漆黒の夜に君と。[BL]
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#751 [ちか]
「もしもの話だけどさ…」

「なんだ?」

雑な返事。

「ほんとにもしもだよ?」

そう。これはあくまで“もしも”の話。

「だからなんだよ。」

なかなか本題に入ろうとしない俺に先生の返事も乱暴になる。

⏰:09/03/22 23:18 📱:P906i 🆔:DXTf0Jxg


#752 [ちか]
「もし…先生の前に、どう考えても先生より彼女に相応しい男が現れたとしたら…」

「なんだソレ。ヤな話だな。」

先生はふっと小さく笑ってそう言った。

「まぁまぁ。それで、その男が先生の彼女を好きだって言い出したら…どうする?」

そう、これは今の俺の現状に似せた例え。

先生ならどうするかなって。

⏰:09/03/22 23:27 📱:P906i 🆔:DXTf0Jxg


#753 [ちか]
俺が質問を投げ掛けたところで先生はやっとプリントから目を離し、俺の方へその目を移した。


「どうするって‥別にどうもしないだろ。」

「え?」

どんな答えが返ってくるだろうと半ば緊張していた俺に返された答えは、予想以上にあっさりしたモノだった。

その単純な答えに俺は思わず間の抜けた声をもらす。

⏰:09/03/23 12:43 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#754 [ちか]
「‥なんで?落ち込んだり、焦ったり‥しないんですか?」

「そんなことしても疲れるだけだろ。」

その口振りに余裕さが窺える。
その余裕さゆえに俺の頭はさらに疑問で埋まってゆき、小首を傾げた。

そんな俺を見て先生はさらに言葉を続けた。

⏰:09/03/23 12:49 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#755 [ちか]
「あのなぁ、その男が彼女に似合うか似合わないかなんて俺が決めることでも他人が決めることでもないんだよ。
彼女が俺を選んでくれてるうちは、彼女にとっては俺が一番相応しいってことだろ?
ならそれでいいじゃねーか。
誰が出てこようが、本人の気持ちが俺に向いてるなら焦る必要も、負い目感じる必要もない。
考えるだけ無駄だ無駄。
俺、疲れることはしない主義だからな。」

そう言って先生は柔らかい笑みを見せた。

⏰:09/03/23 17:26 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#756 [ちか]
『似合うか似合わないかなんて俺が決めることでも他人が決めることでもない』

『俺を選んでくれてるうちは、彼女にとっては俺が一番相応しいってこと』

『誰が出てこようが、本人の気持ちが俺に向いてるなら焦る必要も、負い目感じる必要もない』‥――

言葉の一つ一つが頭に染み込んでくる。

そうだ。恭弥はいつだって俺を見ててくれてる。
誰が出てこようがそれは変わらなかった。
悩む必要なんて無かったんだ、初めから。

⏰:09/03/23 17:36 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#757 [ちか]
胸の締め付けがスッと解けていくのが分かった。


「先生、たまには良いこと言うんですね。」

「“たまには”ってのは余計だ。」

そう言って先生はまた俺にデコピンを食らわせようとする。
それを片手で掴む俺。

「同じ手はくらいません」

得意気にニッと笑ってみせる。

⏰:09/03/23 17:46 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#758 [ちか]
手を離そうとしない俺に先生はムッとしたご様子。
しかしその顔はすぐに笑顔へと変わっていく。
ニヤリと笑うその顔は鬼と言うより悪魔だ。

「て言うか、なんだお前そう言う恋愛してんの?
ふーん。へえ〜。」

「べ、別にそれは関係な‥ッ///い゙って!!」

空いていた片手が否定しようとする俺に命中した

「甘いな日下。
手は二つあるんだよ。」

にっこり微笑む先生。

やられた‥‥。

⏰:09/03/23 18:00 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#759 [knj]
メチャクチャいいですv(*^^*)/
感動しました(T_T)
続き頑張って下さい\(*^^*)/
応援してます(^∇^o)(o^∇^)

⏰:09/03/23 19:49 📱:W61PT 🆔:134pqGpo


#760 [ちか]
>>759
└→knjさま*

ありがとうございます!!
嬉しくて涙が(´;ω;`)
感動してもらえて、書いてる側としてもほんま嬉しい限りです*´∀`*

これからも楽しんでもらえるように一生懸命頑張りますっ★

⏰:09/03/23 21:50 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#761 [ちか]
>>758

