漆黒の夜に君と。[BL]
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#851 [ちか]
警戒しながらエレベーターを降りてみる。
「‥‥‥‥?」
飛びかかってくる奴どころか、見渡す限り物もドアも何一つ無い。
今までに無い不思議な空間。
ゆっくりと進んでいくと、やがてこのビルの造りには似つかわしくない白い襖が見えてきた。
:09/04/01 16:52 :P906i :5FE0IVk.
#852 [ちか]
不審に思いながらもその白い襖を開けてみる。
すると、目に飛び込んできたのは
「冥‥ッ、と神楽…?!」
手足を鎖で縛られた2人の姿だった。
2人の周りには体格が良く黒いスーツにサングラスと言う、いかにも首謀者であるような風貌の4人の男が立っている。
それにしても、
「どうして此処に神楽が?」
状況が飲み込めず、僕はそう呟いて男達と神楽を交互に見た。
:09/04/01 21:37 :P906i :5FE0IVk.
#853 [ちか]
「恭くん…ッ!!助けてください!!!うちにも脅迫文が届いたんです!!それで、駆けつけたら捕まってしまって…っ!!!」
涙目で神楽がそう叫ぶと、傍に居た男が神楽の口を手で覆った。
「喋るな!!!!」
もう一人の男が神楽を睨む。
あれ‥この声どこかで‥――
:09/04/01 22:37 :P906i :5FE0IVk.
#854 [ちか]
「この女が本当に1人で此処まで来たから人質が2人も出来ちまった。アンタが来るまでの暇潰しにしようと思っただけだったのによ。」
そう言って、ため息をつくスーツの男。
やっぱりこの声、喋り方、聞き覚えがある。
仕事関係の奴か?
‥‥‥いや、違う。
僕に恨みのある奴はいくらでも思い付くけど、その中にこんな奴は居ない。
僕はその男を睨み付けるようにまじまじと見つめた。
:09/04/01 23:35 :P906i :5FE0IVk.
#855 [ちか]
男はさらに話し続ける。
「そうだ、どっちか1人は返してやるよ。
けど、もう片方は俺達の好きにさせてもらう。
俺達はなぁ、アンタに恨みがあんだよ。
どっちもお前の大事な奴なんだろ?
目の前で殺ってやる。
せっかくだしアンタにどっちか選ばせてやるよ。」
そう言い終わると、男はゲラゲラと笑った。
他の3人は胸元から銃を取り出すと、2つを冥と神楽それぞれの頭へ、残る1つを僕に向けて構えた。
:09/04/01 23:55 :P906i :5FE0IVk.
#856 [ちか]
どちらか一人を選べなんて悪趣味な奴。
しかし迂闊(ウカツ)に相手を刺激すると両方を喪(ウシナ)いかねない。
どうしようか。
選ぶつもりは無い。
返してもらう人数が1人増えただけ。
しかし相手が銃を持っていると、さすがの僕も簡単には動けない。
僕は下唇をきつく噛みながら、思考を巡らせた。
:09/04/02 00:26 :P906i :Mc5Yvxbs
#857 [ちか]
しかし何か違和感がある
畳が一面に敷かれた和風の造りの広い部屋。
他の階には無い雰囲気。
何かが引っ掛かる。
眉間に皺を寄せ考え込んでいると、静かな部屋に鎖の音が響いた。
:09/04/02 12:14 :P906i :Mc5Yvxbs
#858 [ちか]
鎖‥‥――――?
「さっさと決めな!!」
男がそう言うと、他の2人はさらに冥と神楽のこめかみにきつく銃を当てた。
「恭くん‥‥ッ!!!」
叫ぶ神楽と黙ったままの冥。
擦れて鳴る鎖の音‥――
―――‥‥なんだ。
「そう言うことね。」
:09/04/02 12:33 :P906i :Mc5Yvxbs
#859 [ちか]
―冥side.―
俺は今、なんでか鎖で手足の自由を奪われてる。
俺もなんでこんな事されてんのか分かんない‥
「冥さん。」
右を見れば俺と同じように鎖で縛られた神楽さんが居る。
「な、なんですか‥‥?」
相変わらずにこにこしている神楽さん。
もうこの人ほんと何考えてんのか分かんない…
:09/04/02 13:23 :P906i :Mc5Yvxbs
#860 [ちか]
「もう少しで恭くんが此処に来ます。
もう一度言いますが、絶対喋らないでくださいね。
もし一言でも喋ったら‥‥、」
「負けなんですよね。
分かってます‥。」
俺が言葉を遮ってそう言うと、神楽さんは「そうです」とにっこり微笑んで周りに居る4人の人達とコソコソ話し始めた。
俺は小さくため息をついて襖をじっと見つめた。
恭弥が来てくれるのをただ待って。
:09/04/02 13:46 :P906i :Mc5Yvxbs
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