漆黒の夜に君と。[BL]
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#622 [ちか]
「お前このまんまだと、追試と補習で夏休み潰れるぞ?」

「えぇえぇッ?!?!」

先生のその言葉は、俺の眠りかけていた頭を一気に覚ました。

「嫌ならもっと真面目にやれ。」

「やってますよー。でも雨の日ってやる気なくなりません?」

え?俺だけだって?

⏰:09/03/12 22:33 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#623 [ちか]
「そう言う事言える期間はとっくに過ぎてんだよ…。」

苦笑いを浮かべる先生。

「あはは!てか先生って、何せんちー?」

「ん、確か…183だったかな。」

「でかっ!!」

羨ましいそうな眼差しを先生に向けると、先生は
「お前は小っこいもんな」
と悪戯な笑みを浮かべた

⏰:09/03/12 22:41 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#624 [ちか]
「って、そんな事考えてる暇あったら単語でも覚えろ。」

「えー。」

「"えー"じゃない。
雨だいぶ強くなってきたな…続き明日にするか。」

窓の外に目をやると、濃いグレーの雲から大粒の雨が降りしきっていた。

梅雨ってこれだから嫌なんだよな。

「明日もあるんだ…。」

「当たり前だ。
じゃ、これ明日までに解いてこい。以上。」

⏰:09/03/12 23:27 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#625 [ちか]
目の前に置かれた紙の束

「これ全部?先生、鬼?」

「先生は人だ。」

爽やかな笑顔で返すのやめてくれ。

俺はその紙の束をカバンに詰め込んで椅子から腰をあげた。

「じゃ、先生ばいばい!」

「おー。気ィつけて帰れよ」

⏰:09/03/12 23:31 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#626 [ちか]
そんな会話を交わして、俺は玄関へと降りていった。

「すっごい雨…。」

目の前に広がる真っ白な景色がその水滴の大量さを物語っている。

あ、今日は恭弥が先に帰ってて、俺には別の車を用意されてるんだ。

⏰:09/03/12 23:35 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#627 [ちか]
傘をさして校門まで歩いていく。

「あれ?」


校門に近づくにつれて、ぼんやりと浮かびあがってくる人影。


女の人‥‥―――?

⏰:09/03/12 23:43 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#628 [ちか]
くっきりとその姿が見える距離まで来た時、その人と目が合った。


腰まで伸びた栗色の髪

真っ白の肌に綺麗な柄の
着物を纏ったその人は、
とても

「きれー‥」

だった。

思わず口にしてしまうほどに。

⏰:09/03/12 23:48 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#629 [ちか]
って!!!

この人、傘さしてない?!


水も滴るいい女
と言う言葉があるが、
その人は長い間雨にうたれていたのか全身ずぶ濡れでそんな言葉を通り越していた。


「だ、大丈夫ですか?!」

俺は走ってその人に傘をかけた。

⏰:09/03/12 23:52 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#630 [ちか]
「あ…すいません‥私‥」

近づくとさらに綺麗だと言う事に気づいた。

「どうかしたんですか?!」

女の人の瞳は少し赤くなっていた。
泣いてたのか…?

「私‥‥人を探してて‥―――」

「人?って、ちょっと、え?!?!」

何かを言いかけて、その人は俺の胸に倒れこんだ

⏰:09/03/12 23:57 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#631 [ちか]
「ちょ、あのっ?!?!」

いきなりの事でパニックになる俺。
応答の無い冷たい身体。


その異様な冷たさに危機感を感じた俺は、とりあえず車に運ぼうと女の人を背中におぶって車へと足を早めた。

校門から少し離れた場所に停められた長い車。

そのすぐ傍には恭弥がよこした執事の人が傘をさして立っていた。

⏰:09/03/13 14:24 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


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