「むかつく…。」

手加減してるつもりかも知れないけど威力はある
赤くなるおでこを擦りながら涙目で先生を睨んだ

「ラッキーだと思え。
俺のデコピンを受けると頭良くなるんだから。」

「じゃあ俺はとっくに天才少年ですよ。」

「それもそうだな。」

そんな他愛のない冗談にお互い笑みを溢しながら、放課後の居残り補習は進んでいった。

⏰:09/03/23 22:03 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#762 [ちか]
「じゃ、今日はここまでにするか。」

窓の外はいつの間にか青かった空は夕焼けで綺麗なオレンジに染まっていた。

「今日はってことは明日もか〜。」

「嫌だったらさっさと賢くなれ。」

そんな無理言われても…

「でもちょっと出来るようになりましたよ、俺。」

「“ちょっと”な。」

皮肉混じりの言葉が頭にくるけど先生らしいよな

⏰:09/03/24 00:11 📱:P906i 🆔:niXsekkY


#763 [ちか]
俺は教科書やらプリントを鞄の中に詰め込んで立ち上がった。

「気をつけて帰れよー。」

「はいはーい。」

そんな淡白な会話をして教室をあとにする。

階段を降りて玄関まで行くと、校門の方に白く長い車が見えた。

⏰:09/03/24 17:59 📱:P906i 🆔:niXsekkY


#764 [ちか]
「目立つから校門の前には来ないでって言ったのに…。」

誰も居ない玄関でため息混じりの独り言を呟く俺

しかし珍しいな。
いつも車は黒なのに…

白い車を見るのは今日が初めてだった。

⏰:09/03/24 18:04 📱:P906i 🆔:niXsekkY


#765 [ちか]
しかし、まぁそんな日もあるんだろうと、あまり深く考えず俺は校門へと足を運んだ。


車の前まで来てみたものの、やっぱり何か違和感がある‥

腰を曲げて窓に顔を近づけると、閉まっていた窓が静かに開いた。

⏰:09/03/24 21:51 📱:P906i 🆔:niXsekkY


#766 [ちか]
黒くて外からは見えないよう加工された窓がゆっくりと降りていく。


それを辿るように目で追っていく俺。

だんだんと露になるその見覚えのある顔。


「神楽さん?!?!」


ピタリと止まった窓の中から顔を見せたのはまさしく神楽さんだった。

⏰:09/03/25 00:21 📱:P906i 🆔:sBuzbL7s


#767 [ちか]
「昨日はお世話になりました。」

神楽さんはにっこり笑ってそう言うと、軽く頭を下げた。

「や、お世話なんて全然!!
あの‥体調はもう大丈夫なんですか?」

「はい、もう大丈夫です。ご心配おかけしました。
恭くんが連絡したのか今朝実家に連れ戻されましたが‥」

「あ、じゃあこの車は‥」

「うちのものです。」

だから白いのか。

⏰:09/03/25 12:14 📱:P906i 🆔:sBuzbL7s


#768 [ちか]
俺は一人納得したように、頭を縦に小さく振った

「あ、恭弥ならもう帰ってますよ?」

「いえ、今日は冥さんとお話したくて参りましたので。」

「俺に‥?」

笑顔でそう言う神楽さんを見て、俺は自分を指差しながら言った。

普段勘が冴えない俺だけど、なぜかこの時は身の危険を感じた。

⏰:09/03/25 13:10 📱:P906i 🆔:sBuzbL7s


#769 [ちか]
「はい。
立ち話もなんですので、どうぞ中へ。」

神楽さんがそう言うや否や、運転手と思われる人が降りてきて、ドアを開けた。

「や、でも‥」

何か嫌な予感がする。

「遠慮なさらずに。」

結局俺は神楽さんの押しに負けて車内へと入った

⏰:09/03/25 14:16 📱:P906i 🆔:sBuzbL7s


#770 [ちか]
そわそわして落ち着かない俺に、妙に静かな神楽さん。
そして、ゆっくりと走り出した車。

2人の間に流れる空気はなんとも言えない。


「あ、あの…話って‥」

このまま黙っているワケにもいかず、どうせなら早く終わらせてしまおうと俺はついに口を開いた。


どうして俺はこの時思い出さなかったのだろう。
優里の言葉を。

⏰:09/03/25 16:02 📱:P906i 🆔:sBuzbL7s


#771 [ちか]
俺が話を切り出すと、神楽さんも口を開いた。

「あ、そうでしたね。
話と言うのは昨日のことでして…」


“昨日のこと”‥――
神楽さんからその単語を聞いた瞬間、鼓動が急に早く脈打ちだした。

それがバレないように顔を強張らせる俺。

