漆黒の夜に君と。[BL]
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#518 [ちか]
「や、違うけど…」
「じゃあ説明してみろよ」
「‥‥‥‥‥。」
どう説明したらいい?
淡白で、それでいて複雑なこの関係を。
「言えねーじゃねえかよ」
悔しい。
:09/03/09 23:14 :P906i :QJ4p4rAQ
#519 [ちか]
「とにかく俺は兄貴を守る。お前なんかさっさとこの家から追い出してやるから覚悟しとけよ。」
ビシッと人差し指を俺に向けながら睨む瞳。
思わず怯んでしまい、何も言えなかった。
と、その時。
コンコン.
「冥?優里もそこに居るの?」
ノック音と恭弥の声。
:09/03/09 23:18 :P906i :QJ4p4rAQ
#520 [ちか]
ドアが薄く開くと、そこからひょっこりと出された恭弥の顔。
「あ、居た居た。」
優しい笑顔に、俺は表しようのない安心感を得た
「おかえり!」
後ろから放たれる明るい声色。
:09/03/09 23:24 :P906i :QJ4p4rAQ
#521 [ちか]
「ただいま。」
返される優しい笑顔。
この笑顔はみんなに平等?
分かってる。俺のモノじゃないんだよな…。
「兄貴、そっちの部屋行っていい?」
ニコニコと笑う優里。
:09/03/09 23:30 :P906i :QJ4p4rAQ
#522 [ちか]
「あ…ごめん、今から出掛けなきゃいけなくて…」
「えー…なんで?」
口を尖らす優里。
え、じゃあ俺またコイツと2人っきり?!
耐えられないって…
「ちょっとこの前の商談の続きがあってね。」
ん?商談?
て事は‥‥――!!
:09/03/09 23:42 :P906i :QJ4p4rAQ
#523 [ちか]
「お、俺も行く!!!」
「「え?」」
2人の視線が一気に集中する。
「挨拶も無いままバイト辞めちゃったし…荷物とかあるし‥‥‥だめ?」
俺は恐る恐る恭弥を見る
恭弥は暫く考えるような顔をしたあと、
「いいよ。」と、返事をくれた。
:09/03/09 23:47 :P906i :QJ4p4rAQ
#524 [ちか]
「やったあ!!」
いい機械だ。
ちゃんと店長に挨拶して、お礼を言おう。
ついでにこのギャップの激しい奴とも離れられて好都合だ。
「俺も一緒に行く…っ!!」
喜ぶ俺とそれを見て微笑む恭弥の間を割って入るような声。
:09/03/10 00:50 :P906i :iBV6D6kI
#525 [ちか]
「優里、お前はダメだ。」
なんの躊躇もなく恭弥は優里を見据えてそう言った。
「なんでコイツは良くて俺はダメなんだよっ!!!!」
「それはお前が一番良く分かってるだろ?」
「でも…っ「優里。」
いつもは優しく慰めるように言う筈なのに、この時は違った。
優里の言葉を遮って、最後までOKを出さなかった
:09/03/10 00:55 :P906i :iBV6D6kI
#526 [ちか]
「兄貴の馬鹿…―っ!!!!」
吐き捨てるようにそう言って優里は部屋を飛び出していった。
部屋に流れ出す沈黙。
恭弥もそれをかき消すように、
「じゃあ、下で待ってるから。」
と微笑んでドアを閉めてしまった。
だけど、なんでそんな悲しそうに笑うんだろう…
:09/03/10 14:45 :P906i :iBV6D6kI
#527 [ちか]
下に降りていくと、黒いスーツを身に纏った恭弥が居た。
スラリとした身体つきによくに合っていて、つい見とれてしまった。
あの漆黒の夜を思い出して。
:09/03/10 15:12 :P906i :iBV6D6kI
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