をクイッと上にあげた。
その顔の距離に俺は思わず赤面する。
「僕なにかした?」
俺はその問いに何度も大きく横に顔を振った。
:09/02/25 18:21 :P906i :4QKnMiuk
#384 [ちか]
「じゃあなんで泣いてるの?なにかされた…?」
俺は何も言わず俯いて顔を横に振るだけ。
『じゃあなんで
泣いてるの?』
答えられる筈なかった。
だって‥‥―――、
:09/02/25 18:27 :P906i :4QKnMiuk
#385 [ちか]
だって、
この涙は俺のわがままで
こんな子供みたいな事言ったら嫌われるかも知れない。‥‥―――
そう思うと口に出す事なんて出来なかった。
:09/02/25 18:28 :P906i :4QKnMiuk
#386 [ちか]
「なにか言ってくれないと分からないんだけど。」
「‥‥‥‥‥。」
俺は必死に涙の言い訳を考えていた。
暫く2人の間に続く沈黙が重たい。
考えても考えても良い言い訳は浮かばなかった。
「冥僕のこと嫌いなの?」
:09/02/25 18:37 :P906i :4QKnMiuk
#387 [ちか]
「ち、違う‥‥―っ!!!!」
俺は咄嗟に俯いていた顔をあげて叫んだ。
恭弥の服の裾は俺の手に握られてクシャクシャになっていた。
恭弥はそんな俺を見てニッと悪戯っぽく笑った。
「やっと喋った。」
:09/02/25 18:41 :P906i :4QKnMiuk
#388 [ちか]
「…っ!!!!ず、ずるい!!」
「何が?」
さらに恭弥の顔は悪戯な笑みを浮かべる。
「き、嫌いとか聞いてくるな…っ!!!///」
「なんで?」
『なんで』って‥‥‥
そんなの言えるワケないじゃん!!!!
:09/02/25 18:45 :P906i :4QKnMiuk
#389 [ちか]
見下ろされてるのがまた悔しさを倍にする。
俺は余裕の笑みを浮かべる恭弥をキッと睨んだ。
「あはは、怒らないでよ。ね?」
恭弥はそう言って俺の目線に合わせるように少し腰を低くしてにっこり笑った。
:09/02/25 18:53 :P906i :4QKnMiuk
#390 [ちか]
俺はこの笑顔に弱いんだ
この顔を前にすると、つい素直になってしまう。
この顔を俺だけのものにしたいとさえ思ってしまう。
「‥‥‥‥ないで‥――」
「え?」
:09/02/25 18:59 :P906i :4QKnMiuk
#391 [ちか]
「………しないでっ//」
「え、なにをしないの?」
きょとんとした顔の恭弥を見て俺は痺れをきらした
「だからっ‥‥‥!!!!///
抱きしめたり、頭撫でたり…そう言うの俺以外にしないでっ!!!!////」
:09/02/25 20:42 :P906i :4QKnMiuk
#392 [ちか]
言葉にした瞬間、顔から火が出そうだった。
勢いで言っちゃったけど、あんなガキみたいな事…
今恭弥はどんな顔をしてるんだろう…?
こんな俺のわがままに呆れちゃったかな‥‥?
俺は返ってくる恭弥の反応が怖くて俯いた。
:09/02/25 20:50 :P906i :4QKnMiuk
#393 [ちか]
そんな俺をふわりと包む優しい匂い。
気づけば俺は恭弥の腕の中にすっぽりとおさまっていた。
「きょ…おや…?」
その腕の力はだんだん強くなっていく。
:09/02/25 21:46 :P906i :4QKnMiuk
#394 [ちか]
あまりのその強さに少し苦しくなった。
「ちょっ…恭弥、苦し‥‥いッ?!!///」
突然唇を重ねられ、俺は目を見開いた。
その濃厚なキスに俺は全神経を支配されていく。
:09/02/26 19:21 :P906i :rMREzRHg
#395 [ちか]
舌が俺を犯していく。
その甘さに俺はいつの間にか求めるように恭弥に抱きついていた。
「んっ‥‥‥ハァ…ッ///」
離された唇に熱が残る。
「こんな事するのは冥だけだよ?」
見上げれば、そう言って笑う恭弥が居た。
:09/02/26 21:18 :P906i :rMREzRHg
#396 [ちか]
その笑顔に今にも悩殺されそうだ。
身体が一気に熱を帯びていく。
「ほんと可愛い。」
そう言ってまた俺をギュッと抱きしめる。
その暖かさに俺の言い表せない不安感は溶かされていくようだった。
:09/02/26 21:28 :P906i :rMREzRHg
#397 [ちか]
恭弥の腕の中はなぜかすごく安心した。
今この時は恭弥が俺だけのもののように感じて。
俺はまるで子供のように恭弥に抱きついた。
「あれ、珍しいね。冥が甘えてくるなんて。」
「‥‥‥‥うるさい///」
俺は照れ隠しに減らず口をたたく。
:09/02/26 21:37 :P906i :rMREzRHg
#398 [ちか]
そんな俺に恭弥はまるで子供をあやすように頭を撫でた。
「‥‥‥‥‥‥子供扱いするなっ///」
「クスッ嬉しいくせに?」
完全に見透かされてる…
:09/02/26 22:37 :P906i :rMREzRHg
#399 [ちか]
「て言うか冥、優里のせいで機嫌悪かったの?」
頭上で囁かれる声に俺は間を空けてコクンと頷いた。
「クスッ、でも弟だよ?」
そんなの分かってる。
分かってるけど‥‥
「なんか嫌だったんだもん…。」
俺ってこんなに独占欲強かったっけ…。
恭弥が俺だけのものじゃないのが嫌だったんだ。
ただそれだけだった。
:09/02/27 17:15 :P906i :MvsE.BMU
#400 [ちか]
「ねえ、そう言うのなんて言うか知ってる?」
急に声のトーンが変わって、俺は恭弥の胸に埋めていた顔をあげた。
その時‥‥―――
「“ヤキモチ”って言うんだよ…?」
「――…ひゃあっ!!///」
突然甘い声と共に耳を甘噛みされて俺は熱っぽい声をあげた。
:09/02/27 17:26 :P906i :MvsE.BMU
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