⏰:09/03/25 21:45 📱:P906i 🆔:sBuzbL7s


#772 [ちか]
次にどんな言葉が来るか
どんな言葉が放たれるのか。

神楽さんが言葉の後に長く間を空けるもんだから、俺の想像はいろんな方向へと巡らされた。

さぁ、今次の言葉が放たれようとしている。
なんて言われるか。
鼓動はドクドクと胸を打つ。

神楽さんはゆっくりと口を開いた。

⏰:09/03/25 23:21 📱:P906i 🆔:sBuzbL7s


#773 [かなほ]
あげwww

続き気になる

⏰:09/03/26 11:44 📱:SH02A 🆔:tVlc8YuM


#774 [ちか]
>>773
└→かなほさま*
あげてくれてありがとうございます
中途半端なところで切ってしまいすいません><
今から更新します*

⏰:09/03/26 12:01 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#775 [ちか]
>>772

「正直、恭くんの口からあんな言葉を聞く日が来るなんて思っていませんでした。」

眉を寄せ、苦く笑う神楽さん。

その言葉の意味が良く分からなくて、俺は首を傾げた。
そんな俺を見て神楽さんはふふっと笑うと、話を続けた。

⏰:09/03/26 12:11 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#776 [ちか]
「恭くんと私は親同士が友人でして、本当に幼い頃から顔見知りだったんですが、その頃から恭くんにはなんとも言えないオーラのようなものがあって、私自身もその頃は近寄りがたい存在だと思っていました。」

「へ、へえ‥」

オーラ‥ねぇ。
なんか想像つくかも。

⏰:09/03/26 12:21 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#777 [ちか]
「そもそも、私と恭くんが初めて言葉を交わしたのは、うちの父が主催したその年初等部に入学する子供を持つ友人と子供同士を祝うのパーティーの席でのことでした。」


「は、はあ‥」


なんか話それてきてる気が‥

⏰:09/03/26 12:29 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#778 [ちか]
――‥11年前
     (語り:神楽)
そのパーティーで私は主催者の娘と言うこともあり皆さんの前でピアノを演奏することになったんですが…

なんせ騒ぎ事が大好きな父ですから、いらした方も多く、まだ6つだった私は直前になって逃げ出してしまったんです。

パーティー会場から出た私は闇雲に走って着いた場所に小さく踞(ウズクマ)り、泣いていました。

⏰:09/03/26 12:41 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#779 [ちか]
『神楽お嬢様?!』
『神楽お嬢様ーっ!!』

狭い部屋でしたし、私自身隅っこで小さくなって居たものですから、私を探しに来た人達も全く私も見つける気配はありませんでした。

それからだんだんと騒がしさがおさまってきた頃、ドアが開く音がしました。

⏰:09/03/26 19:08 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#780 [ちか]
靴音がして、誰かが部屋に入ってきたようでした

私は、怒られるのが怖くてただ小さく震えるだけ‥

やがて私の前でその靴音はピタリと止みました。

『かぐらちゃん?』

ふいに名前を呼ばれ、私は咄嗟に顔をあげました。

『やっぱりかぐらちゃんだ。』

そこに立っていたのが恭くんだったのです。

⏰:09/03/26 19:15 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#781 [ちか]
涙で歪んだ景色にぼんやりと恭くんの顔が浮かびました。

『なんで泣いてるの?』

恭くんはそう言って私の瞳に溜まった涙を拭ってくれました。

私は皆さんの前ピアノを弾くのに緊張して逃げ出してきたことを打ち明けました。
涙で言葉に詰まる私の話を、恭くんはただ静かに聞いてくれました。

⏰:09/03/26 22:25 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#782 [ちか]
『でも、かぐらちゃんが居なくなってみんな心配してたよ?』

