漆黒の夜に君と。[BL]
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#381 [ちか]
コンコン..

「───‥‥‥冥?」


その声に俺の身体はビクンと跳ねた。


「なっなに‥‥?」


俺は涙が止まらない目をごしごしと擦りながら平然を装う。


「入るよ?」

!!!!!

「そ、それはだめ‥‥──っ」


そう言って鍵を閉めようとしたが遅かった。

⏰:09/02/24 23:17 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#382 [ちか]
あと一歩のところでドアは開き、目に超至近距離で恭弥の姿が飛び込んできた。


「冥、泣いてたの…?!」

恭弥は驚いたような表情(カオ)で俺の頬に触れた。

「ち、ちがっ!!アクビしてただけっ!!!」



我ながら、なんて苦しい言い訳なんだろう。

⏰:09/02/24 23:35 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#383 [ちか]
「なんで僕に嘘つくの?」


嘘をつかれたのが余程気にくわなかったのか、恭弥は眉間にシワをよせ、俺の顎をクイッと上にあげた。

その顔の距離に俺は思わず赤面する。


「僕なにかした?」


俺はその問いに何度も大きく横に顔を振った。

⏰:09/02/25 18:21 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#384 [ちか]
「じゃあなんで泣いてるの?なにかされた…?」

俺は何も言わず俯いて顔を横に振るだけ。


『じゃあなんで
   泣いてるの?』



答えられる筈なかった。

だって‥‥―――、

⏰:09/02/25 18:27 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#385 [ちか]
だって、


この涙は俺のわがままで


こんな子供みたいな事言ったら嫌われるかも知れない。‥‥―――


そう思うと口に出す事なんて出来なかった。

⏰:09/02/25 18:28 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#386 [ちか]
「なにか言ってくれないと分からないんだけど。」

「‥‥‥‥‥。」

俺は必死に涙の言い訳を考えていた。

暫く2人の間に続く沈黙が重たい。
考えても考えても良い言い訳は浮かばなかった。



「冥僕のこと嫌いなの?」

⏰:09/02/25 18:37 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#387 [ちか]
「ち、違う‥‥―っ!!!!」


俺は咄嗟に俯いていた顔をあげて叫んだ。
恭弥の服の裾は俺の手に握られてクシャクシャになっていた。


恭弥はそんな俺を見てニッと悪戯っぽく笑った。


「やっと喋った。」

⏰:09/02/25 18:41 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#388 [ちか]
「…っ!!!!ず、ずるい!!」

「何が?」

さらに恭弥の顔は悪戯な笑みを浮かべる。

「き、嫌いとか聞いてくるな…っ!!!///」

「なんで?」



『なんで』って‥‥‥

そんなの言えるワケないじゃん!!!!

⏰:09/02/25 18:45 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#389 [ちか]
見下ろされてるのがまた悔しさを倍にする。

俺は余裕の笑みを浮かべる恭弥をキッと睨んだ。


「あはは、怒らないでよ。ね?」


恭弥はそう言って俺の目線に合わせるように少し腰を低くしてにっこり笑った。

⏰:09/02/25 18:53 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#390 [ちか]
俺はこの笑顔に弱いんだ



この顔を前にすると、つい素直になってしまう。


この顔を俺だけのものにしたいとさえ思ってしまう。

「‥‥‥‥ないで‥――」

「え?」

⏰:09/02/25 18:59 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


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