3度目の正直
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#1 [え様。] 11/03/02 23:01
はじめまして。

初投稿です。

文章力など全くないですが頑張って書きたいと思います。

はじめに、このお話を読む前に知っておいてほしい事があります。
まず、"ここ"に書く決意をしたきっかけです。
この話は私の初恋ですが、この話が終わってもまた書きたいと思ってます。もうすぐ引っ越すんですが、これまでの自分と向き合って、これからの自分を受け入れるためです。まとめて言えば自分を"認める"ためです。くじけてしまうかもしれないし、やめてしまうかもしれません。でも、温かく見守って頂ければ幸いです。不定期更新です。
※ストーリーに登場する人物名は偽名です

#34 [え様。]
「お前な!前見て歩けや!」

怒鳴られた方には政也がいた。

『何でおるん…』
「今仕事終わって撮影現場近かったしそのまま来てん」
『連絡くれたらよかったのに』
「たまにはサプライズもアリやろ。」

政也はニヤニヤと笑いながら言った。

『…寂しかった。』

つぶやくような細い声で言うと、政也は抱き締めてこう言った。

「ごめんな。てゆかお前汗臭い。」
『ムードぶち壊し!政也もやし!』

2人とも笑っていた。

いつも笑っていられたのは政也のおかげです。

⏰:11/03/03 15:38 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#35 [え様。]
政也。あたしは政也を幸せにしてあげることが出来たでしょうか。

幸せって与えるにも感じるにも色んな形があるから、子供のあたしには分からんかった。

その日、政也の家に行った。

玄関を入ってすぐに分かった。

いつもと違う匂いがする。甘ったるい香水の匂い。

下を見ると、黒のハイヒール。

…だれ?

「俺の部屋入っといて」

そう言ってリビングに消えた。

嫌な予感がした。

⏰:11/03/03 15:45 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#36 [え様。]
そわそわしてテレビをつける気にもならへん。

しばらくしてガチャッとリビングの扉が開く音がすると同時に怒鳴り声が聞こえた。

「お前いつまでそんなんゆうとんねん!あいつがどんな思いでお前のこと待ってると思う!?」

…政也?

「うるさいわ!何もわからんあんたに口出しする権利あらへん!」

と女の人…政也のお母さん?

「話にならんわ。しばらく帰ってくんな。」

バタンッと大きな音がして足音が近づいた。ゆっくり部屋の扉が開いた。

⏰:11/03/03 15:51 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#37 [え様。]
『…大丈夫?』
「ん…」

政也はあたしの顔を見るなり寂しそうに頷いた。

『こっち来て』

自分の右側をぽんぽんと叩いて政也を呼んだ。

「ん。」

隣に座った途端、政也はタバコに火をつけた。カチッと鳴るライターの音がとても寂しく響いた。

チラっと見てみると、視点が定まっていない感じの目をしていた。遠い目。

気になる。気になるけどあたしからは聞けへん。聞いたらあかんことかもしれへん。でも…

『…政也?』

政也を見て、何も聞けなくなった。

⏰:11/03/03 15:58 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#38 [え様。]
言葉よりも先に体が動いた。手が伸びた。

政也の頬に触れた。冷たくなった雫があたしの手に落ちる。

タバコを消した政也はあたしに抱きついてきた。小刻みに震える肩を抱き締めてあげることしかできひんかった。

静かな部屋に無声音。

あなたが1人な理由、教えてくれますか。

心の問い掛けは間違ってなかったと思う。

⏰:11/03/03 16:04 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#39 [え様。]
神様。あなたは一体なにを考えているのでしょうか。愛はお金で買えない。そんなこと、政也はもう気付いてる。

しばらくして玄関の閉まる音がした。

あたしと政也は初めて1つになった。

いつもなら拒むけど受け入れないと、って必死な自分がいた。

あたしは初めてで怖くて恥ずかしくて死んでしまいそうやった。政也は優しく抱いてくれた。

「痛くない?大丈夫?」
って何度も聞いてくれた。

「ごめんな」

泣きながらあたしにキスをして何度も呟いていたね。

⏰:11/03/03 16:11 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#40 [え様。]
―――――

「…おきた?」

横でタバコを吸っていた。

『うん。寝てたん?』
「うん。30分ぐらいかな。しんどくない?何か飲む?」
『お腹痛い。お茶がいい』
「とってくる。」

部屋に残されたタバコが何だか寂しかった。

「はい。」

手渡されたマグカップには温かいお茶が入っていた。

『ありがとう。』

なんかちょっと気まずい。

⏰:11/03/03 16:17 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#41 [え様。]
「ごめんな。色々」
『大丈夫』

しばらくの沈黙を破ったのは政也。

「さっきリビングにオカン居って、会ったん二週間ぶりやねん」
『うん』
「俺な、種違いの妹おるねやんか。葉月てゆうねんけどな」
『うん』

ずっと相づちをうちながら聞いていた。

政也はお母さんが17歳の時に産まれた子供で、初めは父親も一緒にいたみたいやけど政也が二歳になる頃に、浮気して出ていった。それから政也を保育所に預けて夜の仕事を始めた。そこで出会った大企業の社長と再婚。葉月ちゃんはその人との子供。

⏰:11/03/03 16:27 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#42 [え様。]
「その人は本間にいい人やってん。俺のことも可愛がってくれたし、家族を大切にしてくれた。おかんは夜の仕事やめて勉強して、2人で会社に関わってた」
『うん』
「でも、おかんは変わってた。昔のおかんやなかった。金に狂ってた。」

6歳の時に葉月ちゃんが産まれて、それから6年後に旦那の会社を乗っ取ったらしい。それから離婚して、葉月ちゃんは父親、政也は母親に引き取られた。

⏰:11/03/03 16:37 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#43 [え様。]
「葉月が心配やねん。まだまだ母親と一緒に居りたい時期やろ?でも離れとるやん。俺はたまに会うけどおかんは会ってないみたいやし。」

昔2人で暮らしていた頃は本当に貧乏やったみたい。夜の世界に入って金に狂ったと。

人って変わるんやな。

『いつか分かってくれるんちゃう?変わっても母親やろ?葉月ちゃんやって待ってるんやから、あんたが教えてあげな。諦めんといてな』
「…うん」

話してくれてありがとう。

⏰:11/03/03 16:43 📱:N02A 🆔:☆☆☆


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