漆黒の夜に君と。[BL]
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#597 [ちか]
精密機械の音だけが響く部屋に連れていかれた。
ベッドに寝ているのは優里。
「今は呼吸も安定していますし、命にも別状はありません。直に目も覚めるでしょう。」
先生の話を聞いて、俺達は安堵の息をもらした。
それから俺達は優里の目が覚めるまで、一睡もする事がなかった。
:09/03/11 23:31 :P906i :KaqMZK1M
#598 [ちか]
気づけば夜が明けて、朝になっていた。
「兄‥‥貴‥‥?」
「優里っ…――!!」
小さい声にも過敏に反応した俺達は優里の名前を呼んだ。
「ごめん…。」
優里は呟くように言った。
:09/03/11 23:39 :P906i :KaqMZK1M
#599 [ちか]
「心配したよ…――」
「ごめん‥‥。」
この淡白な会話にどれほどの感情が詰まっている事だろうか。
この不器用な兄弟の間には。
暫く兄弟同士で会話を交わしたあと、優里は俺に目をやった。
:09/03/11 23:43 :P906i :KaqMZK1M
#600 [まな]
面白すぎますっ!!
文才ありまくりですねっ!!
もう感動です…
:09/03/11 23:45 :PC :j6gUNdeY
#601 [ちか]
「ありがとうな…冥。」
その笑顔に寂しげな表情は欠片も無かった。
「お、おう!」
俺は笑顔で返す。
少しは俺らの距離も縮まったかな‥‥?
:09/03/11 23:48 :P906i :KaqMZK1M
#602 [ちか]
「驚いたよ。」
病室を後にしたあと、恭弥に言われた。
「え?何が?」
そう言って疑問の瞳を向けると、恭弥はふふっと笑った。
「優里が人の事名前で呼ぶなんて初めてだったから。」
:09/03/11 23:53 :P906i :KaqMZK1M
#603 [ちか]
「え‥‥」
それって‥‥――
それって‥‥‥――――
「友達って意味じゃない?」
恭弥はにっこりと笑った。
「ホントに?!」
「病院内では静かに、ね」
嬉しかった。
むかつく奴だけど、
ひねくれた奴だけど、
とにかく嬉しかった。
:09/03/11 23:57 :P906i :KaqMZK1M
#604 [ちか]
それから2日後、優里はカナダに帰る事になった
もともとは来年行う腫瘍を取り除く手術に向けての検査中に、俺の噂を聞いて病院を抜け出してきたらしい。
やっぱブラコ…――
「誰がブラコンだコラ。」
:09/03/12 00:11 :P906i :pF033Bmg
#605 [ちか]
「あ、また口に出てた?」
「出まくりだっつーの、馬鹿か。」
こんな生意気な口がきけるまで優里の体調も回復しましたよ、みなさん。
「誰に話してんだよ。」
「内緒。」
ちなみに今は空港まで、
優里を見送りに来てます
あ、もちろん学校は休んだ。恭弥も一緒にね。
:09/03/12 00:17 :P906i :pF033Bmg
#606 [ちか]
「俺がカナダに居る間、特別に兄貴はお前に任せてやる。
まぁ、手術さえ終わればいつでも帰ってこれるけどな。念のためだ、念のため!」
「はいはい。」
あれから俺達の間はだいぶ近くなった。
下の名前で呼びあってるのが、その証拠。
恭弥は俺と優里の会話を聞きながら、嬉しそうに笑っていた。
:09/03/12 00:24 :P906i :pF033Bmg
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