漆黒の夜に君と。[BL]
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#591 [ちか]
「一秒でも早く探してって言ったよね?なんで僕1人の方が早いの?ねえ、」
恭弥が松山さんを睨んで言う。
「申し訳ございません!!」
深く頭を下げる松山さん
「もういいから、とにかく早く優里を…っ」
「はい…っ!!!」
そうして優里は病院に運ばれ、俺と恭弥もそれに同行した。
:09/03/11 22:44 :P906i :KaqMZK1M
#592 [ちか]
優里は緊急治療室に運ばれた。
俺達はその前のソファーに座り俯いていた。
沈黙が重い。
静まり返る病院。
「守りきれなかった…―」
ふいに恭弥が口を開いた
:09/03/11 22:51 :P906i :KaqMZK1M
#593 [ちか]
「恭弥‥‥――?」
驚いた。
恭弥の目に涙が浮かんでいたから。
「怖かったんだ‥‥――
取り返しのつかない事になったらどうしようって…。優里を失くしてしまったらどうしようって‥‥――」
恭弥の肩が震えてた。
どれだけ不安だったのか、伝わってくるほどに。
:09/03/11 23:00 :P906i :KaqMZK1M
#594 [ちか]
「守っていたつもりだった。だけど、それは僕の勘違いで‥‥―――
実際は何も、僕は優里に何もしてやれてなかった…」
その言葉は自ら自分を追い詰めているようだった
俺は震える恭弥の手を強く握った。
「そんな事ない…っ」
:09/03/11 23:06 :P906i :KaqMZK1M
#595 [ちか]
「優里は恭弥の事、好きだって言ってた。恭弥の為に学校でも明るく振る舞ってた。恭弥が、もし何もしてやれてなかったらこんな事してないよ、絶対。
恭弥は…ちゃんと、優里を守れてたよ。」
今俺の目の前に居る恭弥は余裕も無くて、すごく弱い。
だけど、それは優里がそれほど大切だったから。
大切にしてたから。
:09/03/11 23:18 :P906i :KaqMZK1M
#596 [ちか]
俺は恭弥を力の限り抱き締めた。
恭弥の不安を少しでも無くしてあげたかったんだ。
俺にとっては、恭弥が
それほど大切だったから
暫くして、看護婦の人が俺達に安心の言葉をくれた。
:09/03/11 23:22 :P906i :KaqMZK1M
#597 [ちか]
精密機械の音だけが響く部屋に連れていかれた。
ベッドに寝ているのは優里。
「今は呼吸も安定していますし、命にも別状はありません。直に目も覚めるでしょう。」
先生の話を聞いて、俺達は安堵の息をもらした。
それから俺達は優里の目が覚めるまで、一睡もする事がなかった。
:09/03/11 23:31 :P906i :KaqMZK1M
#598 [ちか]
気づけば夜が明けて、朝になっていた。
「兄‥‥貴‥‥?」
「優里っ…――!!」
小さい声にも過敏に反応した俺達は優里の名前を呼んだ。
「ごめん…。」
優里は呟くように言った。
:09/03/11 23:39 :P906i :KaqMZK1M
#599 [ちか]
「心配したよ…――」
「ごめん‥‥。」
この淡白な会話にどれほどの感情が詰まっている事だろうか。
この不器用な兄弟の間には。
暫く兄弟同士で会話を交わしたあと、優里は俺に目をやった。
:09/03/11 23:43 :P906i :KaqMZK1M
#600 [まな]
面白すぎますっ!!
文才ありまくりですねっ!!
もう感動です…
:09/03/11 23:45 :PC :j6gUNdeY
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