漆黒の夜に君と。[BL]
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#855 [ちか]
男はさらに話し続ける。

「そうだ、どっちか1人は返してやるよ。
けど、もう片方は俺達の好きにさせてもらう。
俺達はなぁ、アンタに恨みがあんだよ。
どっちもお前の大事な奴なんだろ?
目の前で殺ってやる。
せっかくだしアンタにどっちか選ばせてやるよ。」

そう言い終わると、男はゲラゲラと笑った。

他の3人は胸元から銃を取り出すと、2つを冥と神楽それぞれの頭へ、残る1つを僕に向けて構えた。

⏰:09/04/01 23:55 📱:P906i 🆔:5FE0IVk.


#856 [ちか]
どちらか一人を選べなんて悪趣味な奴。

しかし迂闊(ウカツ)に相手を刺激すると両方を喪(ウシナ)いかねない。


どうしようか。

選ぶつもりは無い。
返してもらう人数が1人増えただけ。

しかし相手が銃を持っていると、さすがの僕も簡単には動けない。


僕は下唇をきつく噛みながら、思考を巡らせた。

⏰:09/04/02 00:26 📱:P906i 🆔:Mc5Yvxbs


#857 [ちか]
しかし何か違和感がある


畳が一面に敷かれた和風の造りの広い部屋。

他の階には無い雰囲気。

何かが引っ掛かる。


眉間に皺を寄せ考え込んでいると、静かな部屋に鎖の音が響いた。

⏰:09/04/02 12:14 📱:P906i 🆔:Mc5Yvxbs


#858 [ちか]
鎖‥‥――――?


「さっさと決めな!!」

男がそう言うと、他の2人はさらに冥と神楽のこめかみにきつく銃を当てた。

「恭くん‥‥ッ!!!」

叫ぶ神楽と黙ったままの冥。

擦れて鳴る鎖の音‥――


―――‥‥なんだ。

「そう言うことね。」

⏰:09/04/02 12:33 📱:P906i 🆔:Mc5Yvxbs


#859 [ちか]
―冥side.―

俺は今、なんでか鎖で手足の自由を奪われてる。

俺もなんでこんな事されてんのか分かんない‥

「冥さん。」

右を見れば俺と同じように鎖で縛られた神楽さんが居る。

「な、なんですか‥‥?」

相変わらずにこにこしている神楽さん。
もうこの人ほんと何考えてんのか分かんない…

⏰:09/04/02 13:23 📱:P906i 🆔:Mc5Yvxbs


#860 [ちか]
「もう少しで恭くんが此処に来ます。
もう一度言いますが、絶対喋らないでくださいね。
もし一言でも喋ったら‥‥、」

「負けなんですよね。
分かってます‥。」

俺が言葉を遮ってそう言うと、神楽さんは「そうです」とにっこり微笑んで周りに居る4人の人達とコソコソ話し始めた。

俺は小さくため息をついて襖をじっと見つめた。
恭弥が来てくれるのをただ待って。

⏰:09/04/02 13:46 📱:P906i 🆔:Mc5Yvxbs


#861 [ちか]
暫くして襖に黒いシルエットが映り、ゆっくりと開いた。

恭弥‥‥―――ッ


そこに立っていたのは紛れもなく恭弥だった。


自然と身体が前のめりになって、今すぐその名前を呼びたかったけど、俺のすぐ隣に立っていた男にがっちりと掴まれてどうする事も出来なかった。

⏰:09/04/02 14:01 📱:P906i 🆔:Mc5Yvxbs


#862 [ちか]
恭弥も少し驚いた顔をして俺達を見ていた。

「どうして此処に神楽が?」

と恭弥が呟くと、隣で神楽さんが自分も捕まったんだと叫んだ。

これもこの人の作戦か何かか‥?

ワケが分からなくて俺の頭はさらに混乱する。

⏰:09/04/02 14:12 📱:P906i 🆔:Mc5Yvxbs


#863 [ちか]
傍に立っているスーツの人が胸元から銃を取り出すと俺のこめかみに当てた。

銀色のソレから冷たい感触が伝わってくる。

どっちかを返すだの、
殺すだの‥‥
全然話についていけないんだけど!!

恭弥にどっちか選ばせて勝敗を決めるつもりか‥?!

話が違うじゃん…っ!!

⏰:09/04/02 14:25 📱:P906i 🆔:Mc5Yvxbs


#864 [ちか]
一方の恭弥も黙ったまま


俺を助けに来てくれたんじゃないの…?

まさか、俺と神楽さんのどっちかで迷ってるの…?

そんな…―――

気づいてよ…ッ
全部神楽さんが仕組んでるのに‥‥っ!!!

言いたくても言えないそのもどかしさでさらに胸が苦しくなる。

潤む目で恭弥が見れなくて俺は下を俯いた。

鎖の音が小さく部屋に響く。

⏰:09/04/02 14:34 📱:P906i 🆔:Mc5Yvxbs


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