恭くんの言う“心配”の2文字が私の幼心を罪悪感でいっぱいにしましたが、それでも私は皆さんの前に立つのが怖くて【いや、いや】と言わんばかりに首を横に振りました。

ですが、その時です。

『ん〜、じゃあぼくも一緒に弾いてあげる。』

『え‥?』

思ってもみなかった発言に私は潤んだ瞳を恭くんに向けました。

⏰:09/03/26 22:50 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#783 [ちか]
『2人なら大丈夫でしょ?』

私は小さくコクンと頷きました。

『じゃあ行こ。』

そう言って笑顔で手を差し伸べられた時、私は恋に落ちたのです。

あの時の笑顔はもう可愛いらしくて可愛いらしくて‥

⏰:09/03/26 22:57 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#784 [ちか]
「そうだったんですかぁ‥」

ほんのりと頬を紅くする神楽さん。
なんか自分の世界って感じ。
そんな神楽さんに適当な相槌を打つ俺。
内心は俺の知らない恭弥を知ってる神楽さんが羨ましくて、少し妬いていた。

でも、やっぱり話それてない?

⏰:09/03/26 23:01 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#785 [ちか]
「あ、すいません思い出していたらつい長々と…。話の続きを‥えーっと、あ!そうです、そうです!その頃から私はずっと恭くんだけを見てきました。
外見はもちろん、内面もお優しい恭くんは、それはもう俗に言う"モテモテ"でした。」

俺は相槌を打ち続けるものの、神楽さんに対する恭弥の態度を思い出しながら納得のいかないような顔をしていた。

だって内面もお優しいってさぁ…ねぇ?

⏰:09/03/26 23:09 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#786 [ちか]
そんな俺をよそに、マシンガン的なテンポで話を続ける神楽さん。

が、モテモテでしたと言ったあと一息ついてテンポは緩やかになった。

「ですが、恭くんはどんな美人が言い寄って来ようとも、見向きもしませんでした。…今まで一度も。
ですから、私もこの思いが受け入れて貰えなくても別に良かったのです。
恭くんに“特定の方”が現れなければ…それで良かったのです…。」

だんだんと悲しそうな顔をする神楽さんに俺は多少の罪悪感を覚えた。

⏰:09/03/26 23:56 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#787 [ちか]
「ですが、昨日‥‥。
あんなに他人(ヒト)を愛しそうに見つめる恭くんは初めて見ました…。」

(それが俺なのか…)

俺はしゅんとする神楽さんをよそに内心すごく嬉しかった。
本当に恭弥は俺を好きで居てくれてるんだと確認出来て、嬉しかった。

ニヤけてしまいそうな顔がバレないように顔に力を入れていたその時。

神楽さんの俯いていた顔が勢いよくこちらへと向いた。

⏰:09/03/27 00:01 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#788 [ちか]
「冥さんっ!!!!!」

「へ、はぃッ?!?!」

俺を見つめる瞳に、もはやおっとりとした雰囲気の神楽さんは居なかった
その真剣な眼差しに俺は思わず怯(ヒル)んだ。
声まで上擦ってしまう始末。情けないよなぁ…。

なんてことを考えているうちに、神楽さんはずいずいと俺に近づいていた。

そしてこう言ったのだ。

⏰:09/03/27 00:07 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#789 [ちか]
「私と勝負してください!!」

勢いよく放たれた言葉に俺の頭は一時フリーズした。

―…しょ、しょ、
「勝負ッッ?!?!」

神楽さんの目は真剣そのもの。

「じょ、冗談じゃないです!!」

女の子(破壊力は最強だけど)と勝負なんてそんな…っ

「もちろんです!!私も冗談で申してる訳ではありません!!」

いや、そう言う意味じゃなくて!!!

⏰:09/03/27 00:24 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#790 [ちか]
だって、性別の壁ってもんがあるだろ?!

殴り合うようなことは男として絶対手あげられないし!!

逆に花嫁対決みたいな、料理とか掃除とか、そりゃあずっと一人暮らしだったから普通の男よりは全然出来るけど!!

