漆黒の夜に君と。[BL]
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#634 [ちか]
家に着くと、既に大量の執事とメイドが玄関の前で立っていた。

「早く処置を…!!」

メイドの人達は女の人を抱き抱え、屋敷内へと入っていく。

「冥様もそのままでは風邪をひかれます!!」

そう言って危うく俺も抱き抱えられそうになったが、執事さんの手を振り払い走って自分の部屋に戻った。

⏰:09/03/13 14:47 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#635 [ちか]
「あっぶねえ…」

もうちょっとで恭弥だけじゃなく、執事さんにまでお姫様抱っこされるとこだった…。

この家の人はお姫様抱っこ以外の抱え方を知らないのか?

「っくしゅん!!」

雨に濡れたせいかくしゃみが。

このままじゃほんとに風邪引きかねないと思った俺は風呂に入って服を着替えた。

⏰:09/03/13 15:14 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#636 [ちか]
廊下からバタバタと人が慌ただしく走る音がする

そう言えばあの女の人、
大丈夫だったかな?

気になった俺はドアを開け廊下に出た。

「あの‥さっきの女の人どこに居ますか?」

通りかかったメイドさんに尋ねてみる。

⏰:09/03/13 15:20 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#637 [ちか]
「女の人?あぁ、九谷様の事ですね!お隣の部屋にいらっしゃいますよ。」

あの人、九谷って言うのかな‥?
て言うか案外近くに居たんだな。
そりゃ廊下が騒がしい訳だ。

「入ってもいいですか?」

「どうぞ。あ、でも静かにお願いしますね。」

メイドさんはにっこりとそう言って、廊下を歩いていった。

⏰:09/03/13 15:48 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#638 [ちか]
ドアノブをゆっくり回すと小さく音をたててドアが開いた。


目に入ってきたのはベッドに眠る色白の女の人。

改めて見ると、ほんとに綺麗な顔立ちをしているな。

そんな事を思いながら、
眠る彼女の脇で俺はちんまりと座りこんだ。

⏰:09/03/13 16:21 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#639 [ちか]
「…きょー‥くん…―」

ふいに女の人がぽつりと呟いた。

「きょーくん?‥教訓?」

寝言だろうか?
なんの夢を見てるんだろう?

俺は首を傾げたあと、彼女の顔を覗き込もうとした。


その時。

⏰:09/03/13 16:25 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#640 [ちか]
ぱっちりと大きな瞳が開いた。

「おわっ?!?!」

俺は突然の事に思わず変な声をあげ、退けそった。

上体を起こし、キョロキョロと部屋を見渡す女の人。

「あの〜…」

暫くそんな彼女を眺めたあと、恐る恐る声をかけてみた。

彼女の小さな顔がこちらへと向く。

⏰:09/03/13 16:30 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#641 [ちか]
「あなたは!」

大きな瞳をさらに大きくして女の人は言った。

「俺の事、分かります‥?」

そう尋ねると、にっこりと柔らかく微笑んで、
「もちろんです!」
と、声を大きくした。

「あなたが私をここに?」

辺りをキョロキョロと見ながら言うその人に、俺はコクリと顔を縦に振った。

⏰:09/03/13 16:34 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#642 [ちか]
「ありがとうございます。
道に迷っていたら雨が降ってきてしまって…止むのを待っていたら、いつの間にかこんな事に…」

恥ずかしげに頬を染める彼女。

そこら辺で雨宿りすればよかったのに。
この人天然?
なんて事を思いながらも、その美貌に目を奪われる。

「あ、そう言えば人を探してるって‥‥」

確かそう言ってたような

⏰:09/03/13 16:38 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


#643 [ちか]
その人はほんわりと微笑んでいた目をぱっちりと見開いた。

「あっ、そうなんです!!
私、その…人を探してて道に迷ってしまって…」

仕草が女の子らしく、
その困った表情が可愛いく思えた。

「あの、俺で良かったら一緒に探しますよ?」

「いえ、そんなお世話になってばかりでは申し訳ないです…っ」

⏰:09/03/13 21:40 📱:P906i 🆔:wTLUQSGQ


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