漆黒の夜に君と。[BL]
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#792 [ちか]
気づいた時にはもう遅かった。
あの時、神楽さんの車に乗った瞬間からこの人の計画は始まっていたのだ
徐々にスピードを上げていく車。
「後は私にお任せください。」
そう言ってハンカチのような物を俺に当てた。
「っな!!!任せ‥ら‥れる‥わけ‥‥―――」
そこで俺の意識は途切れた。
最後に頭の中で浮かんだのはあの時の優里の、
『神楽姉には気を付けろ』と言う言葉だった‥‥―――
:09/03/27 00:43 :P906i :Kttm89gw
#793 [ちか]
――――‥‥
「………ん……?」
次に意識が戻った時、俺の視界には見慣れない景色が広がっていた。
「た…たみ?」
鼻の奥まで薫ってくる独特の匂い。
むくりと起き上がり、辺りを見渡してみる。
和風な装飾品が飾られた広い部屋。
何が何だか分からず、ぽけっとしているとやがて襖が静かに開いた。
:09/03/27 14:06 :P906i :Kttm89gw
#794 [ちか]
「目が覚めたのですね。」
襖からにこにこした笑顔を向け、こっちに歩いてくるのは神楽さんだった
「あ、あのここは‥‥??」
「私が用意した場所ですのでご安心を。」
神楽さんはキョロキョロと周りを見る俺に微笑みかけた。
ご安心をって‥‥安心出来るわけないじゃん!!!!
俺、これからどうなるわけ?!?!
不安で仕方ない俺は近寄ってくる神楽さんから一歩、また一歩と座ったまま退いていく。
:09/03/27 14:16 :P906i :Kttm89gw
#795 [ちか]
「警戒しないでください。少し手荒な真似だったかも知れませんが…」
困ったように笑う神楽さんに俺は疑いの目を向ける。
だって警戒しない方がおかしいだろ?!
ある意味誘拐だ、こんなの!!!
そんな事を考えながら口をパクパクさせていると、再び襖が開いた。
:09/03/27 14:23 :P906i :Kttm89gw
#796 [ちか]
開いた襖から顔を覗かせたのは黒いスーツを着た強面の男の人。
「お嬢、「その呼び方やめなさいと言ってるでしょう。」
一瞬柔らかい口調が刺々しくなる。
俺が推測するに、たぶんお父さん絡みの…つまりヤクザ関係の人だと思う
:09/03/27 14:30 :P906i :Kttm89gw
#797 [ちか]
冷ややかな口調に黒いスーツの人は頭を少し下げると、
「すいません…。」
とだけ呟いた。
それを見て神楽さんは小さくため息をつくと、もとの柔らかい口調で話し始めた。
「それで、何か御用ですか?」
「はい。もう少しで恭弥様がご到着するようです。」
…え?
:09/03/27 14:36 :P906i :Kttm89gw
#798 [ちか]
「そうですか。ご苦労様です。」
「いえ。それではまた後程。」
それだけ言うと襖はまた静かに閉まった。
‥‥‥て言うか、
「恭弥も来るんですか?!」
俺は神楽さんを見上げながら声を張り上げた。
「もちろんです。
最終的にこの勝負の勝敗を決めるのは恭くんですから。」
当たり前のような顔でそんな事を言う神楽さんを目の前に俺はますます混乱した。
:09/03/27 14:43 :P906i :Kttm89gw
#799 [ちか]
「勝負、勝負って‥‥一体何するんですか?!?!」
今の状況に俺の頭は全くついていかず、半ば半泣きの状態だった。
「あぁ、勝負内容を申してませんでしたね。私とした事が‥すいません。
ですが、冥さんは何もしなくて良いのです。」
「へ‥?」
「ここはあるビルの最上階です。恭くんが着き次第、勝負は始まります。
私も恭くんも、ここからモニターを見てるだけでいいんです。簡単でしょう?」
:09/03/27 14:53 :P906i :Kttm89gw
#800 [ちか]
>>799訂正
私も恭くんもここから×
私も冥さんもここから○
すいません><、
:09/03/27 14:55 :P906i :Kttm89gw
#801 [ちか]
簡単と言えば簡単だけど…そんなのが勝負なのか‥?
俺は解せない顔で神楽さんを見つめた。
「全てを決めるのは恭くんです。
恭くんには‥どれだけ冥さんを愛してるのか試させてもらいます。
もし、恭くんが最上階のこの部屋まで来ることが出来たら、冥さんの勝ち。
出来なかったら私の勝ち。
冥さんが勝ったら私は潔く身を引きます。
ですが、私が勝った時、冥さん。貴方が身を引いてください。」
神楽さんの顔は再び真剣な表情へと変わっていた
:09/03/27 15:00 :P906i :Kttm89gw
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