こんな良いとこのお嬢様に敵うような腕前はない

どっちにしろ、答えは

「無理です!!!!」

に決まってる。

⏰:09/03/27 00:30 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#791 [ちか]
驚いて目を丸くする俺を見て、神楽さんはその真剣な眼差しで言う。

「ご心配は要りません。
どちらにも不利が無いよう勝負内容は考えさせて頂きましたから。
もう準備は全て整っております。
後は、この車が目的地に着くだけです!」

「えぇッ?!?!」

そう言えば、この車どこ向かってんの?!?!

⏰:09/03/27 00:35 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#792 [ちか]
気づいた時にはもう遅かった。
あの時、神楽さんの車に乗った瞬間からこの人の計画は始まっていたのだ

徐々にスピードを上げていく車。

「後は私にお任せください。」

そう言ってハンカチのような物を俺に当てた。

「っな!!!任せ‥ら‥れる‥わけ‥‥―――」

そこで俺の意識は途切れた。
最後に頭の中で浮かんだのはあの時の優里の、
『神楽姉には気を付けろ』と言う言葉だった‥‥―――

⏰:09/03/27 00:43 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#793 [ちか]
――――‥‥

「………ん……?」

次に意識が戻った時、俺の視界には見慣れない景色が広がっていた。

「た…たみ?」

鼻の奥まで薫ってくる独特の匂い。
むくりと起き上がり、辺りを見渡してみる。
和風な装飾品が飾られた広い部屋。

何が何だか分からず、ぽけっとしているとやがて襖が静かに開いた。

⏰:09/03/27 14:06 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#794 [ちか]
「目が覚めたのですね。」

襖からにこにこした笑顔を向け、こっちに歩いてくるのは神楽さんだった

「あ、あのここは‥‥??」

「私が用意した場所ですのでご安心を。」

神楽さんはキョロキョロと周りを見る俺に微笑みかけた。

ご安心をって‥‥安心出来るわけないじゃん!!!!
俺、これからどうなるわけ?!?!

不安で仕方ない俺は近寄ってくる神楽さんから一歩、また一歩と座ったまま退いていく。

⏰:09/03/27 14:16 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#795 [ちか]
「警戒しないでください。少し手荒な真似だったかも知れませんが…」

困ったように笑う神楽さんに俺は疑いの目を向ける。

だって警戒しない方がおかしいだろ?!
ある意味誘拐だ、こんなの!!!

そんな事を考えながら口をパクパクさせていると、再び襖が開いた。

⏰:09/03/27 14:23 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#796 [ちか]
開いた襖から顔を覗かせたのは黒いスーツを着た強面の男の人。

「お嬢、「その呼び方やめなさいと言ってるでしょう。」

一瞬柔らかい口調が刺々しくなる。

俺が推測するに、たぶんお父さん絡みの…つまりヤクザ関係の人だと思う

⏰:09/03/27 14:30 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#797 [ちか]
冷ややかな口調に黒いスーツの人は頭を少し下げると、
「すいません…。」
とだけ呟いた。

それを見て神楽さんは小さくため息をつくと、もとの柔らかい口調で話し始めた。

「それで、何か御用ですか?」

「はい。もう少しで恭弥様がご到着するようです。」

…え?

⏰:09/03/27 14:36 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#798 [ちか]
「そうですか。ご苦労様です。」

「いえ。それではまた後程。」
それだけ言うと襖はまた静かに閉まった。

‥‥‥て言うか、
「恭弥も来るんですか?!」

俺は神楽さんを見上げながら声を張り上げた。

「もちろんです。
最終的にこの勝負の勝敗を決めるのは恭くんですから。」

当たり前のような顔でそんな事を言う神楽さんを目の前に俺はますます混乱した。

⏰:09/03/27 14:43 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#799 [ちか]
「勝負、勝負って‥‥一体何するんですか?!?!」

今の状況に俺の頭は全くついていかず、半ば半泣きの状態だった。

「あぁ、勝負内容を申してませんでしたね。私とした事が‥すいません。
ですが、冥さんは何もしなくて良いのです。」

「へ‥?」

「ここはあるビルの最上階です。恭くんが着き次第、勝負は始まります。
私も恭くんも、ここからモニターを見てるだけでいいんです。簡単でしょう?」

⏰:09/03/27 14:53 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#800 [ちか]
>>799訂正
私も恭くんもここから×
私も冥さんもここから○
すいません><、

⏰:09/03/27 14:55 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


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