漆黒の夜に君と。[BL]
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#571 [ちか]
「え?」

思ってる…?何を‥――

「こ…んな病気持って、病院暮らしで…ダチも居ない俺を『哀れだ』『惨めだ』って…思ってんだろ…?!」

苦しそうに声を絞り出す優里。

「っな、俺はそんな事「兄貴だってそうだ……っ」

⏰:09/03/11 16:59 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#572 [ちか]
「俺みたいな……弟……、『邪魔だ』って‥‥!!!
だから今日だってついてくるなって……―――」


その言葉が頭に届いた瞬間俺は俺を見失った。




「バッッカじゃねーの?!」

⏰:09/03/11 17:06 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#573 [ちか]
「恭弥は…っ、お前の兄貴はそんな事思ってない!!!
アイツは、お前を『大切な弟』だって‥‥!!!
大切だから、大事だからこんな危ないトコには連れてけないって言ってた‥‥!!
それを分かってやれないお前は大馬鹿だよ!!!!」

俺は息をするのも忘れたかのように言葉を吐き捨て、怒鳴った。

いきなりの怒声に優里は目を丸くしている。

⏰:09/03/11 17:31 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#574 [ちか]
「あ?アイツら起きたのか?」

ふと我に返った時はもう遅かった。

俺の声のせいで俺達が目を醒ました事に気づいた二人は扉を開けた。

「なぁ、あの黒髪のヤツなかなか来ねえし、俺、ウォーミングアップしてえんだけど。」

大柄なヤツがニヤリと口角を上げた。

⏰:09/03/11 17:43 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#575 [ちか]
「勝手にしろ。あ、でも1人だけにしとけよ?
2人共やっちまったら、いざって言う時役に立たねーからな。」

そう言ってもう片方の男は煙草に火をつける。

「オッケーオッケー。どっちにしよーかなあ?」


ニヤニヤしながら、大柄の男は俺と優里を交互に見る。

⏰:09/03/11 17:48 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#576 [ちか]
優里の息が不規則に荒く鳴る。

こんな状態で殴られでもしたら‥‥――――


「な、殴るなら俺にしろ…!!」


俺は大柄の男を見上げ、そう大きく言放った。

⏰:09/03/11 17:51 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#577 [ちか]
「あ゙ぁ?いい度胸じゃねーか。」

「く‥‥っ」

グイッと前髪を捕まれ、顔を上に向けられる。

「じゃ、遠慮なく…ニヤッ」

太く大きな拳が勢いよく振り上げられた。

やられる‥‥―――っ!!

⏰:09/03/11 17:57 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#578 [ちか]
そう覚悟して目を瞑り、歯を食いしばったその時‥‥―――


ギィィ‥‥―――

扉が軋みながら重たく開く音が響き渡った。


月明かりに照らされて浮かび上がるシルエット…―

⏰:09/03/11 18:09 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#579 [ちか]
「恭‥‥弥‥――?」


目を薄く開くと、そこに立っていたのは紛れもなく恭弥だった。





しかし、それは俺の見てきた優しい恭弥じゃない

⏰:09/03/11 18:21 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#580 [ちか]
前髪を掴まれ、今にも殴られそうな俺。

その隣で苦しそうに息をする優里。

それが恭弥の瞳にどう映ったのだろうか。


少なくとも俺の瞳に映った恭弥は怒りで震えていた。

「何してるの?」

それが、恭弥が口を開いて初めて発した言葉だった。

⏰:09/03/11 21:29 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


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